2026年春夏の新作生地|オーダースーツの定番生地カノニコ(CANONICO)

年明けから早くもひと月が経ちますが、皆様いかがおすごしでしょうか。
ここ数日は寒波によりグッと冷え込む日も増えてきましたね。12月から1月初旬にかけては比較的穏やかな気温が続いていたこともあり、この急な冷え込みには身体も驚いているのではないでしょうか。いよいよ東京も本格的な冬の到来を感じる今日この頃です。
そんな寒さ厳しい中ではありますが、私たちオーダースーツ業界では、例年この時期から次の春夏シーズンに向けた生地の入荷が本格的に始まります。今年のトップバッターを飾ったのは、イタリアの名門生地メーカー:カノニコ(CANONICO)でした。
カノニコは日本国内で最もポピュラーで認知度の高い生地メーカーということもあり、多くの卸売り業者が取り扱っているブランドです。そのため入荷時期も各社によって異なるのですが、ボットーネにはいち早く2026年春夏コレクションが届きましたので、この新鮮な生地たちを皆様にご紹介していきたいと思います。
この記事の目次
カノニコの大きな特徴

カノニコは非常に名の知れ渡った生地ブランドですので、その特徴を既に把握している方も多いと思いますが、改めて簡単に整理してみたいと思います。
私が個人的に考えるに、このブランドの最大の魅力は『圧倒的なコストパフォーマンスの良さ』と『時代を捉えたトレンド感』の二つに集約されます。
まず、コストパフォーマンスについては、もはや説明不要といっても過言ではありませんね。ヨーロッパから輸入されるインポート生地でありながら、これだけの高いクオリティを保ちつつ、リーズナブルな価格帯に留まっているということは、オーダースーツ店にとって本当にありがたい存在です。もちろん、最終的にスーツをお仕立てになるお客様にとっても、質の高いスーツを手の届きやすい価格で手に入れられるという大きなメリットがあります。
確かに世界的な原材料費の高騰や為替の影響などもあり、数年前と比較すると価格は上昇傾向にあります。しかしながら、他の同等クラスの生地ブランドと比較してみると、カノニコの価格上昇率は随分と優しい方ではないかと感じています。
次にトレンド感についてですが、カノニコほど柔軟かつスピーディーにコレクションが入れ替わる生地メーカーは、他にはほとんど存在しません。この点においては、一段飛び抜けていると言っても過言ではないでしょう。
例えば、対極にあるようなイギリス系の伝統的な生地ブランドを見てみると、10年、20年と変わらぬ定番コレクションを今でも愚直に作り続けているメーカーが数多く存在します。これは決して悪いことではなく、むしろブランドとしての一貫性や伝統を大切にするという価値観の違いです。どちらが優れているかという優劣の問題ではありません。
ただし、クラシックで普遍的なスーツスタイルを基本としながらも、時にはその時代のトレンドを取り入れた装いを楽しみたくなる瞬間もありますよね。そんな時こそ、カノニコの生地コレクションから選ぶと、まさにドンピシャで今の気分にマッチする一着に出会えるはずです。
変わらない良さを貫く生地と、時代とともに変わっていく良さを持つ生地。どちらがあなたの好みやライフスタイルに合いますでしょうか?
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まずは目を惹くストレッチ生地の豊富さ

さて、前置きが長くなってしまいましたが、早速今期の新作生地を眺めていると、まず驚かされたのが『ストレッチ生地』のラインナップの充実ぶりです。なんと一冊のバンチブック(生地見本帳)の約半分がストレッチ生地で占められていました。さすがにこれほどまでの比率は今までありませんでしたね……。
スーツ生地にストレッチ素材が混紡されるようになってから、既にずいぶんな年月が経ちました。しかし登場当初は、正直かなり粗悪なクオリティのものも市場に出回っており、着心地や耐久性に問題があるケースも少なくありませんでした。そのためボットーネとしては、お客様に自信を持っておすすめできる品質になるまで、しばらくの間は静観する姿勢を取っていたのです。
しかしながら、ここ数年でストレッチ生地の製造技術は飛躍的に向上し、生地のクオリティもグッと上がってきました。今では従来のウール100%の生地と遜色ない風合いを保ちながら、動きやすさという機能性を兼ね備えたハイブリッドな生地が数多く開発されています。そのため、ボットーネのお客様にも自信を持っておすすめできるレベルに到達したと判断しています。
こういった生地業界全体のクオリティ向上という経緯もあって、先日ボットーネからリリースした『ストレッチスーツ』のコレクションが、多くのお客様から好評をいただき、幅広く受け入れられているのだと感じています。


