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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

パーティーの服 燕尾服の所作でわかった上流階級の見分け方

19世紀 貴族

さて、前回は出石尚三氏特別講演 英国から来た流儀の、社交と装いというテーマの講義内容のなかから、ペイズリーとパーティーの不思議な関係という内容をお伝えした。
今回は続編で、ダンスをするシーンで燕尾服に着替えたジェントルたち、ある所作の違いで階級がわかったという。
一体どのような違いだったのだろう?

 

バッキンガム宮殿と服装

現在の日本は20歳の歳に成人式を行って、事実上大人になる。
選挙権も得られるし、お酒も飲めるようになる。
19歳と20歳とでは違うわけなのだ。

では19世紀、ビクトリア時代はどこが境目だったのかといえば、それは17歳。
17歳、それはそれはとても大事な節目だった。
大人の仲間入りの年の、一大イベントがある、謁見だ!

19世紀、育ちの良い方々はビクトリア女王の時代、女王謁見というのがあった。

バッキンガム宮殿に行き、女王陛下にご挨拶申し上げるという一大イベントなのだ。
 
その日、宮殿にはずらっと馬車が並んだ。
いよいよ17歳、ここぞと正装をしなければならなかったのである。
 
まず、ここで忘れてはいけないのが男性も女性もグローブ(手袋)である。
現代でも正装をする場合で、例えばモーニングコートを着用する場合にはグローブが必須となる。
当時もグローブはなくてはならないアイテムで、手にフィットしていればいるほど良く、正式には素材はホワイトキットだった。

バッキンガム宮殿と服装

(絵画はイメージ、ジャケットがカッタウェイだから、フロックコートよりも後のモーニングコートか。)

さて、この当時、基本的にはグローブを外すことはない。

唯一の例外は食事の時だったのだが、ビスケットを食べる時は外すことにしたものの、さて、、サンドイッチを食べる際はどうすべきだろうか・・と迷った挙句に外した。
そのくらいに露出しない時代だったということが想像できるわけだが、とにかく肌を見せることは恥ずかしいことだったのだ。
 
グローブ以外にも正装の必須アイテムがあった、パラソル(傘)、そしてファンである。
パラソルに関していえば、1年365日女性は持つべきもので、当時、ビクトリアンパラソルというのが流行る。
 
 
いよいよ謁見の時だ。
場所は2階、謁見の間。
 
2階の踊り場には、ブリーチズにシルク・ストッキングの召使が、細い2本の棒を持っている。
この棒で乱れているドレスのトレイン(トレーン)をしゅっと修正していく。
 
いよいよトレインが整うと配列だ。
 
さて、男性には、謁見はないのだが、昼間フロックコートを着ていた彼らは、夜、パーティに行くときには、燕尾服に当然着替えている。
燕尾服
 
燕尾服を着る、椅子に座る。
 
このとき、中流と上流の所作の違いが露わになる。
燕尾服という服は上記の写真のように裾が長い。
燕、尾、服という読んで時の如く尾っぽのように長く伸びた裾が特徴的なのだが、着用したことがある方はお分かりかと思うのだが、着席する時に少し困る服だと思う。
燕尾服のまま座る時に、裾の部分をパッと手で払って座る。
これが本来エレガントだと思うのだが、実はこの所作では中流階級なのだそうだ。
 
 
バッキンガム宮殿と服装
 
上流階級になると、、、
燕尾服の裾など気にせずドカンと座った。
 
 
実はそもそも、上流の方は自分で服をきる発想がない。
だいたい小さな屋敷では20人の召使がいて、これが大きなお屋敷となると、200人〜300人もの召使がいたのだ。
だから服を自分で着るという発想がないし、服のシワを修正するのも召使に仕事。
お仕事をとっちゃあいけないというわけである。
 
汚れたらどうしよう・・・
などと考えていては下流も下流だったそうで。
いやはや、ジャケットが少し汚れただけでハッとする私は上流階級にはほど遠い。

出石尚三 講義 松はじめ
出石先生の講義は、英国から来た流儀以外にも銀座ファッションアカデミアでも受講可能だ。

Ginza Fashion Academia 第二期生を募集します。
第二期のテーマは「フォーマルウェアについて」です。

人が生きていく上で必ず着用する社会性の高い服、正しい着こなしの原点はやはりクラシックにあります。しかしそれだけでしょうか?

第二期の内容とスケジュールです。
是非本来の意味、本質を学んでいただきたいと思います。

時間は全て15:00-17:00です。

①7/8(土) 「フォーマルウェアの掟」       
②7/22(土) 「日本の常識は世界の非常識」   
③8/5(土) 「フォーマルウェアは誰の為に着るのか」
④8/26(土) 「モーニング·コートの歴史」
⑤9/9(土) 「ディナー·ジャケットの歴史」
⑥9/23(土) 「なぜブラック·タイを結ぶのか」       
GFAファッションキュレーター3級認定試験       
ディプロマ発行 場所:銀座

第二期生募集にあたり、出石先生に特別寄稿していただきました。

フォーマル・ウエアの快感(主任講師 出石尚三)

「フィッシュ・アンド・スープ」fish and soup という表現があります。これもまた俗語では、「燕尾服」の意味になります。

正式な晩餐では、まず最初にスープが出て、それから前菜の魚が出ることになっているからです。つまり正式の晩餐会には燕尾服が欠かせないからなのです。

もちろん、「スワローテイル・コート」の俗語もあります。背中のテイルが燕の尻尾に似ているから。この「スワローテイル・コート」をそのまま日本語にして、「燕尾服」の言葉があるわけです。

正しくは、「イヴニング・ドレス」と言います。「夜会服」とでも訳せば良いでしょうか。
また一般には、「ホワイト・タイ」とも。燕尾服には白ピケの蝶ネクタイを結ぶことになっているので。

燕尾服は窮屈で、という意見もあるでしょう。でも、今なお、音楽家はまず例外なく、イヴニング・ドレス着用ということになっています。一年の大半を燕尾服で過ごしたいなら、演奏家になるに限ります。

また、見方を変えるなら、服装におけるタイムスリップでもありましょう。二十一世紀にいながら、十九世紀の衣裳を堂々と着こなせるのですから。そんな機会はめったにありません。二十一世紀にいながら十九世紀の紳士の気分を味わえるのは、なんと良い気持であることか。

一度でも燕尾服を着てみれば、今のスーツがいかに楽な服装であるかが、理解できます。今日のダーク・スーツに先輩はディナー・ジャケットで、そのまた先祖は燕尾服であってみれば、スーツの着こなしは恐るに足らず。
燕尾服を着るのは、快感。そしてスーツの運転が上手になること、間違いなし。
フォーミュラ・カーでレース場を走ったら、一般道でのファミリー・カーが巧みに操れるようになるのに、似ているでしょう。

Ginza Fashion Academiaより引用

7月より私も受講する出石先生の講義、
興味のある方は主催の方をご紹介できるので、ご一報ください。

実際に参加した銀座アカデミア

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2017年6月29日
TPO | フォーマルシーン

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