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秋冬スーツ・ジャケットの定番素材! フランネルの魅力とは?

秋冬はファッション好きにはたまらない季節です。
軽装の夏を終え、重ね着をする楽しみが増えてきます。
 
秋冬定番の素材といえば「フランネル」ですよね?
スーツにしても良し、ジャケット・スラックス単品でも良し、コートにしても良し。
さらにはシャツにまで、、、本当に万能な素材なのです。
 
そんなフランネルは、普通のスーツ用の生地と一体どのように違うのでしょうか?
そしてフランネルの中には様々な特徴を持った生地がありますので、この記事ではその特徴とおすすめの生地ブランドなども合わせてご紹介していきます。
 
素材を知ると、スーツ選びがもっと楽しくなりますよ!

フランネルとは?

そもそも、フランネルとは何なのでしょうか?
 
簡単に説明すると、生地の表面を起毛(きもう)させた素材のことです。
同様に使われる言葉に”フラノ”がありますが、こちらは和製英語になります。
 
 
このように、ほっこりとした温かみのある表情をしています。
いかにも冬用!といった感じ。
 
このフランネル、私共の”素材のバイブル”でもある「メンズ・ウエア素材の基礎知識(著/大西基之先生)」によると、
 
フランネルは18世紀頃、英国ウェールズにおいて、当初は肌に直接触れる婦人用の素材として作られたものであり、英国の貴婦人が毛織物を肌につけたのはフランネルが初めてだとされる。
その後徐々に改良されてテニス用の運動服に使用されるようになり、スポーツフランネルなどの名称を持つフランネルがつくられるようになった。当初はソフトで素材に腰がなかったが、時代と共に腰のあるトラウザーズ素材として使われるようになっていった。
 
なんと、初めは婦人用のソフトな素材で、昔はテニスの際にホワイトフランネルのトラウザーズ(スラックス)を履いていたのですね!
 
 
こちらが当時の写真です。
股上が深く(ハイウエスト)、太ももから裾までのラインもたっぷりと余裕を持たせたゆとりのあるシルエットです。
今では想像も付きませんが、こんなにも美しい格好でスポーツをしていたんですね、、、。
 
そしてフランネルには大きく分けて2種類存在しています。「梳毛フランネル」と「紡毛フランネル」です。
なんだか聞きなれない言葉ですよね?この違いも奥が深いのですが、詳細を記載するのは主旨が違いますので、ここでは簡単にご説明します。
 
 

梳毛フランネル

 
梳毛(そもう)とは、読んで字のごとく”梳った毛”ということで、繊維が櫛を通ることによって一方向に揃えられた糸という意味になります。
簡単に言えば、櫛できれいに整えた糸ということです。一般的なスーツ用の生地は基本的にこの梳毛糸を使っております。
この梳毛を起毛加工させたものが梳毛フランネルとなります。基本的にはスーツ用の生地で、少しだけ起毛させているのが特徴です。
後述する「紡毛フランネル」と、通常のスーツ用の生地の中間的な生地と言えます。
 
 
こちらは梳毛フランネルで仕立てた、チャコールグレーのスリーピース・スーツです。
ご覧のように、パッとした見た目は普通のスーツ生地とさほど変わりませんが、よく見るとわずかに起毛しており、ほっこりと暖かみを感じます。
ビジネスシーンで用いるなら、これくらいが一番丁度良いのかもしれません。
 

紡毛フランネル

 
梳毛とは違って、繊維長の短いウールおよび均一ではない繊維も含み、かつ梳毛のように一方向に揃えられたものではないものを紡毛(ぼうもう)と言います。
整えられた梳毛に対して、整えていない紡毛といった具合です。整えられていない粗野な感じと温かみがあり、フランネル以外だとTweed(ツイード)も紡毛織物を代表する素材です。
本来フランネルは、この紡毛素材のみであったのですが、時代ともに梳毛も使われるようになってきました。
英国の寒い地域で生まれた為、基本的には厚手の生地中心で防寒に適したものが多くなっています。
 
 
こちらは、フランネルでもっとも有名なフォックスブラザーズ社のクラシック・フランネルという生地で仕立てたスーツです。
先ほどの梳毛フランネルとは違い、明らかに生地に厚みがあり、フランネルらしさが存分に感じられます。
チョーク・ストライプのかすれ具合がこの紡毛フランネルであれば表現しやすく、より真冬のシーズンに着たくなる雰囲気となります。
暖房の整った室内では正直ちょっと暑いかな?と感じるくらい保温性は抜群です。
 

フランネルの特徴は?

さて、そんなフランネルの特徴を3つご説明します。
 
①暖かい
 
まずは単純に、着ていて暖かいことです。
目付(重さ=生地の厚さ)や、起毛の具合によってもその体感は変わってくるのですが、通常のウールに比べても圧倒的に暖かく、少しくらいの寒さでしたらコートはいらないくらいです。
 
秋冬の素材ですので、暖かさは大事なポイントですよね。
梳毛フランネルは秋、紡毛フランネルは冬、といった具合に季節による使い分けも楽しむことができます。
 
 
②霜降り
生地にも”霜降り”があることをご存知でしょうか?
グレーのフランネルであれば最も分かりやすいでしょう。このような表情はフランネルにしか出せません。
 
 
チョーク・ストライプといった柄とも相性が良いのはこの為でもあります。
チョークで引いたようにかすれたストライプ。この粗びた霜降り感をいかに良い雰囲気で表現するかが素材メーカーの腕の見せ所といえます。
 
 
 
③紳士服の万能素材
フランネルの特徴として、梳毛フランネルと紡毛フランネルのご説明をしましたが、仕立てる洋服によって使い分けることが可能です。
 
チェック柄のシャツでネルシャツというものがありますが、実はこの”ネル”は”フランネル”の”ネル”なのです。(寝る為のシャツではありません笑)
ネルシャツの場合は”コットン”のフランネルが多いでしょうか。
 
そしてもちろん、スーツやジャケットにも。
梳毛フランネルのスーツは、暖房が整った現代にはぴったりの素材と言えます。
 
 
そしてより目付が重くなると、その名を「メルトン」と変えコート用の素材となります。
メルトンとは、強い縮絨をかけ綾目が全く見えないように仕上げた厚手生地のことで、基本的には糸の太さや目付を除けばフランネルと同じです。
ピーコート等にもよく使われる非常に頑丈なつくりとなっており、メルトンは紡毛織物の代表的な素材でもあります。
 
 
 
 

おすすめのフランネル生地は?