カノニコのストレッチ生地ラインナップには『スーパーソニック』という、もう何年も定番として愛され続けているシリーズがあります。今回のコレクションでは、このスーパーソニックの種類が以前と比べて大幅に増えていました。
生地の糸の構成を変えたもの、厚みに変化をつけたもの、織り方を工夫したものなど、様々なバリエーションが用意されており、お客様の多様なニーズやシーンにお応えできる圧巻のラインナップとなっています。
ビジネスシーンでの着用はもちろんのこと、休日のプライベートシーンで着用するセットアップスタイルや、ビジネスカジュアルとしてのジャケパンスタイルにもぴったりマッチする生地が揃っています。
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春夏らしい爽やかなカラーラインナップ

近年の夏の暑さは、いったいどこまで厳しくなるのだろう……と頭を抱えたくなるレベルですが、それでも必要な場面ではスーツやジャケットを着用しなければならないシーンは確実に存在します。
そんな暑い季節だからこそ、着ている本人が少しでも涼やかな気持ちで過ごせること、そしてお会いする相手にも暑苦しさを感じさせず爽やかな印象を与えられることが重要になってきます。春夏のスーツ生地選びでは、こういった視覚的な涼しさも大切な要素なのです。
ここ数年のトレンドとして、単色ではなく複数の色を微妙に合わせたような『ニュアンスカラー』が市民権を得ており、ファッション業界全体で人気を集めています。特にスーツやジャケットなどのテーラードアイテムにおいては、『〇〇+グレー』という、ベースカラーにグレーを混ぜ合わせたような色味が非常に人気のようです。

その中でも『ブルーグレー』はまさにニュアンスカラーの筆頭格であり、春夏向けのビジネススーツとして、おそらくボットーネで最もお仕立て実績のある色柄ではないかと思います。
なぜブルーグレーがこれほど支持されるのか。それは絶妙なバランス感にあります。ネイビー系の色味は、明るすぎるととてもビジネスシーンでは着用できないカジュアルな雰囲気になってしまいます。かといって、いつものダークネイビーでは、色味の印象からすでに重たく、夏の暑い時期には視覚的にも暑苦しさを感じさせてしまいます。
そんな難しいバランスを求められる春夏のビジネススーツにおいて、ブルーグレーは最良の解決策となるのです。ビジネスシーンにふさわしい落ち着きと品格を保ちながら、同時に軽やかで爽やかな印象も演出できる、まさに理想的な色味と言えるでしょう。
もちろん、プライベート用途のジャケットやセットアップであれば、もっと自由に、様々な選択肢から選ぶことができます。明るめのベージュ系、淡いグリーン系、柔らかなピンク系など、あれこれ想像を膨らませながら選ぶ時間そのものが、とても楽しいひとときになるはずです。
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ジャケットにはシルク混やリネン混が最適

令和の時代になっても、平成も、昭和の頃から変わらず愛され続けている春夏素材の代表格が『シルク』と『リネン』です。
今年は特に多くの生地メーカーからシルク混・リネン混の生地がリリースされると、生地業者の方から事前に情報をいただいていました。春夏ジャケットを愛する方々にとっては、選択肢が豊富になる嬉しいニュースですね!
シルクが混紡されることで、通常のウール生地のさらりとした質感の中にも、独特の光沢感としっとりとした滑らかな触り心地が加わります。一方、リネンが混ざると、生地の色合いが一気に爽やかな印象へと変化し、まさに春夏らしい清涼感のある風合いを得ることができるのです。

カノニコの面白いところは、実際にシルクやリネンが混紡されている生地だけでなく、シルク混・リネン混『風』の雰囲気を持つウール100%のジャケット生地も展開されているところです。
この生地、なかなかの完成度で、ぱっと見た印象ではリネンが混ざっているのかな?と見間違えてしまうほど、ナチュラルな風合いを再現しています。しかし実際に手で触れてみると、その質感は明らかにウールの滑らかさ。このギャップが興味深いですね。

本物のシルクリネン混生地は、素材の特性上どうしてもシワが付きやすくなってしまいます。これは天然素材ならではの特徴であり、ある意味では味わいでもあるのですが、『シワになりにくさ』を優先したい方、頻繁にケアをする時間が取れない方には、こちらのウール100%で作られた『風』生地の方が実用的かもしれません。

それぞれに異なる良さと特徴がありますので、ライフスタイルや用途に合わせて選んでいただくのがベストです。個人的な感想としては、今年のカノニコのシルク混・リネン混ジャケット生地は、色柄のバリエーションも含めて本当に素敵なラインナップだと感じています。
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最後に
最後になりますが、今回入荷したカノニコの2026年春夏コレクションから、撮影した生地の写真を一気にご覧いただければと思います!
実際の生地は写真以上に質感や色合いに深みがありますので、ぜひ店頭でお手に取ってご覧いただきたいです。気になる生地がありましたら、または「こんな雰囲気のスーツが作りたい」というご希望がありましたら、どうぞお気軽にお声掛けください!
皆様のご来店を心よりお待ちしております。

ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2026年1月26日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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