もう惑わされない!同じSUPER120’sなのに、金額が違うのはなぜ?
オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。
松はじめです。
スーツをオーダーするときに、生地には色々な数字が書かれていますよね。
なかでも、SUPER120’sなどと書かれている表記を見た方もいらっしゃるのではないでしょうか?
これは、原毛の繊維の太さ・細さを表している単位なのです。
でも、同じSUPER120’sと書かれている生地でも、金額が結構違う場合があります。
一体、何が価格差の原因なのでしょうか?
今日はそこを解説いたします。
スーパー表記が同じ120でも同じ品質ではない
バルベラやロロピアーナには自社用の羊が
スーパー120といっても、全部がスーパー120ではない
数値が高ければ良いというものでもない
良い生地だと何が違ってくる?
同じ織元(ブランド)同じSUPER表記でも、量販店とテーラーの生地は違う?
まずは信頼できるお店や人を見つける
そもそも2つの生地があり、スーパーの表記が120だったとして、
どちらも120だから、同じ繊維の細さで、同じ品質、ということではない。
カノニコという生地の織元が出しているスーパー120とでは、
生地の値段だけでも1.5倍以上違うから、スーツ価格もそのくらい違う。
どうして違うのかといえば、
まず、原毛の違いだ。
出展:https://www.loropiana.com/jp/より引用
例えば品質の良い生地を織ることで知られている、カルロ・バルベラや、先ほども名前が出たロロ・ピアーナという織元などは、自分たち専用の牧場と提携して、良い羊を育てている。
人間もそうだが、動物も環境や育て方で出来が変わるもの。
良い餌で、大切に育て上げられた羊と、大量に画一的に育てられた羊とでは、刈った毛の質が違うのは当然なのだ。
例えば、これが良い環境で育てた羊毛。
やや色が黒ずんでいるのがわかる。
それから、匂いも違う、臭い。
ところで、ウールの良し悪しを決定する要素の一つに、白度(びゃくど)というのもある。
白度が高い方が染まりやすい。
このように、羊にも色々なのがいる、ということなのだ。
スーパー(SUPER)というのはあくまでも繊維の太さの単位でしかない。
だから、そもそもの羊のポテンシャル次第で最終製品が違ってくるのだ。
そして、さらにいえば、
生地を構成している繊維の、全てがスーパー120でなくとも、
表記としてはSUPER120’sと書くことができるのだ。
ウールも一部化学繊維が入っていても、
ウール100%と表記できるし、
こういった数値だけに頼って購入してしまうと、思ったよりも良くなかったな、と失敗する可能性があるわけだ。
そもそもスーパー表記というのは、国際羊毛繊維機構(
だが、例えばベルギーのスキャバルという生地の商社(マーチャント)ではそれよりも厳しい自社基準を定めているという。
そもそも、スーパーは原毛の繊維の太さなのだが、
これが120、130と数値が上がれば繊維が細くなる。
じゃあ150、160と細ければ良いのかといえばそうではなくて、
日常ヘビーに使用するスーツでスーパー150は繊細過ぎる。
また、まったく考えが異なるのが、英国羊毛だ。
最近は細い繊維、細い糸、と求められているから温暖な地域で飼育されたメリノウールが重宝されるのだが、
寒い地域にいる英国の羊毛も負けてはいない。
まったく服作りの考えや用途が違うから、スーパー40などもあるのだ。
関連:>>英国羊毛の種類
関連:>>サヴィルロウの考え方
ということで、一概にスーパー120の生地だから良い、
というようなことではなくて、原毛の良さや繊維の細さ、糸の細さなどなど、
着用する目的とか、どんな服を作るのか?を考えながらトータルバランスを考えて選んだ方が良い。
それで、良い生地だと一体何が違うのか?ということなのだが、
そう、防シワ加工って書かれた生地・・・それは裏を返せば品質が悪い原毛だから加工してますよ、という風にもとれるのだ。
良い原毛の生地のスーツは、もともとシワの復元力が高いから、
ハンガーに吊るしておくだけでもスッとシワが消えていくものなのだ。
それから、国によって特徴が違うのだが、
染色もオリジナリティがある方が面白い。
良い色を出せるかどうか?も良い生地かどうかにつながってくる。
このように表記や数値、ブランドだけで判断してしまうと大火傷することがある。
例えば有名な織元であっても、素材の品質を落として織ることもできるし、
化学繊維を混ぜて織ることもできるわけだ。
また、量販店向けなどの生地と、サルト向けの生地とは完全に別ラインとなる。
シャネルのようなメゾンブランドに置き換えたなら、
オートクチュールコレクションではデザイナーが極上の素材で、練りに練ってデザインした服を作るのだが、
実際に店頭に並ぶ(プレタ)のはもう少し売れ筋の、いわゆる商売として売れるよね、という服が並ぶことになるわけである。
オーダースーツを作ろうとする場合、見本を見てもなかなか完成がイメージしづらい。
ましてや数値に頼れないとしたら、生地見本に触れたときの自分の指の感触を信じるしかない!ということになってしまう。
そこで重要なのが、お店や提案者なのではないだろうか。
信頼できそうなフィッターに要望をぶつけて、かかりつけの洋服屋をもっておくと良いと思う。
仕立てるとしたら、
どんな服がイメージだろう?
まずはぶつけてみよう。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年1月16日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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