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フォックスブラザーズのフランネル スーツ!生地の歴史をダグラス・コルドー氏トークショーでお伺いした

松はじめです。

フランネルの生地、といえばフォックスブラザーズが思い浮かびます。

フォックスブラザーズとは、歴史ある英国の生地の織元(ミル)です。

そんなフォックスブラザーズより、社長のダグラス・コルドー氏が来日。マルキシ株式会社でトークショーが開催されたので、その模様をお伝えします。

この記事の目次

モノ作りに敬意を!ダグラスコルド氏

これまでずっとファッション業界に関わってきたというダグラス・コルドー氏。

フォックスブラザーズという老舗ミルを経営、長くに渡って低迷していた同社を蘇らせ、フォックスに関連した製品も好調だ。ジェレミーハケット氏とのランチで、フォックスを経営することとなった。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]写真の愛犬は、リベットという犬種で、レースドック、名前はブー。メスです、いい犬だけど、とんでもないおてんば!猫を見ると大変だよ!

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小回りが効かない、目を引く大型車。ダグラス氏の愛車、ランドローバーのディフェンダー。

何年か前に生産中止されることを知って、2014年に生産された最終モデルをもう一台!と手に入れたのだそうだ。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]お客様を迎えに行くのもちょうどいい、トートン駅まで来たら迎えに行きますよ。[/speech_bubble]

来訪者はこのフォックスブラザーズのショールームに通されるという。

非常に雰囲気がある空間だ。おそらくご自宅もこのようなテイストで、クローゼットにはうっとりするようなスーツたちがかかっているのだろう。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]私はモノ作りというものに敬意をもっています。人の手で作られたものが大好きなんです、そういったものに囲まれた生活を意識しています。

[/speech_bubble]

1772年創業のフォックスブラザーズ

フォックスブラザースは、1772年創業というのが公式な創業の年となっている。

のだが、どうやらさらに古い歴史があるのだとか。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]エクセター大学の文献によると1620年までの歴史が辿れるんです。 ウエアーアンドコーという会社があって、(結果的にフォックスが買収することになっているが)1620年にフォックスブラザーズのルーツがあって。[/speech_bubble]

ウエアーアンドコーと同じルーツがあるんじゃないかと思い、今それを調べてるいるのだそうだ。

フォックスブラザーズ 最初は軍服用サージから

アーカイブブックは100冊くらい残っていて、古い物は1773年の記録が眠っているという。

今やフランネルといえばフォックスと呼ばれるくらいにフランネルのイメージのフォックスブラザーズだが、1772年の創業当時は、どういう素材で有名だったのだろう?

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]最初はサージです、軍服用の。それはどこのミルでも主要な商品でした。 フォックスは、ロイヤルアーミー(英国陸軍)にサージを卸ししていたのが始まりです。[/speech_bubble]

フランネルは一体いつから?

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]創業1年後1773年からです。 今でも創業当初からのアーカイブブックが残っていて、辿るとフランネルが登場します。 特に有名なグレーフランネルに非常に近い物はもうその頃に登場していますよ。[/speech_bubble]

フォックスブラザーズ全盛期到来

フォックス取り扱って3年、一斉を風靡した時代になる。第1次大戦前の1910年、5000人のスタッフが働いていたという。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]当時、ウエリントンという地域はイングランド南西の小さな街。そこに5000人の従業員がいて、学校・病院も経営していました。

さらには銀行を持っていて、独自通貨も管理。実際にロイズバンクというメガバンクの礎の1つとなった銀行まで持っていました。[/speech_bubble]

19エイカーの敷地があって、なんと端から端までだけで3マイル(5キロくらい)の幅があった。それくらいフォックスはかなり大きな規模を持ってたことがわかる。

暖房の発達で困難な時代が

1920、30年代の写真が登場した。

今はフォックスの所有物ではないが、この建物はいまでも存在しているのだそうだ。

1940年代くらいから、会社の経営が難しい時期になったのだそうだ。

理由は、セントラルヒーティングが普及して、暖かくなってきたことだ。

洋服は気候によって大きな影響を受ける。現代の日本では冷房・暖房が整ったため、一年中綾織りの同じスーツで過ごす人もいるくらいだ。そういった意味では英国で洋服が発達したのは、寒い地域だったことも大いに関係がある。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]こうして時代とともにフランネル自体も、フォックスも、難しい時期がありました。

ただ、その当時の経営者はフランネルに情熱がなかったんじゃないかな?

フォックスは1950年代までフランネルという商標そのものを持っていました。

私たちはフランネルを作り上げた会社だと認知されています。 [/speech_bubble]

それ以降は、フランネルと他社も使えるようになったものの、フォックス=フランネルというイメージは人々の脳裏にこびりついている、おそらく今後も離れないだろう。

フォックスブラザーズを着用したウィンザー公

フォックスブラザーズの服地は、数々のセレブリティに愛されてきた。実際にどんな方が着用されたのだろう?

