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ボタンダウンにネクタイはおかしい?ノーネクタイ?実はカジュアルなシャツではなかった

オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。

ボタンダウンの襟というと、皆さんご存知、このように襟の先にボタンがついているシャツの襟です。

ボタンダウンはノータイ用なのでしょうか?

ボタンダウンはカジュアルのシャツ?結婚式にはおかしいのでしょうか?

クールビズのシャツといえばボタンダウン?

この記事を読めば、なぜボタンがついていて、どうやって着こなせば良いのかが3分でわかります。

この記事の目次

襟の先にボタンがついたシャツ

【ボタンダウン】のシャツとは、なんだか不思議なシャツだと思いませんでしょうか?

だって、襟の先にボタンとボタンホールがついているんですよ。

ボタンダウンのシャツにネクタイを締めようと思ったら、毎回このボタンを外してネクタイを締めてから、また留めないといけない。

ちょっと面倒と言えば面倒ですよね。

そもそもこれは何がきっかけで生まれたシャツなのでしょう?

歴史を辿ると答えがありました。

その答えに意味があるので、その意味を汲み取って着れば良いのです。

ボタンダウンはポロ競技から?

服飾評論家の出石尚三先生にお伺いしたところ、ジョン・ブルックスというアメリカ人が、英国に行った際にポロ競技を観戦したそうです。

その時、ポロの選手は、ソフトカラー(柔らかい衿)で、取り外しのできない衿で競技をしていたといいます。

その衿が革新的だったのだそうですが・・・

なぜでしょうか?こちらをご覧ください。

こちらはシャツの衿だけが販売されている様子です。

当時は【デタッチドカラー】といって、取り外しできる衿がスタンダードだったのです。
シャツは毎日洗うものではありませんでした。
当時高級とされていたホワイト・リネンでシャツを仕立て、毎日洗濯できないため、汚れがつかないように糊付けがされており、そのため衿などは板のように固かったのだそうです。

その後、アメリカのトロイ(Toray)のオーランド モンタギュー婦人が、鍛冶職人であり「毎日シャツを洗ってくれ」というご主人のシャツの洗濯があまりに大変だったため、あることを考えました。

衿を切り離して、汚れやすい衿だけ洗おう。

こう考えたのが始まりと言われています。

なんと革新的な襟なんだ!そう思いながらポロ競技を観戦。

1895年に、接着された衿(アタッチドカラー)で、プルオーバーのスポーツシャツがありました。

これはソフトな衿で、ソフトな袖

おそらくポロ競技でも接着されたソフト衿のシャツを着ていたのではないでしょうか。

ポロは非常に激しい動きのスポーツですから、そこでネクタイが動くのを防ぐため、試合前に襟を縫い止めていたことがボタンダウンのデザイン誕生のきっかけだったとも、、、。

こうして1896年リネン素材で糊付きボタンダウンカラーのシャツをアメリカで売ってみたところ、大変なヒット作となったそうです。

ちなみにそのジョン・ブルックスは、ブルックスブラザーズの社長です。

後に、コットン素材のオックスフォード、糊もないシャツへと進化を遂げます

ブルックスブラザーズでは今でもボタンダウンの襟を、ポロカラーと呼ぶのはこういった背景があります。

ボタンダウン シャツにネクタイは結ぶ

ニューヨークに本店を出店したブルックスブラザーズは、高等船員向けに既製服を作り始めます。

英国の物を扱い始め、高級品店として認知されてきました。

定番のNo1サックスーツ(シングル4つボタン)は元々は英国のスーツをオマージュして取り入れたもの。

ブルックスブラザーズではレジメンタルタイを レップタイと読びました。

右下がりのストライプで、19世紀中ごろの流行でした。

例えばこちらが1921年のフィッツジェラルド、グレートギャッツビーの作者であります。

スーツにボタンダウンシャツを着ていますね。

フィッツジェラルドはプリンストン大学卒業生であり、エリート8大学(アイビーリーガー)であり、ファッションに敏感な大学だったため、このような服装をしているものと思われます。

フレッドアステアも、右下がりのレップタイに、ボタンダウンシャツを愛用しました。

ブルックスブラザーズは英国の伝統を取り入れ、それを変えなかった。

そしてそれほどアメリカにおいて英国への憧れも強かったのです。

1930年には、スーツにボタンダウンシャツという合わせが、上流階級で流行ります。

もちろんボタンダウンのシャツにはネクタイを結びました。

1949年には、女性用のピンクのボタンダウンシャツまでが登場していますね。

ところでボタンダウンシャツというと【ニットタイ】を合わせるというイメージも強いと思います。

ドイツにアスコットというシルクのニットタイ専門店がオープンしたのが1903年ですから、 私たちは実に100年以上の時を経て、ボタンダウンシャツ&ニットタイを装っているということになりますね。

