人はどうしてネクタイを巻くのか?勘違いは歴史をつくる
日本ではクールビズという、ネクタイをしなくても良いとされる期間が生まれてすっかり定着したようにも見える。
しかしクライアントから聞いた話では、ネクタイに慣れていて依然として締めているという上層部の方々もいらっしゃるようだ。
このネクタイ、一体なぜ巻く必要があるのだろうか?
そしてネクタイはどうして生まれたのだろうか。
ネクタイという言葉から考えてみよう。
ネクタイ、分解するとネック・タイとなる。
ネック(首)のタイという、非常にシンプルな言葉である。
首に何かを巻く、ということ自体ネクタイを巻くようなことは古代ローマから始まっている。
フォーカーレという。
フォーカーレとはまさにスカーフの元祖のような存在で、演説をするときに巻いたのだ。
演説をする、だから喉を大切にしよう。
そういうところから麻布を首に巻いたのだった。
そして演説をするということはある種エリートといえる。
だからフォーカーレを巻いている=エリートの象徴でもあった。
もともと首に何かを巻くということは、喉を守るという実用面と、エリートの象徴なのだ。
講師:出石尚三 先生(銀座ファッションアカデミア)より
このように、300年ほど首に何かを巻くという文化は続いている。
西洋の文化において、フォーカーレにしてもボウタイにしても、何か巻くのだ。
ところでネクタイの原型といえば、クラバットだ。
クラバットというのはもともとクロアチアの兵士が巻いていたものだ。
・・・
男に渡すと、生きて帰れるという迷信があったんです。
首布は、ドレスの一部などを兵士は貰って、さてそれをどうしよう?と首に巻いたわけですよね。
講師:出石尚三 先生(銀座ファッションアカデミア)より
どうか生きて帰還して!
そのメッセージを込めた首布。
現代でもビジネスという戦場にネクタイをキュッと締める、気が引き締まる。
これはそういったタイが持っている意味を感じ取っているのかもしれない。
このクラバット、実はクロアチア兵という意味なのだ。
なぜクロアチア兵=アイテム名になったのだろう。
なんと、ある嘘のような勘違いからすべては始まったのだ。
1635年頃、フランス軍が30年戦争の時。
クロアチアから傭兵(ようへい)を呼んだ。
現代でもあるようだが、要するにお金を払ってうちの国の兵隊になりすましてくれ!ということだ。
シンプルにいえばアルバイト・派遣のようなイメージだろうか。
クロアチア兵たちはフランスに集まったわけだ。
クロアチア兵たちは首に、彼女の服の一部をくるくると巻いていた。
それを見た、フランスのルイ14世。
「あれは何だ?」
側近にそう訪ねた。
側近は、クロアチア兵をご存知ないのか?と、迷わずにこう答えた。
「クロアチア兵(クラバット)でございますよ。」
ルイ:「あぁ、あの首の巻物はクラバットと呼ぶのか!」
こうして、ルイの勘違いによってクラバットということになってしまったわけであった。
クラバットっていうのは、みなさんフランス語だと思っていると思うんですけど、
cravate、eがつくのがフランス語。
cravat、eがつかないのが英語。
これは、1635年頃に、フランス軍が30年戦争の時に、クロアチアから傭兵(ようへい)を呼ぶんです。
お金を貰ってそこの兵隊になりすまして戦うってこと。
ルイ14世が見ると何か首に巻いてる、と。
なんだあれは?
というのはクロアチア兵のことでしょうか。
と部下が答えたことを、多様はあの首布はなんだときいたんですね。
講師:出石尚三 先生(銀座ファッションアカデミア)より
首に何かを巻くということは、色々な意味がある。
タキシードや燕尾服を着るときにボウタイを結ぶ。
このボウタイ、燕尾服を着るときは白いボウタイとなるのだが、本来のボウタイは手で結ぶ。
そして白のリネンを、一発勝負で結ぶのだ。
どうして一発勝負かというと、一度結んでほどくと、跡が残る。
つまり、そのくらいあなたとの会食、あなたとの会談、あなたとのこの日この場に装って参りましたよ、ということを表しているのだ。
何よりもタイを締めると背筋が伸びる。
いよいよ10月からネクタイを締める、という方もいらっしゃると思う。
背筋が伸びる感覚を久しぶりに感じるのではないだろうか。
ということで、タイに、シャツに、スーツ、しっかりと準備しようか。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年9月30日
オーダースーツ | オーダースーツの歴史
タグ:スーツ, スーツ小物, ネクタイ, 服飾史
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