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]こちらはウィンザー公です。 ハンサムで、彼は非常にフォックスのフランネルを愛してくれていました。 キャップからして、こういう装いを好んでくれていました。今、フォックスとしましてもウィンザー公が愛した柄を復刻する、という取り組みを企画していいます。 [/speech_bubble]

ウィンストンチャーチルもフォックスブラザーズを着た

サーウィンストンチャーチル、元首相である。

この方もフォックスフランネルを非常に愛した人の1人。

この写真、当時戦時中に広告写真としても使われた有名な写真で、ヘンリープールで仕立てたスーツということだ。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]全く同じチャーチルのチョークストライプはヘンリープールのエクスクルーシブとして展開しています。

この写真、実は背景が切られていまして・・・ 戦車が並んでいたと言われています。[/speech_bubble]

なんとこの写真はチャーチルが戦車隊を訪問した時に撮った写真で、だからこそ銃を持ってるんですけど、戦車隊の前にいるのです。結果的にメディアが、広告写真として使って有名になったといわれている。

北北西に進路を取れのケーリーグラント

ケーリー・グラントは、北北西に進路を取れなど映画でも有名な、ハリウッド俳優、もともと英国人である。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]ブリストルという港町で、フォックスのあるサマセットから1時間、この地方では大変有名な方です。 彼は着る物やファッションへのこだわりが強く、でファッションアイコンになるようなスターだったと言われています。[/speech_bubble]

デイビットボーイはアルマーニ?

デイビットボーイ。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]有名な写真なんですが、この写真が気に入っていて、どこで仕立てたのだろうか?と調べたんです。

すると・・・ アルマーニだった(笑)生地はフォックスです。[/speech_bubble]

ブリティッシュスタイルのレイフファインズ

レイフファインズ氏は、007の映画のM役ジュディーデンチ氏の後継、新しいM役。

ハリーポッターの最も恐ろしい闇の魔法使いであるヴォルデモートという役でも有名な方だ。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]この007の、スペクターという映画に出演した時に着ていたのがフォックスです。

スカイフォールでもフォックスですね。

私はこの写真が気に入っています。

古い時代からのセレブリティもたくさんいるんですが、モダンな映画でも ロンドンのティモシーエベレストの非常に素晴らしいスーツです。ダニエルクレイクはタイトで今風ですが、逆にレイフファインズはブリティッシュな正当なスーツを着こなしてくれていて、私は気に入っています。[/speech_bubble]

007原作者のイアン・フレミング

左のショーンコネリー氏は最も有名なボンドの1人だが、右がイアン・フレミング氏は007シリーズの原作者。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]イヤーフレミング氏がフォックスのストライプ生地を着ています。

私たちは英国ブランドなので、ブリティッシュのいろいろな物へのこだわりや愛情をもっています。

007は最新作にも生地を提供していますが、この時代からも提供しているんです。

メンズプレシャス(雑誌)の記事が出ますが、バーマンの特集があります。そこで、パラッツィグリーンという彼のためのフラノを開発しました。いろいろな英国的な素晴らしい物への試みを行っています。[/speech_bubble]

Mr.クラシック ジェレミー ハケット

日本でも雑誌にも数々登場されている、「Mr.クラシック」と称されるジェレミー ハケット氏、ハケットロンドンの創始者。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]ハケット氏のお若い時の写真で、今はもっと渋みがありますが(笑)

私がフォックスを経営することになったキーマンです。

とにかくエレガント、素晴らしい方で、フォックスフランネルのファンの1人です。[/speech_bubble]

フォックスブラザーズとの出会い

トークショーを開催し、同時通訳を行うマルキシ株式会社の岸社長。岸社長がフォックスに行った時の話なども交えてトークショーは続く。

ところで、ダグラスコルドー氏がどういう経緯でフォックスという会社を所有することになったのだろうか?

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]2008年にフォックスブラザーズを取得して経営することになりました。 本当に財政がひどく、あと3日遅ければ会社がつぶれてたんじゃないか?という危機的状況でした。[/speech_bubble]

ダグラス・コルドー氏は15歳でTシャツをプリントして商売をはじめる。

その後ペペジーンズ(英国で最も有名なジーンズブランド、スペインの資本)で17年間働く。

それからもデザインスタジオをやったり、アウターブランドをやったり。

でもなぜ突然フォックスブラザーズのフランネルに出会って社長になることに?

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]ペペジーンズは若い層をターゲットにしていましたが、私自身が同じ若い世代でやりがいがあったんですが、年齢を重ねてもっと自分に合ったものをやりたいと思ったんです。

その時に、ジェルミーハケットさんとランチをして。

何かやりたい!業績低迷していて私がやれることはないか?

