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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

ミットナイトブルーとは?黒より黒い生地を!ウィンザー公の無謀な注文

 

はじめです。

ミッド・ナイト・ブルー、なんだか響きの良い言葉です。

マック・ブック・エアー、シェット・ランド・ツイード、カップ・リング・ナンバー、、、

日本語の良い響き、3音組み合わせにこだわったのは日本マクドナルド創業者の藤田田さんだそうで。

世界共通の呼び名、マクダーナルズにすべきだ!というアメリカの提案を突っぱね、マクド・ナルド!と譲らなかったそうです。マクダーナルズは確かに呼び辛いし、名前次第でここまでの規模になっていなかった可能性もありますね。

ところで、ミッドナイトブルーとはとある色のことです。

注文服を検討したことがある方なら、耳にされたことがあるかもしれませんね。

この色、ある方の無謀な注文から生まれた色なのです。

1920年ごろのお話しです。

ウィンザー公は、ある色を考えました。

考えた、というより作らせた、というのが正しいかもしれません。

ミッドナイトブルーです。

ミッドナイトブルーとは一体どんな色なのでしょう?

1920年代に、ウィンザー公(英国皇太子)は気づきます。

それはあるパーティ会場です。

当然のようにフォーマルウエアを身に纏っていますが、一歩パーティ会場に入ると・・・

「ん?」

自分自身の服の色が、黒に見えない。

いや、黒のはず。

一体なぜなのだ?

どうも、羊羹のような赤みを帯びた茶というか・・・。

パーティ会場の照明と染色

それは、当時の照明が関係していたといいます。

1920年代の照明と、当時の生地の染色方法もあったのでしょう。

綺麗な黒というよりは、ちょっと色がぼやけてしまうのです。

そこで考えました。

「よし、サヴィルロウ(英国の仕立て屋街)の仕立屋に、注文してみるか。」

注文、といってもさすがは洒落者の皇太子。

スケールが違いました。

「仕立屋よ、なあに私がパーティに着た時に、夜間照明の元で黒に見えるように、生地を染めてくれれば良いのだ!」

これには度肝を抜かれたことでしょう・・・。

しかしおそらくこれは考えうることです。

というのも、同じような相談を仕立屋として私は受けたことがあるのです。

私自身も、もう少し良い青に染まらないだろうか・・とシャツを見つめて思ったことがありますし。

こうして、英国の仕立屋はこの注文を受けます。

それはそうです、とにもかくにも皇太子様のおっしゃることなのですから・・・。

あぁでもない、こうでもない・・大変な苦労をしたはずです。

染めて、照明の下で検証して・・。

ついに、夜間照明の下で、納得のゆく生地ができたのです!

「おぉっ、これは、見事にブラック!照明の下ではブラックに見えるぞ!この生地ならご満足いただけるに違いない!」

こうしてミッドナイトブルーは誕生しました。

しかしこの生地、昼間に見た時には驚きました。

夜間黒に見えるのに、太陽光ではややブルー。

お店に行くと、ミッドナイトブルーという色はこれ!と提案されることがあると思います。

でも、真実はミッドナイトブルーという色があるわけではなかった。

おそらくは二度染めで、太陽光ではほんのりブルー、でも夜間照明では黒よりも黒く見える!

こんな特殊な色を、ミッドナイトブルーと呼んだわけです。

生地の色に、まさか1900年代のエピソードが関わっているとは、オトコの服は歴史があるから面白いですよね。

さて、明日は何着よう?

服飾のエピソードたっぷり、こちらの本が面白い

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2019年5月28日
オーダースーツ | オーダースーツの生地

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