サラリーマンのスーツがダサい?理由は安いから
オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。
松はじめです。
日本のサラリーマンの服装がダサい・・・
そう思った方はいませんか?
私の師匠にお話しをお伺いした時に、その理由をこんな風に説明していました。
私の隣にいるのは、ソラーロという玉虫色のスーツに、ボタンダウンシャツとレジメンタルタイ(ストライプのタイ)を着こなされた、大西基之先生という方。
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ダサいスーツを再現してみた
ダサいスーツについて考えてみよう。
私が考えるダサいスーツはこんな感じだ。
どこがダサいのかというと・・・
・胸にペンがささっている
実はこれはダサい。
ボールペンは内ポケットに忍ばせるとエレガント。
・スーツの上着にチノパン
そもそも上下揃っていない。
また、ジャケットにはジャケット用の生地やデザインがあるので、スーツの上着でジャケパン!はダメである。
・シャツがスーツの袖から出過ぎ
スーツの袖口から少しシャツが出るのがエレガントだが、この場合はスーツの袖が短い。
・ストライプのブルーシャツ
ストライプのブルーシャツ自体に問題があるのではなくて、全体的に色が合っていない。
取り敢えずクローゼットの前にあったから着ました。という感じ。
・実用満点のナイロンバッグがダサい
ナイロンが悪いわけではないのだが、ポケットやチャックがたくさんついたマチの大きいバッグは、どうしてもサラリーマンのダサいバックに見える。
・パンツにセンタークリースがない
パンツの真ん中に、きちんとクリースといってラインが入っていた方が良い。
きっと毎日履いていてラインが消えてしまったのだ。
なんだかダラシない印象に。
・スワールモカシンという黒い靴
実はこれは日本のサラリーマンに大人気の靴。
流れるようなラインが入っていて、ややとがった靴。
実はカジュアルの靴だ。
スーツについて、服装について、みな真面目に考えていた時代があった・・・
大西基之先生は、今の日本のビジネスマンのスーツスタイルが素敵にならないだろうか?とおっしゃる。
結論をいうと、50年前の日本人は、今よりもスーツをきちんと着ていて、スーツが高かったからではないか?と先生もおっしゃっている。
どのくらい高価だったのだろう?
一ヶ月の給料の高級スーツだった
大西先生は仕事に着るために、スーツを買った。
当時の給料は、1ヶ月27000円だった。
そんな日本があったのか、とふと思うが、つい50年くらい前の給料だ。
では、スーツはいくらだったのだろう?
大西先生によると、スーツ上下が27000円。
ちょうど1ヶ月の給料と同じ金額だ。
今、新興国と呼ばれる国がある。そういった国の給料が安いからと、せっせと仕事をお願いするわけだ。
ユニクロも中国で服を作った方が、日本で作るよりも安いから!と中国で服を作った。
そうやってたくさんの仕事を受けるようになると、国が豊かになって、物価も給料水準も上がっていくわけだ。
日本にも、1ヶ月の給料が27000円時代があったのだ。
ちなみに海外から買う生地だが、これはその頃も今も変わっていないのだそうだ。
でも、1ヶ月分の給料をはたいて買った高級スーツなのた。
給料が20万円だったら、スーツも20万円〜。
どうだろう?確かにそうなるととっても大切に扱うなぁと思わないだろうか?
消耗品だからダメになったら買い換えよう!というのではなくて、ブラッシングしながら大切に着よう、あぁ、雨が降っちゃった、濡れないようにしなきゃ・・・と。
大切な高級スーツだから、きちんと着よう。
そう思うだけで座り方などの着こなしも変わった。
スーツの生地屋さんは大儲けだったガチャマンという時代
ガチャマンという業界用語がある。
生地屋さんは、生地を海外から仕入れてテーラーに売る。
ところが、海外の物を仕入れることも大変だったし、国内でも高く売れたそうだ。
生地がまとめて10着分売れれば、1年分の給料だ。
そんなことから、生地を織る織機がガチャっと動けば万(お金)が入ってくる!ということを面白おかしく言った、
ガチャマンという業界用語がある。
今では忘れられた用語だ。
スーツはどうして安くなった?
ところが、ご存知の通りバブルは弾けてしまった。
バブル崩壊で、よって失われた20年とか、マイナス成長などという言葉も聞くようになった。
失われた20年も、マイナス成長も日本経済は成長していないよね、ということだ。
それで、高い物が売れづらい時代になる。
そこに、スーツ量販店という、2着目半額!というようなお店が登場して、ヒットした。
このあたりから、
・スーツは高級
・大切に扱おう
・テーラーで仕立てよう
という時代から、
・大量生産&大量消費
・ユニフォームだから、着て捨てる
・安いスーツでいいや
そんな時代に変化した。
まとめ
確かに、スーツは安くなった。
反対に、とても高価なスーツも存在する。
例えば1万円でもスーツは買えるし、10万円のスーツも存在する。
1万円のスーツも、10万円のスーツも、どちらも袖も衿もある。
でも、内側や細部の作りはまったく別物だ。
最近メガネを購入したのだが、そのメガネはフレーム代金で5万円くらいだった。
でも、今では1万円でレンズ込みというお店もある。
実際に1万円のレンズも見て比較してみたら、確かにデザインは似たものがある。
ぱっと見てわかるか?と言われると遠目にはわからないかもしれない。
確かに、細部の金具は明らかに違っていた。
違っていたのだが、1万円のメガネの5倍のパフォーマンスを発揮できるか?と言われたらそれは違うような気はする。
それでも、単純に金額の問題ではないけれど、安いメガネだったら子供にぐいっと引っ張られても笑っていられると思う。でもこだわって買ったメガネだったら、あまり人には触れさせたくない。
安い物を買うことを否定はしないが、良い物を持って大切にするということも大事だなと思った。
価格破壊がサラリーマンのスーツをダサくすることに繋がってしまった、という考えからはいろいろ学べることがあると思う。
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ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2018年5月23日
スーツの着こなし術 | ジェントルマンの知識
タグ:素材, 講義, 大西基之先生
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