フランネルの生地は、各生地ブランドのバンチブックに必ずといっていいほどラインナップされております。
ですが、その魅力は本当に各社様々です。
 
ここでは、よく特徴が出ているブランドを4つピックアップし、オーダー事例なども交えてご紹介します。
 
 
 

ARISTON(アリストン)

 
イタリアはナポリのマーチャントであるARISTONのフランネルは、軽くて柔らかいのが魅力。
基本的には梳毛フランネル中心で、ふわっとして軽やかな雰囲気はいかにもイタリアらしい色気が漂っており、綺麗なドレープを出すことで非常にラグジュアリーな仕立て上がりとなります。
 
発色がとても美しいことも、見逃せないARISTONの重要なポイント。
 
 
こちらは発色の良いボルドーの生地で誂えたオーダースーツです。
スーツ用の梳毛フランネルを使用し、通常のスーツ用の生地から少し起毛させた程度なのでフランネルの入門編としてよくお客様にご提案させていただいております。
 
ジャケット素材では、チェック柄が非常に豊富で見ているだけで楽しくなるようなコレクションです。
色柄ともにイタリアらしく華やかなものとなっており、軽い仕立てのアンコンジャケットにも相性抜群の素材です。
 
 
 
 
 
 
 

FOX BROTHERS(フォックスブラザーズ)

 
言わずと知れた英国の名門FOX BROTHERS。
「英国フランネルの代名詞」といわれるほど群を抜いて世界中で高く評価されています。
 
以前、CEOのダグラス氏が来日された際はトークショーにお邪魔し様々なお話しをお聞きしました。
 
アリストンに比べると、非常に肉厚で本格的なフランネルです。目付も50g以上変わってきます。
世界一の洒落もの<ウィンザー公>、英国元首相<チャーチル>、ハリウッド俳優<ケーリーグラント>など、 数々のセレブリティに愛されてきたことからもその品質の良さが伺えます。
 
 
こちらは、FOX BROTHERSの定番柄であるチョークストライプの生地で誂えたオーダースーツです。
このような肉厚のフランネルはツイード素材のように育てていく楽しみがあり、少しクタッとした表情が出るころには、そのスーツはあなたのものになっているはずです。
 
 
 
 
 
 

HARDY MINNIS(ハーディーミニス)

 
こちらも英国の名門であるHARDY MINNIS。
英国王室御用達の証である”ロイヤルワラント”がバンチの表面に刻印されています。
 
こちらも英国らしく、肉厚で腰のある生地。色柄も非常に豊富であり、スーツだけでなくジャケットとしても楽しんでいただけるラインナップになっております。
 
 
こちらは応用編として、HARDY MINNISのキャメルカラーのフランネルを使用し、ポロコートとして誂えました。
目付500g以下となるとコートとしては少し薄手の部類にはなるのですが、しっかりと保温性はあります。
このようなキャメルカラーも含め、様々なバリエーションの生地がラインナップされております。
 
 
 
 
 
 

HOLLAND&SHERRY(ホーランド&シェリー)

続いても英国高級服地マーチャントのHOLLAND&SHERRY。
HOLLAND&SHERRYの服地コレクションの最大の特徴はその豊富なコレクション数にあります。

ウール素材は勿論、コットン、シルク、リネンからカシミヤ、ビキューナなどの最高級素材までと幅広く、フランネルに関しては、梳毛フランネルと紡毛フランネルそれぞれで1冊のバンチブックがあります。

 
これは結構珍しいです。どちらか、もしくは梳毛か紡毛どちらかがメインで、片方は少ないというのが多いのですが、さすがはHOLLAND&SHERRYです。
 
 
定番のチョークストライプやウィンドウペーンを中心に、色味も豊富に揃っておりどれにしようか非常に悩んでしまいます。
 
スーパー120の梳毛フランネルは、まるでカシミアに触れているかのような極上の触り心地であり、紡毛フランネルは逆にがっちりとしているのですが、カシミアをブレンドしていたりしているので他とはまた違ったこだわりが垣間見えます。
 
 
 

まとめ

たくさんの魅力があり、バンチブックを眺めているだけでもワクワクしてくるフランネルの生地。
 
今回はその特徴をまとめてみましたが、秋冬のワードローブにはかかせない素材であると改めて認識しました。
ですが、通常の梳毛ウールと比較してもフランネルのスーツを所持している方は正直に言って少ないでしょう。
だからこそ、洒落た印象に映るのだと思います。
 
この記事を見てフランネルが気になったという方は、お問合せフォームからお気軽にご連絡下さい。
スーツでもジャケットでもコートでも、ボットーネでは皆様ひとりひとりのお話しをじっくりとお伺いし、コンシェルジュが最適な生地をご提案をさせていただきます。
 
 
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nakanomaruライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。

2021年10月23日
オーダースーツ | オーダースーツの生地

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