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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

3分でわかる初めてのオーダースーツの打ち合わせの流れ!既製服との違いの講義をしました

オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。

松はじめです。

オーダースーツを作る時に、どんな流れで進んでいくのだろう?

そのお店にはどんな特徴があるのだろう?

初めてオーダースーツを作る場合、いろいろな疑問が湧いてきますよね。

オーダーしてみたい、という方だけではなく、スタイリストやイメージコンサルタントと呼ばれるご職業の方も、実際にクライアントの方と一緒にオーダー店に行くとなると、気になるところだと思います。

こちらはイメージコンサルタントの皆様に、オーダースーツを作る打ち合わせの流れをご説明させていただいているところです。

この記事の目次

オーダースーツ作りはコンセプトを話し合うことが出発点

オーダースーツを仕立てよう、と思ってもいろいろなお店がある。

私も全てのお店の仕組みがわかるわけではない。

そこでまずは私たちボットーネでスーツのオーダーをお受けする場合、どんなことに重きを置いているか?をお伝えした。

完成してくるスーツやコートが良い服になるかどうか?は、コンセプトをしっかり組み立てるところから始まると私は思っている。

これが既製品とは違うところ。

羽織りながら、どれにしようか?と選ぶわけではない。

最初から形があるわけではない注文服のお店は、メニューのない寿司屋のようなものかもしれない。

だからこそしっかり話し合うことが大事。

ご要望をお伺いしながらも、こちらからもこうしたらもっとよくなる!という意見をして、こうして対話するから良い服が生まれてくる。

オーダースーツの打ち合わせ方法もいろいろ

スーツをオーダーする、と単純にいってもいろいろなお店がある。

シンプルに、どの生地で作りますか?と始まるお店もあるとあるクライアントからお伺いしたことがある。

ショッピングモールなどに入っているオーダー店には、生地が積まれているので、そういったところが多いのではないだろうか?

または、要望を伝えて選ぶ、というよりは店主にほぼお任せというお店もあるそうだ。

老舗テーラーにはそういったお店があると思う。

私たちはまず目指すゴールとしてどんな服が良いのか?どんな印象を出したいのか、何に重きを置いているのか?など話し合って、大枠を決めてから細部を詰めていくことを大切にしている。

そのため、予約制にしている。

そうしないと次々と入店してくる方に、場当たり的な話ししかできない。

だから、路面店ではない。

こういう服に仕上げよう!というゴールを決めてから生地を選ばないと、完成した時にイメージと違ったな、ということが起こる可能性がある。

パリッとしたブレザーを仕立てたい、という場合に細い糸を使ったしなやかな生地を選ぶよりも、ハリコシのある太い糸で織り上げた生地で仕立てた方が仕立て栄えする。何事も出発点が大事だと思う。

オーダースーツ生地見本にもいろいろ

こうして生地を選ぶ。

まさにオーダーならではの醍醐味で、生地の見本はずっと眺めていても飽きないことは、オーダー経験のある方ならご存知だと思う。

ところでオーダースーツ店に行くなら専門用語を知っておいてまったく損はない。

例えば生地の見本。

見本には、およそ1着分の生地(3.2m)がカットされた着分(ちゃくぶん)というものと、バンチといって一冊の本の中に生地が綴られているもの、それにスワッチといって小さな生地が紙などに貼り付けられたものとがある。

オーダースーツの生地を選ぶ時の見本 着分

着分は、現代だと3.2mにカットされた状態の生地そのものだ。

昔は2.6mとか、もっと少なかったのだ。古くからあるテーラーに行くと、そういう生地に出会えることがある。

写真のようにくるくると巻かれて、お店の一角に積み上げられているのを見かけたことはないだろうか?

着分は、生地そのものだから、実際に顔に当ててみることもできるし、イメージがしやすいのがメリットだ。

実はデメリットもある。
3.2mで切られているため、大きな体型だと仕立てることができない場合が多々ある。
また、小柄な人でもベストを付けることができないこともある。

お店の着分の中に良いものがあれば良いのだが、テーマに合う生地や好みの生地が見つからないこともある。
スペースも取るので、ある程度絞って置かれているので、数は限定されるのだ。
また、最新のコレクションが着分として置かれているとは限らない。
デットストックといえば聞こえは良いが、何年も前の生地がそのまま置かれているケースもある。

オーダースーツの生地を選ぶ時の見本 バンチブック

バンチブックは、小さな一冊の本のように生地が挟まれている見本だ。
これは、たくさんの数が集約されているし、それが何冊もあるので選択肢が豊富なのが特徴だ。
もちろんオーダースーツのサロンによって、このバンチブックのセレクトの基準は違うので、数もそれぞれ違うと思う。

