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あなたが知らない本当のタータンチェックとは?

タータンチェック

タータンチェックというというとどのようなチェック柄を想像するだろう?
主に赤い生地がベースのチェック柄が頭の中に出てこないだろうか?
本当はどのような柄なのだろう、今日はそのあたりを追ってみたい。

まず、タータンチェックというそもそもの呼び名が、日本独自のもののようだ。

タータンチェック

タータンチェックは日本独自の呼び名?では由来は?

タータン・チェックという呼称は日本だけのもののようである。通常は単にタータンと呼ぶのが一般的であり、タータン・プラッドという言い方の方が理解されやすい。

メンズウエア素材の基礎知識[毛織物編]大西 基之 著より引用

ということで、通常はタータンと呼ぶのだ。
ではなぜタータンと呼ぶのだろう?

語源はフランス語の古い言葉でテリターナ Teritana(麻と毛の交織織物)から転訛したという説や、13世紀中期にスペインでつくられたチリタナ Tiritana という小さな格子柄が起源という説がある。

メンズウエア素材の基礎知識[毛織物編]大西 基之 著より引用

タータンチェックとは

タータンの語源は、テリターナかチリタナなのではないかという説。
そういえば背広の語源は英国のテーラー街、サヴィルロウが訛ってセビルロウ・せびろう・せびろ、となったという説もあるのだが、実は私は背が広いから、背広、という説の方が信憑性が高いのではないかな、と思っている。

背広の語源については語り出すとこの記事が溢れそうなので、別の機会にしよう。
閑話休題、タータン自体はスコットランドが独立した国であった時代から存在していたようで、スコットランド王家のために戦った氏族(クラン)が、その領主ごとに違う柄にしたのだそうだ。

クラン・タータン、氏族の領主ごとの柄は、戦いで良い成果が得られると1本チェックを増やしたり、分家ができてまたチェックを1本増やして・・・という風にどんどん柄が増えていったのだ。

タータンは家紋のようなもの

大西基之×ボットーネ

日本の家紋と同様、と本文にあります。
向こう(ヨーロッパ諸国)ではタータンを見ればわかるのだろうね。

タータンというのは、本当に、種類が多い。
170を超えるというけれど、もっと多いのです。

ちなみに伊勢丹、Jプレス、ブルックスブラザーズなども登録しています。
バーバリーチェック、あるいは伊勢丹チェックなどと聞いたことはないですか?

メンズウエア素材の基礎知識&セビロの哲学講座より 大西基之先生

10月30日(水)伊勢丹のタータンが、 「マクミラン/イセタン」として生まれ変わります。 ~原点を大切に、あたらしい未来へ。~

多くの皆さまに愛され続けてきた、伊勢丹の象徴ともいえるタータン。2012年11月には、スコットランド・ター タン協会(※1)より、長年にわたり日本におけるタータンのプロモーションに貢献したとして、タータン・アワー ド全6部門(※2)のうち、「Best use of tartan in packaging(パッケージ部門)」 において、他部門に 先駆けて世界で初めて受賞しました。これを機に、私たちが使い続けてきたタータン(もともと「マクミラン/ア ンシェント」の色と柄をアレンジしたもの)から改めて布地を織り、オリジナルの「 マクミラン/イセタン」としてリ ニューアル。全世界のタータンを一括統制するため、スコットランドが国として管理するスコットランド・タータン 登記所に、正式に登録されました。

※1 スコットランド・タータン協会:スコットランドの大手織物メーカーとタータン小売店が、タータンのプロモーションを主な 目的として設立したスコットランド政府登録の非営利団体 ※2 タータン・アワード:2013年以降設立予定のアワードで、スコットランド・タータン協会が、タータンのプロモーションに 貢献したと認定した個人や組織に対して贈られるもの

2013年9月18日 株式会社三越伊勢丹ホールディングス 報道関係資料より引用

■伊勢丹のタータンの始まり

伊勢丹といえばタータン。その始まりは、1956年に新宿店にオープンしたティーンエイジャーショップにありました。 服地として人気を集めていたタータンを使ったスカートやマフラーが好評で、次々に商品を拡大。商品は当時包装紙 に包んでお渡しするのが一般的でしたが、1958年頃、ティーンエイジャーショップ限定でタータン柄のショッピング バッグが導入されたのです。このバッグは幅広いお客さまの人気を集め、後に全館で使用されることになりました。

2013年9月18日 株式会社三越伊勢丹ホールディングス 報道関係資料より引用

ということで、タータンは現在でも増え続けている。

例えば伊勢丹タータンは2012年11月「Best use of tartan in packaging(パッケージ部門)」 において、他部門に 先駆けて世界で初めて受賞し、その後改めて布地を織り、スコットランド・タータン 登記所に、正式に登録されているのだ。

さらに突き詰めると、プリンスオブウェールズチェックが出てくる。
こちらは出石尚三先生からお伺いしたお話し。

喪服のタータンもある、なんとそれが・・・

プリンスオブウェースズ


プリンスオブウェールズチェック、辞書にも出ています。
実は2種類あります。
(1つは)グレンプレイドの上に、オーバープレイド、もう一本ピンクでかける。

19世紀末、英国皇太子、エドワーズ7世、ビクトリア女王の長男ですが、死ぬまで服にしか興味がなかった。
その人がピンクのオーバープレイドを着ました。

なぜでしょうか?

