チョークストライプとフランネルと
本日は、チョークストライプのオーダースーツ、こちらはH氏へご納品のスリーピース。
秋冬の1着として揃えておくと重宝するチョークストライプについて、今日は特徴をまとめてみた。
名前の由来のとおり、あの小学校のとき黒板に使用するチョークを引いた線からきている。
はっきりしたストライプと違い、ぼわっとしているのが特徴だ。
この雰囲気が出るのは、普通のスーツのつるんとした感じではなく、
起毛したフランネルだからである。
いかに良い雰囲気でこの霜降り感を表現するか?
そこか各ミル(織元)や商社(マーチャント)の腕の見せ所なのだ。
まず、着用する国の気候にもよるし、札幌と福岡では気温が違うのだが、
フランネルのスーツを着るシーズンがとても限られる。
例えば東京都内なら秋深まった11月後半から2月くらいの、
そのなかでもやや冷え込んだ日に着ると暖かい。
10月前半では実際に少々暑いし、見た目にも暑そうなのだ。
それから、フランネルはウーステッドのスーツよりも耐久性が高くないというか、
比較すると扱い辛い傾向がある。
そもそもスーツの素材にはウールにも、
梳毛(そもう:ウーステッド)と、紡毛(ぼうもう:ウールン)と2種類がある。
梳毛というのが、よく見るスーツのような、つるんとした表面の素材で、
紡績のときに、繊維が櫛(くし)を通ることで1つの方向に揃えられてつくられた糸なのだ。
紡毛は、簡単にいうと梳毛が整えられるときにとったような、
短い、不揃いの、均一じゃあない繊維も含んで織った、自由な繊維なのだ。
だから粗くて温かみがある、英国の寒い地方で生まれた素材なのだ。
(がっつりしたツイードとか、ピーコートに使用するメルトンも紡毛だ。)
そのようなわけで、所持している方も比較すると少なくなるため、
スーツを着る職場でも営業マンでも、
フランネルのスーツを着ている方を見ること自体少ない。
だからこそ洒落た印象に映る。
さらに今回の1着のジレは、ダブルだ。
シングルのジャケットに、ダブルのジレ、
これもなかなか粋で、ここのところのトレンドである。
ジャストサイズのフィット感を得るだけでなく、
こういうディテールにこだわってオリジナリティを出せるのもオーダーの魅力といえる。
ということで、
1着あるとクローゼットに彩りをもたらすフランネルのスリーピース。
スーツが揃ってきたら、冬に特化したスーツを揃えてみるのも面白い。
フランネルのスーツを仕立てるなら、無地か、チョークストライプか、あなたならどちらを選択するだろう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年1月15日
明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術 | スーツ ジャケット スタイル
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