バンチブックは20XX-AW のように、SS(スプリングサマーコレクション)AW(オータムウインターコレクション)と半年に1回登場するのだ。

選択肢も豊富で、毎期新作を楽しめるバンチブックだが、デメリットもある。

なんといってもイメージがしづらいことだ。
面積が小さい。
顔に当てながら、全体像をイメージしなければいけない。

私たちはできるだけ豊富な選択肢から提案したい!という想いがある。
だからバンチブックの数は多い。
しかしなかなかイメージがしづらいので、できるだけイメージしていただけるよう、写真や実際のサンプルも一部ではあるが揃えている。

オーダースーツの生地を選ぶ見本 スワッチ

スワッチは小さく貼り付けられた生地が、一枚の紙に並んでいる。
これは、どちらかといえばアパレルの企画の人間向けだ。

また、ハガキサイズくらいの画用紙に、生地が貼ってあるサンプルもある。

きちんと目利きができる人や、信頼できるテーラーに任せるのなら、見本の大きさは関係ないだろう。

自分で選ぼうとした場合は、イメージがしづらい。

オーダースーツの裏地で個性を

裏地は、ちょっと遊んでみたい。

表と違って見えないのだが、普段見えない部分にこそオーダースーツの場合は裏地を自由に選べる楽しさがある。

シックなソリッド・ネイビーのスーツでも、裏地を艶やかにすれば個性的な一着になる。

実は裏地は、ベストの裏も選べる。

さらにいえば、ベストの見えるところ(背表・せおもて)以外に、

ベストの見えない部分(背裏・せうら)も選ぼうと思えば選べる。

ジャケットの袖はなぜストライプなのか?

また、ジャケットの袖の部分の裏地が背裏とは違う仕様なのを見たことがないだろうか?

ジャケットの袖の裏地は一般的にはストライプの裏地であることが多い。

特に指定しなくても、ストライプの裏地なのだ。

一体なぜなのだろう?

コールパンツはご存知だろうか?

モーニングコートを着る時に、パンツはコールパンツといってストライプのパンツを履く。

モーニングコートなどはもともと乗馬服がベースになっている。その際にストライプのパンツは丈夫だ、という認識があったのだ。その認識がそのまま袖裏にも応用された。

ストライプ=丈夫

だから、脱いだり着たり、よく擦れる部分だからストライプの裏地にした。実際のところ、現代においてストライプの裏地だから強度が高い、ということはないのだが、実は乗馬が関係していた、と考えると面白い話だ。

ボタン1つで表情が変わる

忘れてはいけないのが、ボタン。

紳士服のなかで、唯一の突起物がボタンだ。

紳士服のなかで、唯一のアクセサリーがボタンだ。

そして、身頃をとめる実用的な役割もある。

ネイビーのスーツ、うっすらとストライプ。ボタンはどうしよう?

天然素材のボタンなら、高級感も演出できる。水牛、ナット、このあたりが王道だ。

イタリアのボタンは素材はポリエステルでも、かなりユニークなものが出ている。

ボタン1つで服の印象は大きく変わる。

シルエット構築は採寸よりも重要なのがフィッティング

 
 

こうして、採寸とフィッティング。

採寸はもちろん重要だ。

だが、フィッティングがもっと重要だ。

採寸とは、身体のある点を計測するにすぎない。

点はもちろん大事だが、服を仕上げる時に大事なのは、線。

点と点を、どんな線で結ぶのか?

それは直線的なのか?曲線的なのか?

パンツのシルエットは、立ち姿を意識しているか?それとも座っている時を想定しているのか?それだけでヒザの絞り方も変わってくる。

こういった部分は仮縫いを入れたり、ゲージ服という見本の服を羽織った場合に、細かくピンを打っていく。

ピン打ちをしながら鏡の前で、また打ち合わせを重ねる。

納品 さらによくなるように

こうして1時間〜2時間、じっくり打ち合わせをしてオーダースーツは完成してくる。

生地は、イタリアやイギリス、フランスやベルギーから取り寄せることもある。

1着単位で取り寄せて、ボタンも裏地も用意する。

こうして打ち合わせをしてから生地にはさみを入れていく。

大量に作られた服の中から選ぶわけではない、とても贅沢な一着が生まれてくる。

ところが完成して袖を通していただいて、それで終わりだとは思わない。むしろそこがスタートなのだ。
どういうことかというと、仕立て服は誂えるたびに精度が上がっていく。コミュニケーションも深まるし、羽織ってもっとここは次はこうしようか。と、進化させていくことができる。
これもオーダースーツを仕立てる醍醐味なのだ。
 
 

まとめ

オーダースーツを仕立てる、と一口にいってもなかなか深い。

じっくり打ち合わせをする。

それも1着のために、店側とお客の真剣勝負だ。

注文があって、そこから素材は用意され、職人が動く。

非常に贅沢で、自由度も高い。

ただ、自由度も高いため、しっかり打ち合わせすることが重要だ。決まったものがあって、誰がやっても一緒に仕上がる、というものではない。

それが故に面白い世界だと思う。

今回はイメージコンサルタントの皆様に流れを説明させていただいたが、男性の服の奥深い世界観が少しでも伝わっていたら良いな、と思った。

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2018年9月12日
イベント | ボットーネの日々

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