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「サルトリアイタリアーナ」長谷川喜美さんのトークショーに参加して

「冨岡くん行ってきなさい。」

代表のありがたい一言で実現した、

サルトリアイタリアーナの著者、長谷川喜美さんのトークショーへの参加。

マルキシさん主催のこちらのトークショー、

非常に勉強になり、刺激を受ける内容でした!

以下の記事でも、その時の様子を少しレポートしています。

また、トークショーの内容に関しては

代表のブログで詳しく書いてありますので、こちらを御覧ください。

この記事は、

わたしの感想と、興味を惹かれた部分に関する考察がメインです。


イタリアのサルトは日本の武道に通じる?


イタリアのサルト、
いわゆるビスポークテーラーはどのような特徴があるのでしょうか?

長谷川さんは、イタリアのサルトに関して以下のように仰っております。

  • ・家族経営が非常に多く、規模が小さいところもあり大きい所もあり。
  • ・ひとりひとり違うスタイルがある。
  • ・地方に寄って、スタイルが地域性によって異なる。
  • ・イタリアのサルトは多様性を感じさせるところが多い。
  • ・それぞれのサルトに”マエストロ”という師匠のような人がいて、その人のスタイルがそのサルト特徴になる。

流派が無数にあり、それぞれが特徴を持って作っているイタリアのサルト。

なかには、技術が継承されず1代きりで途絶えてしまうサルトもあるとのこと。

まるで、日本の武道のようではないでしょうか。


途絶えてしまう危惧、オールスターが1冊の本に集結


イタリアの優れた技術を持つマエストロの平均年齢は70歳を越え、

名人と呼ばれる人たちは80歳を越える人たちも多い。

今、こういう本を今作らなかったら、

同じクオリティの、オールスターのような本は二度と作れないのでは無いか?

とカノニコ社も非常に心配していたとのこと。

実際に、取材の時にはご顕在だった

4大マエストロの1人、レナート・チャルディさんがお亡くなりになってしまったとのこと、、、。

そういった側面もあり、

カノニコ側もプロジェクトとして、今回の本のようなものを残したいという意向もあった。

そして出版された、「サルトリアイタリアーナ」

この本のなかには、長谷川さんが実際に回って取材を行った、

27ものサルトの現状がこと細かに載っています。


マーシャル・プラン


画像元:Wikipedia

マーシャル・プランってご存じでしょうか?

第二次世界大戦で被災した国を救済するために、

国務長官ジョージ・マーシャル及び当時のアメリカが行った復興援助の政策のことなのですが。

この時期に、アメリカやカノニコ社が

テクノロジーに投資を行ったことで、

紡績からフィニッシングまですべてを一貫生産出来るようになりました。

そうすることで、ウールの買い付けから価格・クオリティのコントロールまでできるようになり、

さらには、自社牧場をつくることで、更に上質な原毛を作り出すことができるようになった。

これがイタリアの服地生産の強いところである、と長谷川さんは仰っておりました。

産業革命時には、英国の分業制が優位性を持っていたが、

現在においては下火ですよね。

これは、英国を参考にした日本においても同じような風潮が見て取れますね。


質問もしてみました


不躾ながら、

私、長谷川さんに質問をさせて頂きました。

質問内容:

毎年8%のサルトが減少しているという事実は、我々としては悲観的な印象をもってしまうものですが、

実際に現地のマエストロや業界の方はどのように想い、考えながら仕事をされているのですか?

ANSWER:

70年代はサルトが多かった。

というのも、それしか産業がないから何も考えずにそれをやるしかなかった。

だからナポリに服飾以外の大きい産業がないということもある。

自分たちの全盛期のときから比べると衰退の一途をたどっているという実感はある。

一方で、サルトの修行を積まなかったような人でも、自分でサルトリアを初めたいと思って始めている人もいる。

そういう人は、本人自身がビジネスとして真面目に取り組んで成り立たせようとしている

職人を雇ったり、SNSで発信したり様々取り組んでいる。

こういう人はプレゼンテーション能力に長けているので、それなりのお客様を獲得することができ、サルトリアとしてやっていける。

ただ、元からやっているマエストロは批判的な眼で見ている

しかし、両方の部門がないと、産業が廃れてしまうのでは、、、というところもあるし、

逆にマエストロがビジネスとしてサルトリアを行っている人に刺激を受けトラクションにやっていこうと思う側面もある

最終的には、お客さんが増えれば、職人もそれだけ必要になるし、

下働きの日の目をみないような仕事でもSNSで発信することで、

その存在に気付いてもらい、その仕事をしてみたいという人も集まってくる。

昔のクラフトマンシップのようなものは、貴族が顧客だったので採算度外視でも成り立つものであったが、

現在は、大量生産が主流となり手作りのものは廃れてしまう、それは世界中どこでも同じである

一番きつかったときは、1980年代アルマーニが流行ったときであり、

その時はサヴィル・ロウもすごくきつかったとみんな言っていた。

しかし、昨今はビスポークにも脚光を浴びているので、お客さんも来るようになり、新しい顧客層も生まれている。

全体量としては下がっているかもしれないが、産業としては1980年代頃に比べると悲観的ではないという印象でしょうか

お答え頂いた内容を今一度読み直してみると、

1980年代、日本だとバブルの頃になるでしょうか、

色々と変わり始めた、あの時代から始まった大量生産・大量消費の風潮は未だ強いながら、

ものつくりや産業のあり方の見直しはされてきている。

それはイタリアでも日本でも同じことなのだなと、改めて思いました。


まとめ


いろいろと貴重なお話を聞かせていただいた

今回の長谷川喜美さんのトークショー。

まだまだ勉強したいことが山程あるなぁと実感致しました。

トークショー後もサイン会でお忙しそうな長谷川さん。

わたしもサインを頂き、写真も撮らせて頂きました。

長谷川さんありがとうございました。

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トミオカサトルライター:トミオカサトル

2018年5月1日
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