出石尚三さんの特別講演 社交と装い

出石尚三先生の特別講演、しびれた。
服飾の、知られざる歴史の真実、どんな映画よりも濃い90分前のめりの講演。
考えてみたならば、人類が誕生して穴で暮らしていて、人に会うために服を装うようになった、ということを考えると、社交と装いというテーマはとても洋服の根源的なテーマだ。
普段自宅でパジャマを着ていて、それでだけだとファッションが進化しない、と語った出石さん。
さて、本日のテーマは英国の社交からはじまった。
19世紀、ビクトリア時代のこと。
この時代はとても稀有な時代だそうだ。
まず、1晩300ポンドを使ってパーティーをしていた。
パーティのようなイベントだから、お金はかけたならばきりがない世界だけれど、300ポンド以上は使っていたのだそうだ。
では、1850年代の1ポンドは、一体いくらだったのだろう?
この時代の、労働者階級の年収は、およそ300ポンドだったそうだ。
そう、上流階級が1夜で使うその金額が年収なのだ。
300ポンドあれば、親子3人で充分生活していけたのだ。
それを、たった1夜の豪遊、労働者階級の年収をザギンでパッと(失礼)!のようなパーティーだったわけだ。

ちなみに、 年500ポンドならば、馬車を持つことができた。
現代でいえば運転手付きの車で送迎してもらえるというようなことかもしれない。
そんなビクトリア時代、1000ポンドクラスで地主クラスだったそうだ。

そんな19世紀、私たち紳士服テーラーでスーツを着せた人体を、トルソーというが、トルソーという言葉、19世紀はトルソー=花嫁衣装のことだったのだそうだ。
花嫁衣装を一式揃える、これから嫁いで一年、何も買わなくていいように、そのトータルをトルソーと呼び、トルソーが500ポンドだった。
500ポンドあれば馬車が持てる・・。
上流階級の1年間の衣服費が500ポンド・・。

さて、当時の英国の男女は17歳で成人となる。
上流階級の16歳と17歳をわけるもの、それがボトムであった。
例えば男性は16歳未満は半ズボン。
それが17歳になった瞬間に長ズボン(トラウザーズ)になるのだ。
今日からお前は1人前の大人だ!という証がトラウザーズだったのだ。
それで女性は、16歳までショートスカートを履いて、フルレングスになるのだ、17歳になった瞬間にだ。
これが大人になった印なのだ。
そして、パーティーとなると、17歳以上にならなければ行くことはできなかったのだ。
19世紀、いかにパーティーにお金を使っていたのかがよくわかった。
でもどうして、そんなにお金もちだったのだろう?
その2つ理由ある。
そして、パーティーの服の着こなしで、座る仕草で上流階級か中流階級を一瞬で見分けるある仕草とは?

今回一番驚いたのは、タキシードを着るときのストッズボタンは、3つ=中流階級ということだ。
一体いくつが上流階級的なのか?
このあたりもぜひ解説していきたいと思う。
出石さんの講演は、名画を見終わった後のような興奮と感動、ただならぬ余韻に酔いしれると同時に、とても論理的だ。
私自身ももっともっと学びを深めていきたいと思う。

業界の人間だけでなく、服好きな方であれば参加できるというこの講義、興味のある方はぜひメールをください。主催していただいた内田様、ご縁を繋いでくださった大西基之先生に心から感謝。
出石さんのジャケットとウェストコートにも驚いたが、主催内田さんがボウタイの装いも秀逸で、懇親会に参加できなかったのが悔やまれる夜。
さて、明日何着よう?
出石尚三先生の講義、つづきはこちら
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年5月17日
明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術 | 背広紳士の知識
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