違いわかる?パンツ ズボン スラックス トラウザーズ

オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。
松はじめです。
パンツ、といえばジャケットとパンツのパンツをイメージしますか?
パンツは、ズボンともいいますよね?
その他、スラックスとも。
ちょっと詳しい方だとトラウザーズと呼ぶのではないでしょうか?
どうしてこんなにいろいろな呼び名があるんでしょう?何か違いはあるの?
今日はパンツやトラウザーズは何が違うのか?について書きました。
まず、パンツと呼ぶことが日本ではほとんどではないだろうか?
でも下着のパンツと、ズボンのパンツとは一体何が違うのだろう?
パンツはアメリカ英語
まず、パンツはアメリカ英語である。
イギリスだとトラウザーズになる。
では、アメリカではズボンを意味しているパンツと下着のパンツ、別々の呼び名があるのだ。
・ズボン:パンツ
・下着:アンダーパンツ
なるほど、アメリカではどちらを意味しているか?が明確だ。
ちなみにイギリスでパンツというと、下着のパンツを指すので注意が必要だ。
パンツ、というのはパントの複数形。
足を通すところが2本ある。
だから、パンツとは常に複数形というわけだ。
ちなみにブリーフというと男性下着のイメージだが、これは足を通すところがないから単数形になっている。
もう一つ、男性下着にトランクスというのがある。
これは足を通すところが2つ付いているので、複数形のSが付いているというわけだ。
パンツはパンタローニが起源

パンツの元になった英語は、pantoloons(パンタローンス)。
これはイタリアの、パンタローニが語源と言われている。
16世紀初め、北イタリアでコンメリアデラロッテという仮面劇があった。
喜劇で、登場するキャラが決まっている。10種類くらいのキャラクターがいて、その格好をした人が出てくると観ている人は、あ!あいつだ。とすぐわかるようになっている。
この中に、パンタレオーネという役柄がいた。パンタレオーネは金持ちで、欲深い、色欲旺盛な老商人。お客を笑わせるために長いズボンを履いて現れた。
当時は短いズボンだったのだ。
この役柄パンタレオーネが履いているものだから、パンタローン(パンタローンス)と呼ばれるようになって、アメリカでパンツと呼ばれるようになった。
ズボンはジュポーンが変形
ズボンとは一体何なのか?
これは諸説あるのだが、フランス語のジュポーンからきているという説がある。
ジュポーンはスカートの下ばきだ。
これは勘違い、聞き違いから始まったのだろうか?
どうもズボンについてははっきりわかっていない。
スラックスは俗語
スラックスは、パンツと並んでアメリカ英語だ。
スラックスと聞くとなんとなく古い言葉のように思う方もいるかもしれないし、日常的にスラックスと呼んでいる方もいるかもしれない。
スラックは、緩みとか緩いというような意味だ。太いズボンのこと?と思いそうだが、当たりともいえるし外れともいえる。
スラックスはもともとが軍人の俗語だ。
スラックスという言葉はイギリス英語には存在しない。
だいたいにおいて軍人は国(軍)からズボンを支給される。
支給されたものは、ピタッとフィットした仕立て服ではなく、緩めのサイズ。
その、緩くて楽な、ちょっと雑なズボン、というような意味合いで、兵隊用語として、スラックスという言葉がある。
誤解を恐れずにいうとスラックスはあまり上品な言葉ではなくて、荒っぽい言い方ということになる。
スラックスという名前は、第2次大戦以降に一般化した言葉だ。
トラウザーズはイギリス英語

トラウザーズは聞きなれない方も多いのではないだろうか?
トラウザーズというと、何か礼装用のズボンだろうか?と思うかもしれないが、パンツ、ズボン、トラウザーズと同じ意味だ。
トラウザーズは複数形で、単数形はトラウザー。
トラウザーズはイギリス英語である。
トラウザーズはドロワースが語源
トラウザーズの語源は、drawers(ドロワース)から来ているという。
ドロワーズとは、・短い・たっぷりした、というような言葉だ。
それで、このドロワーズ、どうもトラウザーズと聞き間違えて受け取ったのではないかと言われている。
パンツ・ズボン・スラックス・トラウザーズ まとめ
つまり、まとめるとこんな感じだ。
■パンツ
アメリカ英語:パンタレオーネという北イタリア喜劇の役が履いていたズボンが語源。
■ズボン
フランス語の聞き間違えという説
■スラックス
アメリカ英語:緩くて雑なというような、支給された軍服のことを呼んだ兵隊の俗語
■トラウザーズ
イギリス英語、ドロウワーズを聞き間違えたという説
今でも呼び名が違うが、国によって解釈が違う、それがパンツ、ズボン、スラックス、トラウザーズの正体だ。
この中ではパンタローンズという言葉が古い。
でも、パンタローンズ>>パンツ パンツと呼ぶとそれは下着をも指してしまう。
もっとも美しく最適な呼び名は?というとトラウザーズかもしれない。
さて、明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2018年6月26日
オーダースーツ | オーダースーツの歴史
タグ:服飾史, ディテール, 歴史
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