スーツのSUPER 〇〇’S（スーパー）表記とは？番手とは？

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ショップの販売員も勘違いしている場合があるという、SUPER ◯◯’s（スーパー・◯は数値）という素材の表記。
実は、それとよく似ているのですが紛らわしいものに、番手（ばんて）があります。

一体、これらは何を意味しているのでしょう？

今日はそのあたりを解説してみます。

この記事は、動画バージョンもあります。

スーパーと番手は同じ?

スーツの生地に、『スーパー』という表記がある場合があります。

簡単にいえば細さを表しているのですが、

それと同じように、細さを表す単位で『番手』というのがあり、

スーパーにも番手にも、スーパー１２０とか１２０番手というような数字がくっついています。

ちなみに、スーパー１２０と１２０番手はまったく別物なのですが、

アパレル業界の人でも、実は分かっていない人が非常に多いのです。

むしろ説明できるほど理解している人の方が少ないでしょう。

でも実際、なんだか紛らわしいのも事実。

ということで今回は、スーパーとは何の表記で、番手とは何のことなのかについてまとめます。

オーダースーツ　素材

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スーパーと番手は違う単位

SUPER 〇〇’S（スーパー）は、番手と同じ意味ではなく、別々の単位。

ホーランドシェリーの生地
こちらが実際にオーダーする場合などで生地を選ぶ見本帳で、バンチブックと呼ばれるものです。

バンチというのは、束・群というような意味。

『２９４０００』というのがこの生地の品番で、続いて『２７０g』こちらが１m×１５０cmあたりの重さ。

その後に『SUPER 100’s』と表記されているのがわかります。

これをスーパー１００と読んでいて、今回のテーマになる表記。

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スーパーの数値が高いと何が違うのか？

今度は別の生地を見ていきましょう。

スーパー　生地　表記

こちらには『SUPER１７０’S』と記載されていますね。

先程の『SUPER １００’S』とは何がどう違うのでしょうか？

スーツ生地のスーパーという表記は、だいたいSUPER 80’Sから、

１０刻みでSUPER 90’S、SUPER 100’S、SUPER 90’S、SUPER 110’Sと大きくなっていきます。

SUPERの数値が上がるとあるものが細くなるのです。

『糸』が細くなるのではありません。

つまり、SUPER 100’SよりSUPER 170’Sの方が糸が細いのかといえば、そういうことではないのです。

回りくどいですが、それを説明するために、先に『番手』から説明しましょう。

番手という言葉の方が表記も見ないし、一般的ではないかも？？しれませんが、

（でも結構、お客様は番手という言葉使う方が多いように思います。）

４８番手、５２番手、５６番手、６０番手、７２番手、８０番手、１２０番手、と数値が増えていく。

スーパーのように、１０刻みで一律で増えていくわけでありません。

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番手は糸の細さの単位

では、番手が表しているのは、なんでしょうか？

そうです、これが『糸の細さ』を表します。

恒重式（こうじゅうしき）といって、重量1,000gの綿を何メートル伸ばせる細さか？が基準になる。

この、1,000gが固定されているため、恒重式という。

例えば１２０番手なら、1,000gの綿を120,000m伸ばせる細さになる、ということです。

　●『番手』は糸の細さを表す単位である。

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ではSUPERは何の細さ単位？

（お待たせしました）では、スーパーとは何の単位でしょうか？

SUPERは、原料の細さなのです。

原料自体の繊維が細いかどうかであり、『糸』ではないということ。

SUPERは恒長式（こうちょうしき）という方式で、長さが固定で決まっていて、
数値が大きくなるごとに単位が大きくなります。

（ちょっとややこしいですね。）

１８．５マイクロンが１００’sとなり、

１８．０マイクロンが１１０’s、
１７．５マイクロンが１２０’sという風に、

原毛の繊維が細くなるとSUPERの数値が上がる訳です。

SUPER	ミクロン
SUPER80’s	19.5ミクロン
SUPER90’s	19.0ミクロン
SUPER100’s	18.5ミクロン
SUPER110’s	18.0ミクロン
SUPER120’s	17.5ミクロン
SUPER130’s	17.0ミクロン
SUPER140’s	16.5ミクロン
SUPER150’s	16.0ミクロン
SUPER160’s	15.5ミクロン
SUPER170’s	15.0ミクロン
SUPER180’s	14.5ミクロン
SUPER190’s	14.0ミクロン
SUPER200’s	13.5ミクロン
SUPER210’s	13.0ミクロン

だからSUPER 100’sより、SUPER 110’sの方が糸を構成している

繊維が細いということになります。

ちなみにスーパー表記はウールだけで、コットンやリネンはスーパー表記をしません。

　●『スーパー』は原毛の細さを表す単位である。

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ザ・ウールマーク・カンパニーが数字と統一した

このスーパーの表記は、１９９７年に

ザ・ウールマーク・カンパニーというところがが数字の統一を行いました。

スーパーという言葉自体はもっと古くからあるのですが、

繊度とか数字などを明確にさせたのが１９９７年。

もともとはメリノ・ウールはファインウール、スーパーファインウール、

エクストラファインウールなどと表現されていたのですが、実際問題よく分かりませんでした。

（ユニクロの商品とかでも聞いたことのある単語ですね。）

そこで、IWTO（世界の２３羊毛工業国で構成する、国際羊毛繊維機構）と

ザ・ウールマーク・カンパニーがスーパー表示を統一して明確にしたのです。

まとめ

ということで、番手とは、繊維の集合になった『糸の細さ』の単位。

SUPER 〇〇’Sとは、『原料の繊維の細さ』の単位。

８０番手と１２０番手、SUPERもSUPER80’sとSUPER120’sはそれぞれ意味が違います。

ハリソンズの生地

スーパーは原料の時点で決まり、糸にして番手表記になる。

例えば、スーパー120の繊維長の原毛で、80番手の糸に仕上げることもありますし、
100番手で仕上げることもある。

逆に100番手であっても、原毛はスーパー100の場合もあるし、それ以外でもあり得る。

どう味付けるかはまた別問題ということです。

実際は、シャツを除いて『番手』を気にすることはあまりないと思います。

ですからどちらかと言えばスーパーの意味を取り違えなければいいのです。

スーパー150’Sなのに、やたらしっかりした生地だな・・・となれば、

おそらく原毛は細いけど、糸は太い（番手は低い）ということになるのでしょう。

ここまでは、生地のシールなどにも書いてあったりする数値の話。

生地の良し悪しはそれ以外の要素でも決まりますが、長くなるので別のブログで。

一概にこれらの数値が高いから良いというものではありません。
繊維の白度といって、より白い方が綺麗な色に染まるし、
完成させる服にあった繊維長、番手がミックスした素材でなければいけないのです。

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