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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

タキシードと燕尾服のパンツのライン(側章)違いの意味は?

タキシードの側章

この記事の目次

タキシードの特徴
何事も、目的地よりも1本で行けるのか、乗り換えて2本なのか?で心理的な距離は変わってくるもの。

ところで、タキシードと燕尾服には側章(そくしょう)という線が入っています。

結論 脇の縫い目を見せることがエレガントではないという考え

何が恥ずかしいことか?というのは時代とともに変わるものです。

シャツはもともと下着ですから、レディーの前上着を脱ぐのは恥ずかしい、ありえないことでした。

同じように、タキシードと燕尾服のパンツの脇の縫い目も、見せない方が美しいと考えられています。

だから、縫い目を隠すために側章(そくしょう)というラインが入っているのです。

今でもタキシードを仕立てる場合、シルクの側章を入れます。

タキシードと燕尾服で、シルクのラインが違うのはなぜか?

燕尾服

写真が燕尾服。

タキシードよりも燕尾服の方がフォーマルの度合いが高くなります。

昔の英国の貴族は、食事の時は燕尾服を着ていました。

ダンスをする時も、燕尾服が普通の服なのです。

ところが時代が進んで、タキシードが登場します。

誰かを招く時に、公式な食事会でない場合は、リラックスしてタキシード姿で良いですよ。という風に招待するようになっていきました。

そこで、

・燕尾服

しっかりと脇縫い目を隠す=太い側章をつける

・タキシード

リラックスして、さらっと脇縫い目を隠す=細い側章をつける

としていたわけです。

ところが、アメリカの雑誌がわかりやすく表現するために、側章は、燕尾服2本・タキシード1本と書かれました。
そこで日本では燕尾服のパンツに2本、タキシードのパンツには1本、側章を入れるもの、という認識もあるのです。

こちらの写真は、先日オーダーいただいたクライアントS氏の燕尾服。

キッドモヘアがブレンドされたバラシャ織の生地で仕立てており、側章は2本入っています。

詳しく見ていきましょう。

フォーマルにはドレスコードがある

パーティーのドレスコード(服装のルール)に、ホワイトタイと書いてあれば、それは燕尾服を着ていかなければならないということ。

(なかなかそのような機会はないかもしれないですね。)

ドレスコードに、ブラックタイと書いてあれば、タキシードを着ていかなければなりません。

燕尾服よりもタキシードの方が正装の度合いは低くなります。

燕尾服よりリラックスした服装がタキシード。

現代だと、タキシードでもとてもフォーマルだと思ってしまいますが、もともと燕尾服ほどフォーマルな場ではないよ、という意味でタキシードが存在しているのです。

燕尾服の側章は2本のライン、タキシードの側章は1本の理由

タキシードのスタッドボタン
日本のフォーマルについて書かれた書籍やウェブサイトで、

燕尾服は2本のラインが入っていて、タキシードの場合は1本という記述があります。

1957年にアメリカのエスクァイアから出ているファッションフォーメーションを見てみましょう。


Esquire 雑誌

エスクァイアは、アメリカで創刊された、世界で初めての男性誌です。

1957年に出たファッションガイド・フォーメンというのがあります。

雑誌エククァイアのドレスチャート

フォーマルのルール

フォーマル・イブニング

最もフォーマル&夜

テイルコートとなっていますね。

パンツを意味するトラウザーズというところを見てみます。

Same fabric as coat-two braids at sides;no cuffs

とあります。

2本の側章、裾はダブルはNG

じゃあ、タキシード(ディナージャケット)は?

Same as jacket-one braid at weight sides;no cuff

1本の側章になっています。

エスクァイア誌のこのチャートを担当したのは、エスカイヤー誌のファッションディレクターとして有名であった、オスカー・E・ショーフライという方だそうです。

そこで、私の服飾史の先生である、出石尚三先生にお尋ねした。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”izuishi.jpg” name=”出石 尚三 先生” ]

 two braids(2本の側章)ということはありません。
ほとんどの参考書には、2本側章と書かれています。
2本とか1本という本数の問題ではなくて、
こうやったら(書いたら)わかりやすい。

側章は、燕尾服の場合にははっきりと縫い目を隠すってことなのです。
縫い目は恥ずかしい。

ディナージャケット(タキシード)は、縫い目は隠しますけどね、さらっと隠しましょうよ、と。[/speech_bubble]

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A3743_result-860×573.jpg” name=”松はじめ” ]

正式に2本、1本と決まりがあったのではなくて、それがわかりやすいからそのように書いた。

それがいつしか2本、1本と広がっていったというのが真実だったのですね。

[/speech_bubble]

 

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”izuishi.jpg” name=”出石 尚三 先生” ]

オスカーが間違ったのではなくて、わかりやすく書いたということ。
本文の中ではそういう意味合いの事を書いています。[/speech_bubble]

パンツの脇の縫い目を見せるなど恥ずかしい。
だからしっかりと隠した燕尾服。
そこまでではないけれど、軽く隠したタキシード、
それらのことを雑誌が2本、1本と解説したのだった。

まとめ

燕尾服の場合にパンツの側章は2本というのは、雑誌にわかりやすくそのように書かれたのがはじまり。

本当は、しっかりと縫い目を隠すのか、さらっと隠すのか。

つまり正式な夜会の服なのかどうか?ということです。

フォーマルの服装のことでわからないことがあれば、ご質問いただければと思います。

さて、明日は何着よう?

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2019年11月12日
フォーマル | フォーマルデザイン
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