ダッシングツイード 日本上陸 来日したガイ・ヒルズ氏にファッションや英国ドレスコード事情を聞いてみました
松はじめです。
今、服飾業界に巻き起こった新しい風、これまでの生地の発想を覆すツイードが話題になっているのをご存知でしょうか?
ナイキ、コンバースとのコラボレーションでも話題になり、光に反射する糸が織り込まれたツイード生地の発想もユニーク。
ロンドン発のその生地の名は、ダッシングツイード。プロのファッション・フォトグラファーであるガイ・ヒルズ氏と、テキスタイルデザイナー カースティ・マクドゴル氏の出会いによって生まれたこのブランドは、瞬く間に世界に広がりました。
ダッシング・ツイードを取り扱う生地商・マルキシ株式会社の岸社長のご縁で、来日したガイ・ヒルズ氏にお話をお伺いすることができたので、ダッシングツイードの魅力をお伺いしてみたいと思います。
ダッシングツイード ガイヒルズ氏のファッション
ガイ・ヒルズ氏の姿は遠目でも彼だ!とわかるスタイル。
早速お話しをお伺いしてみることに。
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ガイ・ヒルズさん、本日はお会いできて嬉しいです。早速なんですがガイさん、今日のファッションのポイントはどんなところでしょう? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ] トラウザーズ(パンツ)かな。今、このスーパーワイドのトラウザーズ(パンツ)が流行ってる、ビジネスよりではないけど、ファッションとしてはロンドンでは旬だね。 [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]素敵です!日本でも若手を中心にルーズにスイッチしています。 [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]ヤングルック?そうだね。それで、ハイウエストでサイドアジャスター。 [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]生地も色も良いけど、デザインも良いですね。[/speech_bubble]
足元はスニーカー!
そして裾口は25センチ近いワイドシルエットだ。
ガイ・ヒルズ氏が着用されているジャケット、ダッシングツイードの生地はこちら。
ガイ氏に見事にマッチしている。
ダッシングツイードは光る!
ダッシングツイードは、ただのツイードではない。
その秘密の1つは、光ること。
マルキシ株式会社の岸社長が着ているジャケットも・・・
フラッシュを炊いた写真を見てください。特に夜やるとすごいんです、とは岸社長。フラッシュ撮影したジャケットの姿を見せていただくと・・・
光ってまったく別のジャケットに見える!!
夜だとさらにすごいのだそうだ。これなら自転車に乗る時などにも本当に良さそうだ。
トラディショナルなスポーツウエアとしてもモダンなスポーツウエアとしても使える1着。これを着てツイードランに出ても良いですね、と岸社長。
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]光るのはどういった素材を使っているのでしょう?[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
ガラスビーズをつかった特殊な糸をストライプに使っていてそれが反射するんです。
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色付きの赤や青のリフレクティブヤーンというのを最近使い出したのだそうだ。
一見するとトラディショナルなのだが、モダンに感じさせる、非常に凝っているのがわかる。
ダッシングツイードのバンチブック(見本帳)
クリエイティビティ溢れるツイード。
ダッシングツイードで作ったネクタイ。洒落たツイード・タイだが、夜になると光る?!
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]こういった発想はどこから得られていらっしゃるのでしょう?
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[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
色々な文献からツイードを学んだ時に、昔のツイードはすごくカラフルだということがわかった。
最近は面白くないものが多い気がしたので、現代に相応しいカラフルで楽しいツイードを作りたい!ということで考えました。
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サンプルのジャケットに袖を通す中之丸。
ツイードとは思えない柔らかさだ。
このグリーンも、色鮮やか。
ダッシングツイードで仕立てたタキシード
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
伝統的な技法を使いながらモダンなデザインをつくっている。
遠くから見るとふつうの黒いディナースーツなんですが近くで見るとすごくファンシー。
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[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
※1ブラックタイのパーティーの時なんかも、黒いタイはするけど、私は※2ディナースーツを着るよ。これに叔父から譲り受けた※3スタッズをつけたシャツを合わせる。[/speech_bubble]
※1 ブラックタイのパーティーは、ドレスコードがブラックタイ・黒いタイという意味ではなく、タキシードを装ってお越しくださいの意味です。
※2 イギリスではタキシードの事をディナースーツと呼ぶ。タキシードはアメリカでの名称です。
関連記事:タキシードはなぜディナージャケットと呼ばれるのか?燕尾服から変わったカウズ島での食事の話
※3 スタッズ、スタッズボタン。シャツの前ボタン3つを、カフリンクスのような別のボタンで留めます。
関連記事:《恥ずかしい!》タキシード用シャツの胸のピンタックの意味は?
大胆な生地、こんなツイード生地もディナージャケットも見たことがない!
ダッシングツイードを愛した著名人
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ところで、ガイ・ヒルズ氏が手がけられているダッシング・ツイードは斬新で評判です。著名な方も着られているとお聞きしたのですが?
