スーツに肩パットは古い?
スーツの印象を語る際にポイントとなるのは、
・どんな生地を使っているか?
・どのようなシルエットが?
・ラペルの幅は?着丈は?
などがあると思います。
同じ生地を使っていても、ディテールが違った特徴を持っていれば全然印象の違うスーツになります。
その中でも最近特に重要視されているのが 『肩周り』の表情ではないでしょうか。
肩パッドの入ったスーツは古い?
スーツには本来、肩パットが入っていました。
「肩パット」と聞くと、なんとなく古臭い感じがしてしまいませんか?
80年代に流行ったスーツはビッグシルエットが基本。
自身の身体(肩幅)よりはるかに大きい肩幅のスーツを肩パットでしっかり支えることで着用していました。
そうしたイメージがあるからか、肩パットが入ったジャケットは古いというイメージを持ってしまうのです。
ですが、これは決して一概に言えることではありません。
正しいサイズ感のスーツであれば、肩パットが入っているからといって「古い」という印象は全くないですし、なんでもかんでも肩パット無しが正義のような風潮は間違っていると思います。
ということで、この記事では肩パットはあった方がいいのか? ない方が良いのか?
また、それぞれの違いについて書いていきたいと思います。
どんなスーツなら肩パットが入っていた方が良い?
肩パットがあるスーツのメリットは、構築的な肩周りの表情を作り上げることです。
まずは、スーツをどのようなシーンで着用するのか考えてみてください。
・お客様と対面する時に着用するのか
・社内のプレゼンで着用するのか
・おしゃれを楽しむプライベート着としてのスーツなのか
これらの違いによって、よってスーツに求めるものが人それぞれ変わってくるはずです。
例えばビジネスで使うネイビーのスーツ。
ネイビーのスーツが与える印象は、ざっくり言うと「しっかりとした人」ですよね。
ネイビーのスーツを着ればどんな人でもしっかり者に見える、いわば魔法のアイテムです。
そうしたネイビースーツを着るビジネスシーンの場合場、必要になってくるのは「お洒落さ、かっこよさ」よりも、「誠実さ、安心感」などではないでしょうか?
それら求める場合、そのスーツには肩パットは入っていた方が良いと思います。
(このように構築的な肩周りに)
肩パットが入るとはいえ、パットの厚みにも種類がありますので、なにもガチガチの肩周りになるということではありません。
分厚いパットはさすがに今の時代では合わないと思いますので、0.2cm程度の薄いパッドを入れるだけでも、きれいな肩周りを作り上げることができます。
さらには、英国好きの皆様は「コンケープドショルダー」という袖付けの手法もご存知ではないでしょうか?
肩先がこんもり盛り上がった袖付けは、英国紳士のようなエレガントな表情に。
このようなスーツには、当然肩パットがあった方が良い雰囲気になります。
(コンケープドショルダー)
ビジネスシーンなどで、スーツが持つ本来の良さ『誠実さ・安心感』が求められる場合には、肩パットは入っていた方が良い。
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最近のスーツ・ジャケットはパット無しが多い
最近セレクトショップなどで見かける既製品のジャケットを触っていると、肩パットが入っているジャケットはほとんどないと思います。
いわゆる”アンコン仕立て”のジャケットが多く、快適さ・軽さを追求したジャケットにはパットが入った構築的な肩周りは相応しくありません。
パット有/無の違いだけでも、ジャケット全体の重さが変わりますので、重量面から考えてもパットは省かれています。
そしてアンコン仕立てのジャケットが主流となってから、その流れらかスーツにもパット無しのものが本当に増えてきました。
柔らかい素材を使って、肩周りも柔らかく丸みを帯びたショルダーラインを作り上げるのです。
(丸みを帯びたショルダーライン)
日本に展開されているインポートのスーツブランドは、そのほとんどがイタリア。
特にナポリを中心としたブランドの勢いがあります。
ナポリの仕立ていうと、全体的に柔らかく、「マニカ・カミーチャ」といってギャザーの入った袖付けなどが特徴的です。
イタリア系ブランドの全盛期の今の時代、肩パットの入っていない軽やかな仕立てのスーツというのは時代にマッチしたスタイルといえます。
(マニカ・カミーチャ)
タイドアップなどのスタイルにももちろん合いますが、個人的にはハイゲージニットなどをインナーに、少しカジュアルに着る方が良いと思います。
それこそカーディガン感覚で、さっと羽織るくらいの快適さが求められているのです。
最近の主流は肩パットなしのアンコンジャケット。
いかに軽く、柔らかく仕立てるのか、その技術を各ブランドが勝負している。
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肩パットは抜けばいいってものじゃない
既製服の場合はパット有/無は選べるものではありませんが、オーダーメイドの場合は仕立てから調整することが可能です。
普通の仕立てで、単に肩パッド抜くだけという訳ではなく、全体の仕立てをソフトにしてその雰囲気にに合わせた肩周りを作っていく。
そうした方が全体で見た時にまとまりがあるスーツになります。
オーダーの場合、体型補正もしっかり加えますのでパット無しでも安心です。
ですが既製品の場合は、体型によっては注意しなきゃいけない人もいます。
例えば、極端になで肩の人。
なで肩は、基本的にはスーツを美しく見せてくれる重要な要素でありますが、なで肩にコンプレックスを持っている日本人は多くいます。
極端な撫肩の人がパット無しのジャケットを着ていると、背中から見た時に大きなシワがよってしまいます。
また肩幅が狭い人も、肩先がだらんと落ちてしまいますので、その姿はお世辞にも美しいとは言えません。
身体が華奢な場合は、それをパットや副資材で補った方がエレガントに男らしく演出できます。
逆に、いかり肩の人も注意しなければなりません。
痩せ型、小柄な方に多い怒り肩ですが、いかり肩の人がアンコンジャケットを着ると、肩の多淫をきれいに形成できずに、全体的にシワがよってしまいます。
ジャケットは肩で着る、と言われるくらい重要ですので、その方がしっかりフィットしていないことには、快適な着心地など到底実現できません。
オーダーの場合は補正を加えたり、薄く芯だけ入れたりして微調整できますので、肩に特徴がある人はオーダーの方が良いと断言できます。
肩パットのないモデルの場合、身体的特徴をカバーできない場合も多いので注意が必要!!
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まとめ
ということで、パットの有/無の違いについて記事にしましたが、結局はどちらもおすすめの仕様です。
単にどっちが良い悪いの世界ではないということです。
ご自身が求める、
・スーツからもらいたい印象はどういうものなのか?
・使う生地はどういう素材なのか?
・ご自身の身体の特徴はどうなっているのか?
こうしたことを総合的に考えながら、最適な答えを見つければいい訳です。
決して「木を見て森を見ず」になってはいけません。
肩バットだけがスーツの良し悪しを決めるものではないので、全体で見たときの一つのディティールとして考えてみてくださいね。
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ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2023年12月3日
オーダースーツ | スーツのディテール
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