と、そんな時にフォックスがある!!とハケット氏から紹介されたんです、まさにご縁です。[/speech_bubble]

ある資金提供者

実は、当初は自分でブランドをやってもいいかな、と思っていたダグラス・コルドー氏。

しかしフォックスの名前に興味があった時期もあり、転機は訪れる。

そして資金的にキーパーソンになったのが、デボラさん。

デボラさんといえば、英国では街を歩いている人のほとんど知っていると言われる方で、 BBC2で放送されているドラゴンズデン(日本で有名なマネーの虎のライセンス版)の有名経営者。

なんと、この方、偶然フォックスブラザーズのサマセットエリアのウェルリントンのすぐ近くに住んでいらっしゃった!

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]偶然、個人的に30年以上知っていまして、仲が良くて・・・。

投資してくれないか!と話したら快諾してくれました。

これで資金的な部分においては彼女に助けてもらいました。[/speech_bubble]

織物工場は困難の連続

共同で所有することになったデボラさんとはじめて工場に入る、カシャン、カシャン、リズミカルな織機が奏でるモノ作りの音を聞いて、恋に落ちる。

だが最初の1年間は大変で。泣きたくなるような日々だったそうだ。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]買収から10年経過しまして、ようやくいろいろな新しいことができるようになりました。[/speech_bubble]

フォックスブラザースのモノ作りの現場

織元の大きさを知るには、織機は何台くらいあるのか?を聞くとわかる。

実際にフォックスには何台くらいの織機があるのだろう?

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]非常に小さい会社です、9台ありまして、新しい織機が2台入りますから、織機は11台です。

スタッフの数は32人。

写真はウォーピングといって、経糸(たていと)を整形(せいけい)をしています。生地を織るという手法は古代から変わっていないんですが、経糸をセットして、緯糸(よこいと)を打っていく。これは織機にかける準備してるところです。[/speech_bubble]

新しい織機は早い。現代では高速織機スルザーなどが当たり前。

しかしフォックスは旧式織機でゆっくり織り上げる、そのため1ロール(約50m)織るだけで7時間かかる。

特にフランネルは縮むので、これは一番有名なクラシックというコレクションに入っているのだが、2500本もの経糸を入れているものもある。

ウォーピングがおわって、人力で織機にかけるためにヘドル(綜絖ーそうこう)という穴に、1本ずつ糸を通す。

このあたりの作業はアリソンさんという女性が担っている。アリソンさんは4世代ずっとフォックスブラザーズで働いているのだそうだ。

針金のようなものの中央付近には、糸を通せる小さな穴がある。この穴に、人の手で地道に糸を通していく、これが綜絖(そうこう)通し。

さて、生地の経糸が2,500本あるということは、、2500本の綜絖に糸を通していかなければならない。

なんと骨の折れる作業なのだろう!

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]この作業が、一般的なフランネルだと6時間、重たいものは8時間くらいかかります。

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スピードを落として織る

織る時間も、5時間程度はかかる。

[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”fox.jpg” name=”ダグラス・コルドー氏”]

もっと早く織ることは可能です。

1分間緯糸は600本が普通ですが、うちは300本、半分のスピードでやっています。

非常にいいメリノウールの原料を使っているので、スピードおとして糸に負担をかけないで織るのです。敢えて時間をかけて追っています。[/speech_bubble]

織り上がった後に行う補修作業。

糸が抜けていたりするのを熟練の職人が手で治していく。

手のかかる直しになると10時間かかるそうだ。

古い織機の方が、問題を検知しづらいから、こういう手間がかかる。

シャンパンで乾杯

こうして、ご縁あって今回は素敵なトークショーに参加させていただくことができた。

トークショー終了後はシャンパンが振舞われる。

会場からの、

ダグラス社長からみて日本のモノ作りはどう思う?」

という質問に、

日本の物作りに敬意を持っています。スーツ、靴、それにデニム、本当に素晴らしい物作りです。

特に細部へのこだわりが感じられる。実は日本の靴職人に作ってもらったことがあります。スーツも作ってみたい。」と回答されていた。

私も今回いろいろなお話しをお伺いし、生地の織元・日本の葛利毛織さんにお伺いさせていただいた時のことを思い出した。カシャン、カシャンという心地よい音とともに織りなされる表情を持った生地。古い織機は手がかかるが、織物にとってスピードは全てではない。

フォックスブラザーズは文化である。低迷していたフォックスブラザーズが、もし消滅していたら・・・?数々のアーカイブがどうなってしまったのだろうか、と考えただけでも恐ろしいものだ。

ダグラスコルドー氏の本日の靴。手入れが行き届いたセミブローグの靴はフォックスブラザーズのダブルブレストのフランネルスーツに見事に調和している。

ボットーネの一同でお写真をご一緒してきた。

まとめ

日本には、糸偏の漢字が多い。織る、編む、紡ぐ。

こうした糸偏の漢字を見ると、どこか暖かい気持ちになるのは私だけだろうか?

フォックスブラザーズ、それはフランネルであり文化である。

ゆっくり織り上げるそのフランネルは、まもなく250周年というフォックスの歴史であり、文化である。

ハケット氏との縁で携わった織元工場の経営から、ドラマは紡がれていった。

さて、明日は何着よう?

 

 

 

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2018年10月6日
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