重ね着の季節 フランネルが欠かせない
日に日に寒さが増し、冬本番がもうすぐそこまで迫ってきていますね。
表参道も毎年恒例のイルミネーションが点灯し、
街を歩く人々の格好も冬らしく変化しています。
日中はまだ暖かい日もありますから、ズッシリとした厚手のコートだと防寒し過ぎたな、、、という日もありますね。
そんな時には薄手のコートが活躍します。
例えばこのようなガッティのガンクラブチェックのステンカラーコート。
薄手で軽いカシミア素材なので、程よく温かく、持ち運びもしやすいので重宝します。
また、これからの季節にちょうど良いスーツといえば、フランネルのスーツ。
フランネルのスーツは男性にとっての必需品だと思っています。
おしゃれな人なら誰もが意識しているのが季節感。
流行を追いかけるのではなく、普遍的だけど『旬』なアイテムに身をまとうだけで、粋な装いに格上げされること間違いなしです。
しかし、フランネルにも色々な種類がありますので、意外と選ぶのが難しい。。。
だからこそ「自分に最適なフランネルは何か?」
専門家と考えてみるのも面白いですよ。
フランネルの魅力
そもそも、フランネルってどういう生地のことを指すのでしょう?
簡単に説明すると、生地の表面を起毛(きもう)させた素材のことです。
このようにほっこりとした温かみのある表情をしており、いかにも冬用といった感じです。
さらにフランネルは大きく分けて2種類存在しています。
それが「梳毛フランネル」と「紡毛フランネル」です。
●梳毛フランネル
梳毛(そもう)とは、”くしけずった毛”という意味で、櫛でとかして整えられたように一方向に揃えられた糸を指します。
一般的なスーツ用の生地は基本的にこの梳毛糸を使っているのですが、この梳毛を起毛加工させたものが梳毛フランネルとなります。
要は基本的にはスーツ用の生地で、少しだけ起毛させているのです。
こちらが梳毛フランネルで仕立てた、チャコールグレーのスーツ。
見た目は普通のスーツ生地とさほど変わりませんが、よく見るとわずかに起毛しており、ほっこりと暖かみを感じます。
ビジネスシーンで用いるなら、これくらいが一番丁度良いのかもしれません。
●紡毛フランネル
紡毛とは、繊維長の短いウールおよび均一ではない繊維も含み、かつ梳毛のように一方向に揃えられたものではないものを紡毛(ぼうもう)と言います。
非常にややこしい言い回しですが、要は整えられた梳毛に対して、整えていない紡毛といったイメージです。
ゴワッとした生地感がたまらないのです。
整えられていないことによる粗野な感じと温かみがあることが一番の特徴となります。
本来のフランネルはこの紡毛素材のみであったのですが、時代の変化とともに梳毛素材も使われるようになってきました。
フランネルは英国の寒い地域で生まれた為、基本的には厚手の生地中心で防寒に適したものが多くなっています。
こちらは、フランネルでもっとも有名なフォックスブラザーズ社のクラシック・フランネルというコレクションの生地で仕立てたスーツ。
梳毛フランネルよりも明らかに生地に厚みがあり、フランネルらしさが存分に感じられます。
チョーク・ストライプのかすれ具合がこの紡毛フランネルであれば表現しやすく、より真冬のシーズンに着たくなる雰囲気となります。
暖房の整った室内では正直ちょっと暑いかな?と感じるくらい保温性は抜群です。
おすすめの生地
フランネルといえば、英国フォックスブラザーズは第一の候補に上がるべき確かな生地です。
やはり外せない。右に出るものはいません。
「英国フランネルの代名詞」といわれるほど群を抜いて世界中で高く評価されています。
英国の逞しい生地のイメージそのままに、肉厚のフランネルがフォックスブラザーズの真骨頂。
中でもフォックスブラザーズを代表する定番生地”クラシック・フランネル”は、目付400gm程のヘビーウエイトながら、
ただ単に硬さが目立つのではなく、芯にはしなやかさを備えています。
こちらは、FOX BROTHERSの定番柄であるチョークストライプの生地で誂えたオーダースーツです。
このような肉厚のフランネルはツイード素材のように育てていく楽しみがあり、少しクタッとした表情が出るころには、その
スーツはあなたのものになっているはずです。
しかし、フランネルはイギリスだけのものではありません。
イタリア産のフランネルには全く別の魅力があります。
イタリアの名門織元のひとつである”DORAGO”のフランネルは、潔く全てが無地のコレクションでまとめられています。
加えて、【ナチュラルストレッチ】【撥水】【防汚性】の3つの特徴を持ち合わせており、機能面でも一歩抜きん出た生地です。
