コーデュロイの魅力と育てる愉しみ
秋が深まり、朝晩の空気に冷たさを感じる季節になりました。
街を歩けば、まだ薄手の装いの方もいれば、すでにコートを羽織っている方もちらほら。
こんな季節の変わり目には、少しだけ先取りした装いが、洒落者に見えるものです。
そんな今の時期には「コーデュロイ素材」で仕立てるスーツ・ジャケットが素敵に見える。
革のように育てる、コーデュロイという選択

コーデュロイと聞いて、どんなイメージが浮かぶでしょうか。
温かみのある手触り、独特の畝模様、そしてどこか懐かしい雰囲気。
確かにコーデュロイは、今や数千円で買えるカジュアルウェアとして、どこでも手に入れることができます。
だからこそ、良い生地で仕立てたコーデュロイには、格別の価値があるのです。
上質なコーデュロイは、使い込むほどに味わいを増していきます。
まるで革製品のエイジングのように、着るたびに生地が馴染み、深みを帯びていく。
これは「育てる楽しさ」と呼べるものです。
毛並みがあるコーデュロイは、つい丁寧に扱いたくなるものですが、実は逆なのです。
細かいことは気にせず、ガシガシと着用してください。
コーデュロイは、そうして着込まれることで、本当の表情を見せてくれます。
新品のコーデュロイは、正直に申し上げると、まだ本領を発揮していません。
着古してこそ、コーデュロイは格好良くなる。
クタッとした風合い、独特の野暮ったさ、それこそがこの生地の真骨頂なのです。
畝の太さで変わる、まったく違う表情

ひとくちにコーデュロイといっても、畝の太さによって仕上がりの雰囲気は驚くほど変わります。
この違いを知ることが、コーデュロイを楽しむ第一歩です。
細畝のモダンな表情

イタリア産のコーデュロイに多く見られる細畝は、ベルベットのような上品さを持っています。
コーデュロイでありながら、非常にドレッシーな雰囲気になるのです。
レストランでの食事や、街中での装いにもぴったり。
ネイビーやダークトーンを選べば、シャツに合わせても、ハイゲージのタートルネックニットに合わせても様になります。
コーデュロイ自体に存在感があるため、他のアイテムはシンプルにまとめるのがおすすめです。
中畝・太畝のカントリーテイスト

一方、畝が太くなってくると、英国産のコーデュロイが本領を発揮します。
タイトなフィッティングよりも、少しゆとりを持たせ、カーキやブラウンなどのアースカラーが、この素材には良く似合います。
インナーには、ミドルゲージやローゲージのニットを合わせましょう。
細畝とはまるで違う、カントリー調の温かな雰囲気が生まれます。
ジャケット、ベスト、パンツ、それぞれを別々に着ることもできますし、もちろんスリーピーススタイルでトラディショナルに装うこともできる。
一着で何通りもの顔を見せてくれるのです。
コーデュロイ素材と相性の良いデザイン

私たちがコーデュロイのスーツやジャケットをお仕立てする際、特にこだわっているディテールがあります。
それは「ミシンステッチ」と「フックベント」です。
コーデュロイという素材が持つ、クラシックでカジュアルな雰囲気。
これを最大限に活かすには、細部にまで気を配る必要があります。
手縫いのステッチではなく、あえてミシンステッチを使うことで、アメリカントラディショナルな空気感を表現します。

そして背中のベント(切れ込み)は、フックベント一択です。 この組み合わせこそが、コーデュロイの本質を引き出すのです。
また、コーデュロイのスーツには、ぜひボタンダウンシャツを合わせたいと思います。
Vゾーンは浅めの3つボタンで、少し野暮ったさを演出する。
足元はサドルシューズで決める。
こうした細かな要素が重なり合うことで、映画『卒業』に登場するようなアイビーリーガーの装いが完成します。
くたっと着こなす、その雰囲気こそが理想なのです。
寝かせてから着る、という贅沢

ボットーネの代表の松は新しく仕立てた服をなかなかすぐには着用しません。
まずクローゼットには入れず、ハンガーラックにかけて、しばらく眺め、ウイスキーグラスを傾けながら、その服と対話する時間を持つ。
これは決して気取った行為ではなく、その服が、どんな装いに似合うのか、 どんなシーンで着るべきなのか、 生地と向き合い、イメージを膨らませる大切な時間だったりします。
コーデュロイは特に、この「寝かせる時間」が重要だと感じています。
なぜなら、新品のコーデュロイは、まだ完成していないから。
ある日、古い映画を観ていたときに「この着こなしに使える」と気づいたといいます。
古い時代を描いた作品には、必ずといっていいほどコーデュロイのジャケットやスーツが登場します。
そこで学んだのは、コーデュロイとは「時間を重ねて美しくなる素材」だということ。 着込んでこそ、本当の価値が生まれるのです。
この季節にしか味わえない、特別な装い
秋から冬へと移りゆくこの季節。
コーデュロイは、この時期だけの特別な装いを演出してくれます。
街でもコーデュロイのパンツやコートを見かけることが増えました。
もしあなたが、秋冬の装いに何か特別なものを加えたいと考え、なおかつ長く愛用できる一着をお探しなら コーデュロイのスーツやジャケットを選ぶのもいいかもしれません。
ボットーネでは、イタリア産の上品な細畝から、英国産の味わい深い太畝まで、厳選したコーデュロイ生地をご用意しております。
お客様のライフスタイルやお好みに合わせて、最適な畝の太さや色をご提案いたします。
そして何より、着込むほどに愛着が湧き、育てる喜びを感じられる一着を。
私たちは心を込めてお仕立てさせていただきます。
今年の秋冬は、コーデュロイとともに。
時間をかけて育てる、そんな贅沢を楽しんでみませんか。
ライター:その他クルー
2025年10月24日
オーダースーツ ボットーネのブログ | 明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術
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