タキシードの歴史
オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。
タキシードを着る機会とはどんな時だろう。
ドレスコードのあるパーティー?結婚式?
映画で見かけるあのタキシード、実は嘘のような面白い歴史があって誕生している。

日本ではなかなか馴染みがないタキシードですが、最近では持っている方、着る方も増えているように思います。
海外の映画祭や、映画に登場するタキシード。
このタキシードという名前自体、地名だったとご存知でしたか?
歴史のある服にはいろいろなエピソードが残っていて、おもしろいですよね。
今日は、タキシードの歴史をわかりやすく追ってみたいと思います。
ショールカラーの2つボタン、前ボタンは部屋着なので留めず、ガウンのように羽織るタイプになっている。
公式な服、燕尾服ではないから白いボウタイではなく黒いボウタイにしている。
それ以外のアイテムは燕尾服と同じように着こなしていることを見ると、上着だけ着替えたということがわかる。
1860年、イギリスのテーラー街、サヴィルロウのヘンリープールという店に、英国皇太子、プリンスオブウェールズ、エドワード7世がやってきた。
エドワード7世は、「スモーキング(喫煙)用のジャケットを作って欲しい。」と言った。
その時代は、後ろ丈が長い燕尾服(えんびふく)を着て食事をしなくてはならなかったのだが、食後に紳士たちはタバコを楽しんだ。
このタバコの時には、上着だけでも少しくつろいだタバコ用の上着に着替えてタバコを楽しみたい、ということである。
この、スモーキング用のジャケット(スモーキングジャケット)こそ、後のタキシードであった。
6年後の1866年、あるアメリカの金融専門家はエドワード7世と食事した。
ブラウン・ブラザーズ・カンパニーのジェームス・ブラウン・ポッターである。
皇太子に食事に招待され、ポッターは燕尾服で食事をした後、食後に男同士の喫煙タイムになり、見たこともないシンプルで素敵なスタイルのエドワード7世を見たのだろう。
ポッターはその後も2回、合計3回に渡って招待されているそうだ。
そのポッターは、アメリカのタバコ王ロリラード家の資産運用をしていた。
ロリラード家といえば、タバコだけでなく、高級住宅街をつくった。
5代目の、グリスウォルド・ロリラードは、せっかく裕福な方が集まる高級住宅街も作ったことだし、流行のスポーツ(ハンティング)の場所もあってお洒落好きが集まってくるし、会員制クラブのようなのを作って、パーティーを開催しようか!と、5代目は社交クラブを作ることにした。
資産運用していたポッターも、もちろん社交クラブのメンバーになった。
こうして、1885年10月10日、第一回社交クラブ発足パーティーが開催された。
服はどうするか?
ということで、全員で英国のトレンドの服を着てみよう。ということになった。
おそらくエドワード7世と交流があった、イギリスにも足を運んでいて最新トレンドを知っていたポッターが発案者だったのでは?
当日は、エドワード7世が着ていたスモーキングジャケットを、真っ赤な生地で仕立てて、全員でそれを着た。
なんと、この会場になった高級住宅街は、タキシードパークといい、この社交クラブこそがタキシードクラブである。
ということで、なんとタキシードはそもそもアメリカの地名であった。
この村はニューヨーク州ロックランド郡と国境に近いオレンジ郡にあり、ラマポ山地にある。
The evening dress for men now popularly known as a tuxedo (sometimes formally termed black tie attire), takes its name from Tuxedo Park. It was brought there by James Brown Potter, who had been introduced to the garment by the Prince of Wales (later Edward VII.)
男性用の夜会服は現在タキシード(時に正式にはブラックタイと呼ばれています)として知られていますが、その名前はタキシードパークの名前です。これは、プリンスオブウェールズ(後のエドワード7世)より伝えられていたジェームス・ブラウンポッターがもたらしました。
アメリカ版ウィキペディアより引用
こうして1885年に生まれたタキシード。
1889年に、洋服専門誌 サルトリアルアートマガジン8月号にタキシードという言葉が登場、
1894年のナーパスマガジン9月号にもタキシードという言葉が出る。
ここで一体なぜその住宅街がタキシードパークという名前だったのか?という裏話をご紹介したい。
初代ロリラードが財を成して、広い鉱山があった一帯を、ハンティングプレイスにできそうだな、と買い取ったのだが、それ以前に先住民のアルゴンキン族が土地に名前をつけていたのだ。
それは、オオカミがいる場所を意味する、「3つの穴の足跡」=タックシット。
オオカミがいるような、ハンティング場を作るには絶好の場所をロリラード家は買い取って、高級住宅街に育て上げたというわけだった。
つまり、日本でいえば軽井沢ジャケットのような名前がタキシードといえるのではないだろうか。
地名が、世界のセレブもパーティーで着用する服の名前になるのだから、面白い。
もともと、タバコ用に着ていた服なので、今でもヨーロッパの方の中にはスモーキングジャケットとか、スモーキングと呼ぶ方がいる。
このスモーキングジャケットは、今度はディナージャケットとも呼ばれるようになる。
エアコンのないヨットの上で、暑い時に食事をしていたその時に、ヨットくらいは燕尾服ではなくてこのスモーキングで食事をしようか。と簡略化を許した。
これを機に食事の時に着られるようになったスモーキングジャケットは、ディナージャケットと呼ばれるようになった。
今でも英国で、ディナージャケットと呼ぶのはそのためである。
ということで、いつ、どんなパーティーや食事会があっても良いようにディナージャケット(タキシード)も用意しておこうか。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2018年1月7日
フォーマル | オーダータキシードの歴史
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