ビジネススーツにおすすめの生地
もうすぐクリスマス。
ここ数日でまた一気に冷え込んできましたね。
最高気温が10度を下回ると「ああ、今日は寒いな」」と厚手のコート着ることにしました。
最近はもっぱら、英国はフランネルの代名詞、フォックスブラザーズの生地で仕立てたスーツがお気に入りです。
毎年このスーツを着る季節が本当に楽しみ。
シンプルな合わせしかしませんが、こういったクラシックなスーツに遊びはいらないと思っています。
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フォックスブラザーズといえば、以前ブログでもご紹介させていただいたT様のオーダーコートが、仮縫いを経てようやく完成し、ご納品させていただきました。
『007オマージュ』の変形アルスターコート。
フォックスブラザーズのヘビーウエイトの生地お仕立てさせていただき、その日上りは何とも「男らしい」ものに。
貫禄のあるこのコートを、ごく自然に着こなせるまで是非可愛がってください。
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まだまだコートのオーダーも承っています。
ですが着用期間を考えると、年内までが現実的な締め切りとなりそうです。
本日も↑のフォックスブラザーズのフランネルよりもう少しライトな生地で、ポロコートをオーダーいただきました。
初めて起こしいただいたW様でしたが、とても洋服なお好きなようでイタリア製の柔らかなお仕立てのジャケットを着こなしておられました。
「電車や車での移動のことを考えると、少し薄手なくらいが丁度いい。」と、W様のライフスタイルを踏まえ生地をご提案しました。
既製品でもサイズ感はまったく問題ないというW様でしたが、やはりコートのような”一生モノ”だと妥協はできません。
かゆいところに手が届くような、些細なこだわりがさらなる愛着を生むことでしょう。
少し勇気を出して、やや青みのあるネイビーの生地をお選びいただきました。
きっと、想像を超える一着となること間違いありません。
今から本当に楽しみです。
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さて、今回は生地について書いていきたいと思います。(フォックスじゃありません笑)
やっと本題です。
ラッシャーミルズという、英国の小さなメーカーの生地。
いつもは「バンチブック」という形でご提案することが多いのですが、今回はピンポイントで2つの生地を仕入れています。
バンチブックの小さな面積では、全体像がイメージしにくいということもありますので、こうしてスーツ1着分の生地があるとお客様も選びやすいと思います。
ラッシャーミルズ、バーバリーのトレンチコートに使われてたり、記憶に新しいゴルフの松山英樹選手が成し遂げたマスターズ制覇。
この時のグリーンジャケットの生地にも使われています。
有名どころではありませんが、確かなクオリティを誇る隠れ実力派なのですが、、、いままではあまり縁がなくボットーネでも取り扱っていませんでした。
先日、ヴィンテージ生地なども多数取り扱う生地屋さんからひとつのバンチブックが届き、ドーメルのトニック・カイノックなどのヴィンテージ生地に紛れているこのラッシャーミルズの生地が目に留まったのです。
「この感じは、、、うちのお客様にぴったり!」
しかし定番のネイビーはすでに品切れており、少しグレーが混ざったようなグレイッシュネイビーと、深いチャコールグレーの方が残っておりましたので、急ぎ着分(スーツ1着分)を仕入れた次第です。
この生地に目を向けると、ビジネススーツに適しているポイントがいくつか見られます。
まずは、程よい弾力と適度な艶があり、まだらな色味の雰囲気が非常にクラシックな表情のスーツに仕上げてくれます。
糸には、「杢糸(もくいと)」といって、2種類(2色)の糸によって撚られたものが使われています。
少し踏み込んでいきますと、生地の染色にはいくつかのパターンがあり、それによって同じような色味の生地でも、染め方の違いによって全くオーラ・雰囲気の違う仕上がりになります。
一番最後にジャボンと染色液に付け込めば一色淡ので奥行きのない雰囲気になりますし、杢糸のように『糸の段階』ですでに染色されている糸で織られた生地は、いい意味でのムラがあり味のある雰囲気に仕上がるのです。
アップで見れば、明暗のある2色の糸が使われていることがお分かりいただけますでしょうか。
これ自体は特段珍しい訳ではありませんが、「なんかいい雰囲気だな」と感じるときはこうした工程に違いがあることも多いんです。
つくづく、奥深い世界だなと感じます。
写真で見るとめちゃくちゃ光沢があるように見えますが、出来上がりはちょうどいい感じです。
シンプルな生地、シンプルなデザインだからこそさりげない光沢感がある生地はマッチしますし、一歩間違えれば”求めていない雰囲気”になってしまう可能性もあります。
「思ったより派手で失敗した、、、」という苦い経験がある方もいらっしゃることでしょう。
決して安い買い物ではないですがら、このあたりもしっかりご提案させていただきます。
マット・ウーステッドといって(またマニアックな)2本ごとに交差させていく織り方をしている生地なのですが、こういった生地は日本において”できるだけ通年着用したい”というニーズを満たしてくれます。
繊細過ぎず、弾力のある生地は回復力(皺が元に戻ろうとする力)も優れていますから、着用したらスチームを当てて、パンツのクリースにはアイロンをかけて手入れをしていけば多少ハードに着用しても問題ないでしょう。
ちなみにマットウーステッド、シャツ生地になればオックスフォードに名前を変え、より馴染みのある名称に。
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お仕立て上がりのイメージはこちら。
生地はチャコールグレーの方です。
非常に身長が高いお客様なので着丈がとても長いのですが、アイロンワークも非常に効いており、立体的でたくましい表情ではありませんでしょうか。
いつものように、デザインは極めてシンプル。
素材を生かすべく、ベーシックなディテールのスーツにしてこそ 素材の味が一番引き立つというものです。
進化のスピードがすさまじい現代において、衣類の進歩も例外ではありません。
数年前まではあまり見られなかったジャージー素材・ナイロン素材のスーツや、撥水性抜群の高機能性生地も数多く出てきております。
そんな中、ふとしたタイミングで原点回帰するもので、今また新たに「クラシック」というものが注目されています。
行き過ぎた反動で、戻ることもあるでしょう。
極端に振れすぎるといつか飽きが来てしまいますから、あえて変わらないものの良さを追求していきたい。
クラッシックな”普通のスーツ”に、おすすめの生地です。
在庫は残り僅か。
気になる方は是非お問い合わせください。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2021年12月14日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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