ボールルーム

モーニングタータン。
喪に服すって言うじゃあないですか、これはお葬式などの時に着ました。

 

つまり、もともとは葬式用の服、喪服のタータンがあった。
それがグレンチェックなのだ。
だけれど、エドワード7世からすれば、喪服って・・・ということでピンクを入れてみようか!とグレンチェックにピンクのオーバーペーンが入った服を着たのだ。

グレンチェック 着こなし

お孫さんにあたる、ウインザーが、

じいちゃんはピンクを乗せたチェックを着たたそうだけれど、俺はブルーにしようかな。とブルーを着たので、プリンスオブウェールズというとブルーのオーバーペーンとなっているという説もあるようだ。

タータンは天然染料だから優れている


細かいことを言いますと、プリンスオブウェールズ(どちらも皇太子に違いないので)は、
もともとは昔のスコットランドにおいては、喪の柄でした。

縁起の良い時のタータンは、ドレスタータン。
明るく華やかな、色々な色を使いました。
そしてなぜ貴重か?といいますと、手紡ぎ・手織り、全部、天然繊維。

グリーンは苔(コケ)で染めるとか。
そして長く着ていると良い色に変わる。それが良いのですよ。
今、手染めのタータンなんてないでしょうけど。

なんでタータンが優れているかというとそういうことなのです。

銀座ファッションアカデミア 主任講師 出石尚三先生の講義より

タータンチェックとは

タータンは天然染料によって染められる、それは貴重だ。
そして長く着ることで良い色になるという点もとても素敵だ。
日本でいうならば紬などに近いのではないだろうか。

そして基本ベースが草木染めということなのだが、大西基之先生の著書にもこのようにある。

タータンチェック

近頃はファッション商品として位置づけれており、商品として常に人気があり、色彩豊富なタータンであるが、本来の色数はあまり多いものではない。

基本が草木染であり、色数は8種しかないという。

グリーンはハリエニシダの樹皮と矢車菊、赤はワロタールという岩苔、黄色はワラビヤピース類の植物、黒はハンノキの樹脂等で染められると言われている。

メンズウエア素材の基礎知識[毛織物編]大西 基之 著より引用

タータンチェック
こちらが矢車菊。
こうしたまさに天然染料を使って染めるため、実は8種類の色しかないというのが本来のタータンなのだ。

戦いの成果でチェック柄が増え、戦闘用、狩り、正装用と様々な柄が存在するタータン。
だからいわゆる赤ベースのタータンだけがタータンではなく、ブラックウォッチもタータンなのだ。

ただ、とにかくタータンは別格だ。
例えばそれぞれの地方で作られたチェックということで、ディストリック・チェックという言葉がある。
出石尚三先生によれば、本当のところディストリックチェックは使用人が着たチェックなのだそうだ。


1つの説としまして、ディストリック・チェックとは、
地方のチェック、辞典にも書いてあるけれど、本当のことはあまり言えない時代でして、、

ディストリックチェックというのは、正式のタータンが着ることができない使用人が着るチェック。
はっきり言いまして身分が違うのです。

タータンというのは、藩士ですから身分があるのです。
自分のアイデンティティーを示すために着たのがタータン。
タータンではないタータンの下で働く人たちが着たのがディストリクトチェック。
ただ、各辞書はそうはいえないので地方の柄である、と濁しています。

銀座ファッションアカデミア 主任講師 出石尚三先生の講義より

本当のタータン、知れば知るほど洋服が楽しくならないだろうか?

タータンチェック

ということで、今年こそブラックウォッチのスリーピースを誂えようか。
ファンシータキシードも欲しいのだけれど。

さて、明日は何着よう?

・・・・・・・・・・・・・・・・・ こちらは先生の書籍。
ぜひともアパレル、ファッション関係に携わっている方に読んでいただきたい一冊。
販売の方なら正しい商品知識がついてお客様からの信頼が上がるし、
企画、バイヤーなどの方も復習・再確認という意味でも読んでおけば一目置かれるはず。

もちろんテーラー、スタイリスト業の方は、ダイレクトにその知識を生かして成果に結びつけられるだろう。


メンズ・ウエア素材の基礎知識 毛織物編

大西基之先生の師匠の幻の著書がこちら
セビロの哲学―男性のおしゃれ (1968年)

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2017年7月29日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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