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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

スーツのエチケット

松はじめです。

服飾評論家 出石尚三先生が、スーツのエチケット、というテーマでお話しされていました。

いろいろとあると思いますが、大きくわけるとたった3つのポイントだ、と。

スーツのエチケットとは一体何なのでしょう?

ご説明してみたいと思います。

 

 

この記事の目次

ルールとエチケットはどこが違うのだろう?

・ルールは半したらペナルティがある

・エチケットは、ペナルティがない

例えばレストランに行って、スープを音を立てて食べたとする。

だからといって逮捕されるわけではない。音を立ててスープを食べると白い目で見られるかもしれないが。

エチケットの語源は?

実は、エチケットという言葉は、フランス語から英語になった。

もともとは札(ふだ)という意味で、1387年からフランスで使われていた。もっと古い言い方で、エッティケット(貼る)という言葉もあった。

出石尚三先生によれば、貼るといえば、札だろう!と札になったそうだ。

札が礼になったのはなぜか?

札(ふだ)が礼(れい)になった理由は、2つある。

1:席順だった説

王様の席に食事に行く。

この時に席順が書かれたカード(札・ふだ)がある。

配られた席順を守ることは大切だ、そもそも宮廷にはそのような作法を身につけていることが条件だ。

こういった礼儀作法が絡んで、札は礼(れい)となったという説だ。

2:花を踏まれないようにした説

フランスのヴェルサイユ宮殿の庭で、姫は花を育てていた。

ところがいろいろな人が歩いたことで、花は荒らされる。

そこで、立て札を立てた。

この花を丹精に育てていますので、花を荒らさないでください!と。

そこから花が踏まれなくなった。

ワインのラベルもエチケットという

余談だが、ワインやシャンパンのラベルもエチケットというのはご存知だと思う。

出石先生がこんなエピソードを語ってくださった。

ムートンロートシルトのエチケットは、シャガールやピカソなど有名な人に描いてもらったものがウリになっています。

1979年に、堂本尚郎(どうもとひさお)も依頼されています。

壁画を描くのか?と思ったら、ワインのラベルと言われ、そんな小さなところに描けない!と断りました。

吉行淳之介(日本の小説家)に話したら、それは断るべきではない、引き受けなさい。と言われて引き受けた。

面白いことに、ワインのエチケットを描く場合に、お礼としてお金は貰えないのだとか。

画料は、ワイン2ケースなのだそうだ。

1つは、自分が絵を描いた1ケース。

もう1ケースはお好きな1ケース。
ビンテージとなれば、画料を超えるかもしれない!

スーツのエチケットとはどういうことなのか?

それでは、スーツのエチケットとはどういうことなのだろう?

出石先生に聞いてみよう。

スーツのエチケットはいっぱいあります。

1000も2000もあるでしょうけど、大きく3つに分けてみます。

1つは、自然。

服が自然であるということ、スーツが自然に見えるということです。(だから中の人も自然に見えるのです。)

料理にも渾然一体(こんぜんいったい)という言葉があります。

私もイタリアに行った時には、朝昼晩パスタを食べました。

そのとき聞いた話では、パスタはどのくらいミキシングされているか?が重要なのです。

私たちは茹で方だと言いますが、そうではなく、味が一つになっているかどうか?と彼らイタリア人は言います。

1口食べて、これは何かの味だ、とわかるのではだめ。

服も同じではないでしょうか?

綺麗なスーツですね、でも中の人が・・・ではだめなんです。

着ている人とスーツが1つに溶け合っているような有り様、それが自然です。

逆に不自然ということがあってはいけません。
手帳を仮に上着のポケットに入れたとする、すると表に響く。これは不自然です。

スーツを着て、どこにも差し障りのない状態、

これは簡単そうで難しい。

服が自然に見える。

そのためには、自然に立っているか?

自然に立つ姿勢じゃないと、服は合いません。

僕たちはほとんど自然に立ってないんです。

自然に立つということがものすごく難しい。

スーツのエチケットを自然軸に当てはめる

自然という軸に当てはめてみよう。

スーツを着る時のこんなエチケットが浮かんでくる

・立っているときは上着ボタンをとめる
・椅子に座るときは前ボタンを外す
・スーツの腰ポケットやヒップのポケットに物を入れない
・表に響く物を内ポケットに入れない

日本のテレビ番組では、座っているのにジャケットの前ボタンをとめている芸能人を見かける。

英国のBBC放送などでは、あまり見ない光景だ。

ボタンをとめたまま座ってしまうと、上着はぎゅうっと後ろに引っ張られてしまう。だから自然に反するのだ。

その他、ベストがフィットしていること、だからネクタイもふわっとしている。ベストはフィットしつつも、窮屈ではない方が良い。

スーツのエチケット2 静謐(せいひつ)

静謐(せいひつ)は、音がないわけではないが、

山・川・海などいろいろあるが、穏やかで静か、平和。

逆をいえばノイズで、スーツに当てはめると次のように出石先生はおっしゃっている。

チェックのスーツにチェックのシャツ、チェックのタイ。
こういうのは静謐ではない。

お芝居でいうと、役者(主役)が多すぎると、混乱します。

主役は1人でいい。

あとは脇役。

要素があまり多くない、でも1つ1つは洗練されている。

また、静謐は、実際の音も静かであることが良い。

歩くとキュッキュッと音がする靴、これはエチケット違反です。

スーツを着ていてポケットから小銭の音がなるのは良くない。

また、柄と柄が重なり過ぎているより、静かに上品に着こなすということだ。

スーツのエチケット3整合

そして最後は、整合(せいごう)。

千利休の弟子が、茶道の極意は何でしょうか?と聞いた時、千利休はこう答えたそうだ。

「夏は、涼しき、冬はあたたかき、です。」

先生、そんなことは当たり前じゃないですか!と弟子は言った。

千利休はこう返した、

「もし私が言ったことができる人がいたならば、私はすぐにでもその方のお弟子になりましょう。」

夏のお茶会にいらした方を涼しくもてなす。

それは大変なこと、そんなに簡単なことではないのだ。

当たり前は難しい。

スーツも当たり前に着こなすということは難しい。

しかし、当たり前に着こなすためには、しっかり合っていること。

スーツはドレスウォッチは合うが、ダイバーズウォッチは合わない。

サイズも、フィットしていることが重要だ。

袖が異様に長いスーツを着ていてはいけないのだ。

ところで、どうしてスーツの袖からシャツが出ていないといけないのか?

それはこちらの記事で。

スーツのエチケット まとめ

スーツのエチケットには、いろいろなものがある。

出石尚三先生によれば、大きくまとめると3つだという。

それが、

・自然

・静謐

・整合

いかに自然で、

いかに静かにまとまっていて、

いかに合っているか。

この3つのポイントに照らし合わせながら、自分自身のスーツスタイルをチェックしてみては?

さて、明日は何着よう?

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2018年6月10日
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