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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

イギリス(ブリティッシュ)のスーツとイタリアのスーツと日本のスーツの違い

「ブリティッシュスーツ良いな!」

「いやいや、ソフトなイタリアのスーツでしょう!」

雑誌を見ても、英国のスーツはこうだ!イタリアはこうだ!と特集が組まれることも少なくありません。

ですが、本当のところは一体何が違うのでしょうか?

なぜ英国スーツは、耐久度が高い、鎧のようなスーツだと聞きます。

写真のようなショルダーをロープドショルダーといいますが、ロープドショルダー=英国?

なぜイタリアスーツは、柔らかいのでしょう?

そして、日本のスーツの特徴は?

本日は、着こなし講義で語っていただいた血脇先生のお話しを元に、このあたりを解説したいと思います。

【結論】そもそも考え方が違う

まずイギリスのスーツは『30年着られる服』、これが根底にあります。

だから素材も英国産の生地はイタリア産の生地と比較して明らかにしっかりしていますし、

30年とまではいかずとも少なくとも長期間に渡って着るのです。

ではイタリアはどうでしょう?

そこまでの耐久度はありません。

生地だけでなく、スーツそのものの縫製だってそうです。

英国のように『長期間着る』ことが根底にないのです。

これは良い悪いではなく、文化の違い。

その背景も、なぜそうなのか?を考えると見えてきます。

英国スーツを着るということは?

まず、英国から解説していきましょう。

いわゆるブリティッシュスーツです。

「私はブリティッシュなスーツが好きなんです!」

当てはまる方も多いのではないでしょうか?

(なんとなく、金融系の企業にお勤めの方に多いように感じます。)

ここで重要なのは、『細かいディテールのことではない』ということ。

チェンジポケットがあるとブリティッシュですよね?とか、肩はこうですよね?とか、

実はそういうことではないのです。

ディテールはあくまで、「それっぽく見せる」ためのものですよね。

とはいえ私自身も「英国生地でロープドショルダーのスーツをつくりたいな」と思うことはもちろんありますし、それでいいのですが、本質という意味では別の角度から見ていく必要があります。

スーツの起源ともいえる英国ですが、

冒頭でお伝えした通り『30年着れる服』を仕立てます。

なぜなのでしょう?

 ●英国人といえば、新しいものよりも古いものに価値を見出すから?

 ●リペアしながら、子供へ継承するため?

 ●モノを大切にする国民性?

そういった側面もあるかもしれません。

ですが、30年着るという前提を考えてみてください。

例えば20歳で、30年後といえば・・・50歳!(あたりまえ)

「20歳に誂えた仕立て服を、50歳でも着られるように!」という想定なのですね。

日本人の感覚だと車でも長くて10年くらいでしょうか。

30年と考えると、、、もはや家くらいですね。

つまりそれは、何を意味するのでしょう?

20歳と50歳・・・・

そうです、体型を維持する必要があります!

数年前のスーツがダメになってしまったという方、それは本当にスーツに寿命がきてしまったのでしょうか?

「自分の体型が変わってしまって・・・」という人も多いはずです。

『服に身体を合わせる!』

私も好きな考え方です。

「オーダースーツは身体に合わせるものじゃないの・・・?」

もちろんそうです、でも、それだけでは不完全と言えます。

多少の調整はあるにせよ、基本ベースの体型を維持する必要がある。

着ると、姿勢正しくしていないといけないようなシェイプした設計。

50歳になっても背筋を伸ばしていなければならない。

つまりは、自分自身への戒め、バロメーター、そしてそれは健康になるために服を着ているとも言えます。

だから、そもそも英国産の生地は素材も丈夫で固い、ということ。

辻褄が合っていますね。

イタリアのスーツ

ボルサリーノ

『夏になると、川にぷかぷかとパナマハット が浮いている。』

その年に着たハットを川に投げ捨てる、イタリアにはそういう光景が見られるそうです。

イタリアのスーツは、先ほどご紹介した英国スーツに比べるとずっと柔らかい。

生地も柔らかい、つくり(仕立て)も柔らかい、着こなしも柔軟。

比べればずっと耐久性もありません。

そして、実際に数年しか着ないという方もいるわけです。

イタリアは食べ物も美味しいですからね・・・

「常に体型を維持しているぞ!」というよりも「少しふくよかな紳士が多いような気もしませんか?」

体型もあって数年で着られなくなるというのもありますね。

そこは世界共通、同じです。

でもそれでOKです、なぜこんなにも違うのでしょう?

それは・・・『職人を守るため!』だといいます。

先ほどのパナマハット を川に投げるのもそのためです。

(日本人の感覚からすると、あぁ、もったいない・・と思うものでしょうか)

また、良い帽子を作ってくれよ!

そのために技術に、文化にお金を払うから。

こういう文化背景がある。

スーツが着られなくなった、だからまた仕立てを頼むよ。

それは職人の技に対してのリスペクト。

英国とは真逆と言えますが、日本人の想像するイタリア人にぴったりではないでしょうか?

ジローラモさんが、「30年前のスーツでね・・・」とは中々想像できません(笑)。

日本のスーツ

どちらも素敵な考え方ですよね。

では、日本のスーツとはどうなのでしょう?

実は今、ヨーロッパは日本に注目しているといいます。

もっといえば、日本の服作りを学びに来る方が増えていると。

意外な感じがしませんか?

本場といわれるヨーロッパ、またアメリカからも、日本に行きたい!渋谷をみたい!と。

なぜかというと、、、

日本の自由なファッションに注目しているから。

日本人は良いとこどりをできるのです。

それはトヨタ自動車を見ても、ユニクロを見てもわかります。

自動車、洋服はもともと日本にあったわけではありません。

ですが、海外のものを取り入れて、器用にそれを作る。

改善を繰り返す。

それに、私たち日本人というのは我が国のスーツはこうである!!というポリシーのようなものはないのではないでしょうか。

(そもそも洋服、洋の服ですから・・)

英国であれば、我々の服はこうだ!というものがあるでしょう。

イタリアもしかりです。

日本は、良くも悪くも、そういう感覚がない。

バランス感覚にすぐれ、イギリスの良いところも、イタリアの良いところも取り入れているではありませんか!

まとめ

イギリス、イタリア、日本。

それぞれの文化があり、

スーツは育ちました。

30年着られる服を設計するイギリス、

職人を守ることを考えるイタリア、

良いところを取り入れる日本。

そして日本の服は世界から注目されています。

それはスーツもそうですし、デニムなどもそうですね。

もう一度価値を見つめ直してみても良いかもしれません。

さて、明日は何着よう?

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2022年1月23日
ファッションアイテム | オーダースーツ

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