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[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
日本では有名でない方かもしれないけど、ヒューグラント氏とか。
映画だとメリーポピンズ、オリエント急行殺人事件に出ています。
それから自転車に乗る人には有名な、ゲーリーフィッシャー氏。マウンテンバイクの会社の社長でマウンテンバイクを発明した人。アメリカではとても有名な方だね。
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ガイ・ヒルズ氏のもう一つの顔
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ガイ・ヒルズさんはフォトグラファーとしての活動もされているとお聞きしたのですが? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
うん、これは10年くらい前に英国大使館でロンドンカットの展示をやったときの写真。
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[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]あ、ガイ・ヒルズさんもこの赤いポスト?の上に乗っている! [/speech_bubble]
関連:ガイ・ヒルズ氏が撮影した、サヴィル・ロウ・ビスポーク・アソシエーション(Savile Row Bespoke Association)
ふとした隙間に自身のカメラでスナップ撮影をするガイ・ヒルズ氏。
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ファッションのフォトグラファーというのは、元々ファッションが好きで、入口がファッションだったからでしょうか? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
私は元々カメラが好きで、カメラの学校にも行っていて、そこからですね。
1980年代、カメラマンのアシスタントになって、最初はレディース・ファッションを。
以前は世界中飛び回っていたけどね、結婚して妻が嫌がるからロンドンでファッションをメインにやり始めたんだ(笑)。
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ファッショナブルで良いクオリティ物を生み出したい、という想いは、写真もファッションも、そして素材にも通づるところ。たくさんの作品を見せていただいた。
1970年代の。昔のものを退屈に思う人もいるけど実はおもしろいものがいっぱいある、という。
写真家から生地の世界へ
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]しかしフォトの世界からファブリックの世界に飛び込むとは、どういった経緯があったんでしょう? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
カースティーというデザイナーに出会ったのがきっかけです。
彼女は共同創業者。自分が作りたい面白い生地がないと思った時に、彼女と出会いました、そこから始まった。
自分のために作りたい・・でも1着だけじゃあ織ることはできない。ならば一反作って、売ろうか!という流れなんです。
それが、コンバースと出会ってより本格化してきたんです。
そのあとに自分達のお店を作りました。
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なんと、自分が作りたい!という想いが先行して、生地を織ったのがスタートだったそうだ。生地はだいたい50m単位で織る。50mが1反で、50mあればだいたい17人分のスーツができる。
そして写真が、ご存知の方も多い、ダッシングツイードを使ったコンバースのスニーカー。
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ホリーさんはどのような役割を担っているのですか? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
僕はクリエイターで、彼女はビジネスサイドを全般的に担っています。でも彼女もクリエイティブですよ、織りもできる。[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]敏腕な右腕ですね! [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ダッシングツイードは、ミル(織元)ではなくマーチャント(商社)なのでしょうか? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
マーチャントといえばマーチャントですが、デザインも全部自分達でやってるので、単に織るところだけは外注しているメーカーです。
生地はほぼスコットランド。その他の物は全部イングランドやアイルランドなどの英国国内でやっています。
織機も新しいものを色々使っていますね。
スコットランドはね、今は忙しくなってきたけど始めた頃は忙しくなくて・・この仕事も喜ばれたんじゃないかな(笑)。[/speech_bubble]
織元の写真もガイ・ヒルズ氏の手にかかえればアート作品に。
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]現在はおかげさまで順調、生産量を増やしています。
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[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]素晴らしい功績ですね!
ガイ・ヒルズさん、今後の日本での展望はいかがですか?[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]日本のデザイナー皆さんは、クリエイティブな方が多くいらっしゃって、2日間日本のデザイナーとたくさん会い、すごく面白かった。
それから、テーラーやショップの多さにも驚いています。
日本にはポテンシャルを感じているのでもっと、頻繁に来たいです。色々ご要望を行っていただければ、、こんなのが欲しい!とか、写真でもなんでも送っていただければ!!
我々は小さなビジネスなので、フレキシブルに出来ます。[/speech_bubble]
まとめ
『ダッシング・ツイード』のターゲットは現代に生きるモダン・ジェントルメンであり、中世の騎士が操る馬の代わりに、現代の騎士である彼らはバイク(自転車)を操るイメージがデザインベースとなっている、という。
これまでのツイードの常識を覆したダッシングツイード。
デザイナーカースティさんとの出会いは、ファッションフォトグラファー ガイヒルズさんの心に火をつけた。
それはある日コンバースに採用され、その名は知れ渡る。
生地は、全てが少量生産。翌期にはまた新たなダッシングツイードのストーリーが展開される。
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番外編 英国ドレスコード最新事情
個性的なディナージャケット(タキシード)に身を包んだガイ・ヒルズ氏だが、ドレスコードがブラックタイだった場合はどのような服装をされているのだろうか?
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ところでガイさん、とても素敵なディナージャケットですが、公式なドレスコードのブラックタイではどうしますか? [/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
公式なドレスコードのブラックタイでもこれを着て行きます。
最近はダークブルーの人も多いですし、現代の英国では黒いタイをしていればいい。もちろんただのグレーのスーツではいけませんが。
あと、※4ウエストコート(ベスト)は大きく胸が開いたもの、もしくは※5カマーバンドですね。
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※4 タキシードにはウエストコート(ベスト)の胸が大きく開いた、ドレスウエストコートを装うのがクラシックです。英国ではベストというよりウエストコートと呼びます。
※5 タキシードには必ずベストかカマーバンドを装います。
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関連記事:タキシードのカマーバンドの正体
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”7Q6A8822_result3.jpg” name=”松はじめ” ]ここのところのトレンドでもありますが、ダブルのウエストコートも良いですよね。ジャケットのラペルのお好みは?[/speech_bubble]
[speech_bubble type=”std” subtype=”a” icon=”P1200652_Pleasure-Dashing-Tweeds-1.jpg” name=“ガイ・ヒルズ氏” ]
あぁ、最近はダブルが人気がありますね。ジャケットのラペルはピークドラペルもロールカラー(ショールカラー)も良いですね。
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現代のイギリスでは、ブラックタイとドレスコード指定があった場合に、ブラックタイ(黒いボウタイ)をして側章がついていれば、素材はベルベットのスモーキングジャケットを合わせる人もいるのだそうだ。
ということで、文化やルールを重んじながら、もっとファッションを楽しんでみようか。
さて、明日は何着よう?
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ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2018年11月9日
イベント | ファッションイベント
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