機能性に優れていながら、ウール100%のままナチュラルにストレッチが効くのです。
軽めの目付270mgsで着回しもしやすく、柔らかな質感と豊かな表情がとても良い雰囲気です。
軽くて、発色も豊か、カラーリングも英国にはないポップなものも多く「軽くジャケット(スーツ)を着たい」という今のニーズをつかむ生地といえますでしょうか。
ニューノーマルなコーディネート」
昨今のビジネスシーンにおけるドレスコードは徐々にカジュアル化が進んでいますよね。
そんなカジュアル化の流れにあえて乗るなら、秋冬のスーツスタイル、インナーにシャツではなく、ニットをあわせたスタイルもオススメ。
ニットを合わせることでおしゃれな雰囲気がグッと上がり、中途半端にノータイのシャツよりもカッチリとした雰囲気が保てるはずです。
また、フランネル生地で仕立てたスーツは特にニットとの相性が抜群。
ハイゲージのニットの上からジャケットをサッと羽織るだけで、あっという間にオシャレ上級者のようなコーディネートが完成します。
●クルーネック
クルーネックのニットは首元がすっきりしているので、初めてのスーツスタイルに合わせるニットとしては合わせやすいのですが、あまり頻度高く着用してしまうと襟に皮脂よごれが付いていしまいますから注意が必要です。
シャツの上にクルーネックニットを着て、その上からジャケットを羽織るのは、一歩間違えればとても残念なコーディネートになってしまいますので、初心者はやめておきましょうね。
●タートル
ニットの中で最もオシャレな雰囲気が出せるのはタートルネックではないでしょうか。
首がしっかりと詰まっていますので温かさは抜群、秋冬のスーツスタイルをオシャレに彩る万能アイテムと言えます。
首周りがオーバーサイズだとだらしなく見えてしまいますので、タートルネックを選ぶ際は首周りがジャストサイズのものを選びましょう。
ミドルゲージのニットだと途端に野暮ったくなってしまいますので、基本はハイゲージで。
●モックネック
タートルネックを合わせたいけど、首が詰まって窮屈な感じがするのがちょっと、、、という方は、モックネックという第三の選択肢が重宝します。
タートルネック同様ジャケットの襟も汚れませんし、首元が詰まった感じもあまりしませんので、上品かつスマートな印象を与えてくれます。
ここ数年で急激に人気度を上げてきた注目のニットです。
いくつかの種類のニットを持っておけば、スーツスタイルだけでなく私服のコーディネートの幅も広がりますよね。
スーツにあわせることを前提にニットを選ぶのであれば、カラーは黒やネイビー、ダークブラウンなどの落ち着いた色味を選ぶとコーディネートしやすいと思います。
まとめ
フランネル=起毛した素材は、スーツに用いる生地の中では最も暖かく、かつ独特の素材感がそのまま季節感につながります。
普通の無地のフランネルでも、ジャストフィットで仕立てればそれだけで雰囲気がある特別な1着へと昇華します。
カジュアルにオーバーサイズで着こなすならサイズ感は重要ではないかもしれませんが、30代・40代のビジネスパーソンにオーバーサイズを取り入れるのは難しいですよね。
流行に左右されないという側面で見ても、ジャストサイズのフランネルスーツは必ず揃えておくべきアイテムではないでしょうか。
無数の生地の中から、あなたに最適な生地を一緒に見つけるために、様々な角度からアドバイスをさせていただきます。
ボットーネ は完全予約制。
目移りする他のアイテムも一切なく、ストイックにこれからの洋服のことに専念してお話しできる空間でご提案させていただいております。
お一人がっつり2時間、立ち話で流れることなく、コンシェルジュがひとつひとつの言葉・ご要望を汲み取ってあなた目線で考えているため、ご予約制でないとお客様と向き合うことができないんです。
「今日、これから伺ってもいいですか?」
最近はありがたいことにたくさんのお問い合わせやお電話をいただくのですが、週末はご予約で満席の状況が続いている為ご案内できないこともしばしば、、、。
1日にお迎えできるお客様が限られますので「生地だけでも見てみたい」という方は 是非お早めにお問い合わせください。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2021年12月4日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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