ブルックスブラザーズは革新的なお店だった

長年アパレルの企画に携わっていらした大先輩から教わったことがあります。

それは当時のブルックスブラザーズはメンズストアでは比類無い【イノベーション】のお店だったということでした。

進歩的な考え方がお店のフィロソフィーで、結果的に伝統的と称されていますが、ブルックスファミリーの時代は革新的で画期的なお店であったと。

その考え方を如実に商品化したのがボタンダウン(ポロカラ―)。

着脱式ハードカラーの時代に、接着式のソフトカラーという発想もそうですが、1890年ごろになって、最初に仕入れたのはハリスツイードのジャケットではないかといわれています。

ロンドンでも最新流行のハリスツイード。

1890年頃のロンドンの上流階級の、いうならばお遊び、それをそのままブルックスブラザーズはアメリカに持ち込んだのです。

ブルックスブラザーズはシェットランドセーターなど、ロンドンの最新流行も既に入れていたのですからいかに革新的だったかが分かりますね。

ボタンダウン シャツはビジネスシャツ

いろいろな経緯があって、このボタンダウンシャツは、現代ではカジュアルスタイルに向いていると言われることがあります。

だが、ボタンダウンシャツ開発は、あくまでもカジュアルシャツではないのです。

ビジネス対応のドレス用の白シャツ。

後にこの襟型は、スポーツシャツに転用されます。

つまり、ボタンダウン=カジュアルシャツではなく、フォーマルを除くビジネスシーンで着用するのはなんら問題がない、

ただしスポーツシャツに転用されたので、スポーティな印象を与える、ということですね。

だから公式なビジネスシーン、重要な会談などでは避けた方が無難、という見解もあるのですが、実際のところスーツやジャケットに合わせるのも良いに決まっています。

カジュアルシーンでシャツ1枚で着たい!という場合には、白かブルーのオックスフォードのボタンダウンシャツがあれば重宝します。

洗いを重ねて、着込んだボタンダウンシャツをさらっと着てみてはどうでしょう?

ボタンダウン シャツにネクタイを結ぼう

ボタンダウンにノータイはおかしいか?というとおかしくはありません。

ただしそれはカジュアルスタイルの場合であって、スーツやジャケットを着るのならネクタイを結びたいところ。

ボットーネオーナーの松(右)と一緒に写っているのは、大先生である大西基之師匠。

ジャケットにブルーのボタンダウンシャツ、ブラウンのタイ。

IVYルックというと、簡単にいえば富裕層の通う私立大学ファッションで、普遍的なスタイルです。

そのなかではやはりネクタイを結んだスタイルが少なくありません。

ボタンダウンを着る時の注意

ボタンダウンシャツを着るときにあまりおすすめしないのは、以下の着方です。

・ボタンダウンの襟ボタンを外して着る

ボタンダウンシャツの襟のボタンを外して着てみては?と書かれた雑誌を見たことがありますし、いわゆる「外し」のテクニックとして知られていますね。

これは、かなり上級者でない限りボタンを留め忘れている・・・というようなだらしない印象を与えかねません。

ボタンダウンのボタンはしっかり留めておきたい。

この時、衿のロールが美しく出るのが良いボタンダウンシャツだと思います。

そして衿の中の芯地はソフトな方が良い。

・ボタンダウンの襟穴の色を変える

クールビズが導入されてから、華美なデザインのシャツが増えたように思います。

わかりやすい特徴を入れないと売れないのと、デザイナー自身が服飾学校を卒業していても、アイビーやポロなど歴史については興味がないのかもしれませんね。

ボタンダウンのホールの色を変えてしまうと、その部分が際立って悪目立ちしてしまいます。

まあ、言葉を選ばずにいうと、どう考えてもダサいですよね。

ボタンダウン自体が特徴的なので、できるだけシンプルなデザインのシャツを選びたいところです。

ボタンダウン まとめ

ボタンダウンシャツは、もともとポロ競技の時に襟がパタパタしないようにするための工夫からヒントを得て生まれた、という説もありますが、

ハードカラーで糊付けされた衿、着脱式の衿がスタンダードだった時代に、ソフトで接着式のシャツがスポーツ用に登場したのを、ブルックスブラザーズが目をつけて開発したシャツであり、それはポロカラーとも言われています。

当時のブルックスブラザーズは革新的なストアでした。

その哲学はこのボタンダウンの襟に現れており、オックスフォードのボタンダウンシャツはブルックスブラザーズの象徴ともいえる訳です。

そして、ボタンダウンシャツはもともとはビジネス用の白シャツとして開発されました。

後にスポーツシャツに転用されただけでなのです。

そのためスポーティなシャツという印象からで、カジュアル向きとされる節があります。

もちろんあくまでもフォーマルのシャツではないため、式典、結婚式、喪のシーンには避けるべきシャツであることは間違いありません。

また、ボタンダウンシャツがノータイ専用のシャツなどという事実はなく、ボタンダウンにネクタイをすることがもともとの想定でした。

アメリカの映画を見ていると、ボタンダウンシャツにネクタイを締めたエリートがよく出てきますよ。

ということでボタンダウンシャツを着こなしてみようか。

さて、明日は何着よう?

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nakanomaruライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。

2024年8月13日
オーダーシャツ | シャツのデザイン
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