ツイードと言えば、私はヘリンボーンとガンクラブ・チェックが真っ先に思い浮かびます。
みなさんはどうでしょうか?
ハリス・ツイード(Harris Tweed)
スコッチ・ツイードと言えばハリス・ツイードと言われるように、スコットランド西方のハリス島を中心とするアウター・ヘブリデス諸島産のケンプ(Kemp:死毛)入りツイードは、ホームスパン及びツイードすべての代名詞ともいうことができる。したがって、現在ではイタリア製のファッション性が高いツイードや日本製の生地も一般名称としてこう呼ばれることも少なくない。
もともとヘブリデス諸島の農民によってつくられていたハリス・ツイードに協会ができ、写真のような登録商標を用いるようになったのも贋作が増えたことと無関係ではない。登録商標を用いるには、カーディング(繊維を一方向に揃える)工程以降、すべて手作りが条件であり、ヘブリデス諸島の人々によって手織りされ、さらに島内で整理加工をする必要がある。
このように、本来は手織りされていたことから、ホームスパンと呼ぶようになったのだが、現在はハリス・ツイードのような雰囲気の生地を広い意味でホームスパンと呼ぶようになっている。ハリス・ツイードの最大の特徴は多くは昔ながらの染色法を行っており植物の根や海苔などを原料とすることによる、独特なカラーに見ることができる。また、これらの原料となる羊は山岳地帯に棲んでいることで染色できないケンプが混在している。サキソニーやチェヴィオットでは厳重に絹布の購入が禁止されているがこれとは対照的である。
メンズ・ウェア素材の基礎知識[毛織物編](大西基之先生 著)より抜粋
ガンクラブ・チェック(Gun-Club Check)
通常2色(白×黒)でできているシェパード・チェックに、もう一色のカラーチェックを重ねたものをガンクラブ・チェックというが、実際は牙のあるいわゆる千鳥格子の組織でも3色使いのものは一般にガンクラブ・チェックと呼んでいるようである。
1874年、アメリカ狩猟クラブの結成時に、庫の柄をユニフォームに採用したことからそう呼ばれている。柄そのものは、白×黒×赤茶の3色のシェパード・チェックがベースであり、千鳥格子ではない。マーケットで見る多くのガンクラブ・チェックは3色以上の多色部分、つまり桝の”出違い”の部分が使われることが少なくないが、ガンクラブ・チェックの場合、特にトーンの近い多色使いは表情も豊かになり、ツイードなどにおいては大変味が出る。
メンズ・ウェア素材の基礎知識[毛織物編](大西基之先生 著)より抜粋
今回はまさに、ブラウンベースのガンクラブ・チェックを選んでいただきました。
お写真からでも十分に伝わってくる程迫力があり、がちっとした着心地は、昨今のアンコンジャケットは真逆の魅力を持っています。
「ツイードなんてのは3年くらい軒下に干したり、雨ざらしにしたりして、くたびれたころに着るんだよ。」
とは有名な白洲次郎の名言ですが、着れば着るほど風合いが良くなりツイードの本当の魅力が味わいとなって出てくるのです。
その他のスーツ生地やコート生地とは一線を画す、ツイードにしかないオンリーワンの特徴と言えます。
ツイードにはケンプと呼ばれる、白い毛が混入されています。
ケンプ(kemp)
日本でじゃケンピという場合もあり、いわゆる死毛である。羊毛の繊維が枯れて強度もなく、染色もできない状態になった短毛のことを言う。ハリス・ツイードに代表される、ホームスパンには、このケンプをあえて混入させることで生地に独特の趣を与え、ハリス・ツイードを特徴づける大きな要素となっている。
メンズ・ウェア素材の基礎知識[毛織物編](大西基之先生 著)より抜粋
ペンの先にあるのがケンプです。
あえて混入させている、という点がツイードの風合いに繋がっている訳ですね。
ツイードの生地は、分かりやすく言えばゴワッとした質感です。
普段私たちが着用しているスーツの素材とは当然ながら全く違うわけなのですが、何が違うかといいますと、羊の種類が違うのです。
ほとんどのスーツ地は、ウールが使われています。
ウール=羊ですが、もっと細かく言うと「メリノウール」の毛です。
そしてツイードはというと、英国羊毛を使用しています。
チェヴィオット、シェットランドなどの種類がありますが、品種は全体で60以上あるそうです。
衣類においてはローゲージのニットやツイード素材に使われており、スーツ地に使われることはほとんどありません。
衣類以外では、絨毯に英国羊毛が使われています。
絨毯を想像すると、ツイードに近い感覚がありませんでしょうか?
細いメリノウールに対して、太い英国羊毛。
ツイードにとっては、スーツ生地のようなスーパー○○なんてものは無意味で、糸自体も非常に太く作られています。
ですが、10年、20年着続けることができます。
明確なイメージのもと製作したハンティング・ジャケット。
ピークドラペル、3つボタン、エルボーパッチなど細かな部分を見ると、その拘りが伝わってくるような1着です。
ということで、10年後、20年後を見据えて、本格的なツイードジャケットを仕立ててみてはいかがでしょうか?
アンコンジャケットとは違った魅力に、あなたもツイードの大ファンになるかもしれません。
他にもこんなツイード生地があります。
ツイードが気になりましたら、お気軽にお問合せください!!
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