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服は着るだけでは半分でしかない

メンズウエア素材の基礎知識 講座2

星野先生は、ジェントルマンってものを教えたかったんだろうな、

「センターをつまんで、そっと座るのがジェントルマンだ。」

と、椅子の座り方を怒られた。
僕らは、かったるいこと言ってられるかい、となってたんだけど(笑)

「君の靴の底は、なんで右側だけ減っているんだ?歩き方ってものを意識していない。」
星野先生は真後ろにぴーっとしてたね。

第三回メンズウエア素材の基礎知識講座の日がやってきた

メンズウエア素材の基礎知識講座第二回の糸の撚り(より)の講義から約30日が経過し、
今月も講座の日がやってきた。
まだ秋とは呼べそうにない暑さの9月の表参道には、
女性テーラーをはじめ、ボットーネクルーも集まった。

ジェントルとは、何だろう。

メンズウエア素材の基礎知識の著書、大西基之先生をお招きし、私たちボットーネだけではなく、
テーラーやスタイリストの方、販売員の方も学べる場を作ろう、と開催したメンズウエア素材の基礎知識講座。
この講座は第三回目となったのだが、毎回出血多量で輸血が必須になるような、そんな濃厚な講義である。

そんな今日の講義で大西基之先生は、織物・平織りについての講義の一幕から、弱い織物の話という似て非なる脱線していく。
実は、この講義はこういう脱線した時の話がたまらなくて、月に一回みな楽しみにしているのだ。

いい服を着る、それなら立ち振る舞いも美しくないとね

ということで、今日の脱線から得られた講義内容は、着こなしについてだ。

メンズウエア素材の基礎知識 講座

以下は大西先生の脱線部分のまとめだが、
非常に学ぶところがある。

(スーツは)9800円でも売ってるよね、ボタンも2個ついて(笑)。
でも、着方を教わるところがない。
立ち振る舞い、それが日本って絶望的だと思うんです。

例えばね、日本人は(今の日本ってのは和服もわかんなくなっちゃってるけど)
紬(つむぎ)が高級とか、シルクが高級とか、そういうのはわかっていたと思う。
なぜかというと、日常的に和服着てるから。

同じように西洋人は、普通の人間が、こういう素材だったらこう扱う、
例えばこの生地のスーツでは自転車に乗らないようにしよう、とか、わかる。

でも、日本では、ネップの、マット(次号で紹介する生地の織り方、平織りのなかの種類のひとつ)で、
自転車に乗ってスリップした!とクレームになる。

メンズウエア素材の基礎知識 講座3

外国から入ってきた洋服を、学ぶところがない

和服の学校はあるんだよね、和服を着せ付ける学校が。
でも洋服を着せる学校ってないんだよね、
外国から入ってきたものを勉強するところがない。

洋服は(和服よりも着方が)簡単で、シャツきて、ボタンかけて、
上着は、あぁ袖のここに穴が開いているから、ここから袖を通すんだろうな、とだいたいわかる。

けれど、服は着るだけでは半分でしかない、
例えば、歩き方。
英語でいうと、behaviorっていうんだよね、態度っていうのかな、行動、振る舞いかな。
僕の師匠は言ってたけど、
西洋の服は誰でも着れる。

電車に乗ってるサラリーマンは確かにズボン履いてる、
だけどそういうことじゃあなくて、
振る舞いとかってのがすごく大事なわけよ。

仕事で何度もイタリアへ行くんだけど、公園行くと、僕らくらいの歳の人が散歩してるわけ。
ゆったりした歩いててかっこいいんだけど、日本だと気取った感じがするよね。
反対に、パリのギャルソン、イタリアの料理人、
こういう人たちはもっとパパパパってやる、職業による動きがすごいなって思うわけ。

ピッティウオモの写真や雑誌を見ても立ち振る舞いは伝わってこない

ピッティウオモ(イタリアのアパレル製品の展示会)での(イタリア人が服を着ている)写真を観れば、
どんな恰好が流行ってるのかは確かにわかる。
だけれど、立ち振る舞いってのは、わかりにくいよね。

いい服を着る、それなら立ち振る舞いも美しくないと。
立ち振る舞いを勉強するには映画が一番。
昔はそれしかなかったわけなんだけどね。

大西先生とボットーネのクルー

大西基之先生とボットーネ クルーで記念撮影

今日は3/1(サンイチ)の綾という、生地の織り方について説明をするためにジーンズを履いてきた、とおっしゃっていた大西基之先生と、最後にお写真を。
左から、アルバイト嶋田君、大西先生、松、小寺。

服は、着るだけでは半分でしかない、
その言葉にしびれたのは私だけではなかった。

文中にあるように、
西洋と日本との洋服に対しての考えの開きは小さくない。

まぁそりゃそうだ、おじいちゃんのおじいちゃんの、そのまたおじいちゃんも洋服を着ているわけだから。
大西先生もおっしゃっていたが、
この素材で・・自転車に乗っちゃあ・・ということは、西洋人ならわかる、
日本人はわからないのだ。

わからないから、安価な服はクレームが起きぬように、
ポリエステル素材が使用され、ウールも固く織る(風合いを殺してしまう)よう海外の織元にリクエストするのだ。

ところで、そうこうして、講義は脱線の末、
「あ、これ書いちゃだめだよ笑」という大西先生の言葉は、
今日も健在だったため、
多くの秘話はカットとなっているのだが、
生放送のCM中でしか聞けない話のようなのが、3回くらい。業界裏話でハッとするシーンがあった。

講義が終わり、
出勤日でないアルバイト嶋田君が、自発的に感想を書いていたので、今日の締めくくりに載せておこう。

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講義はあっという間

図々しくも、急遽参加させて頂く事になった大西先生の講義。
実際に生地を見て、触って、たくさんの説明や雑談をして頂き、終始口があいたままでした。
本当に本当に面白かったです。外部では聞けないお話を聞く事が出来たり、わからないことや質問があればすぐに教えてくださったりと、講義はあっという間に終わってしまいました。
まだ入って数日しか経っていませんが、こういった場に参加させて頂き、貴重なお話を聞く事ができ、自分は運がいいです。
というよりもこういった恵まれた環境にいられることに感謝の気持ちでいっぱいです。
気が早いですが、来月の講義がもう待ち遠しいです。来月までにはもっと知識を深め、講義の楽しさがもっともっとわかるように、準備をしていきたいと思います。

講義が終わった後、連れて行っていたおそば屋さんもすごく美味しかったです。
講義を受けさせて頂き、食事までご馳走になってしまい、して頂いてばかりで心苦しいですが、この感謝の気持ちを忘れずに、お仕事でお返しができるように、努力していきたいと思います。
今日サロンに来て、本当に良かったです。
嶋田

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2016年9月6日
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