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夏スーツにZegna(ゼニア)のBIELMONTE

爽やかなブルーグレーの夏スーツ

今シーズン特に支持を得ているブルーグレーですが、M様からオーダーいただいたこちらの生地のように、ドライなタッチの夏用スーツが特に相性が良いと感じています。

少しくすんだ色味が、サラサラとした生地の表面に良く馴染んでいて、極端な明るい色ではないのですが、視覚的に非常に涼し気でかつ実際に通気性にも優れています。

通気性が良い夏素材の代表格として【フレスコ】という生地がありますが、こちらの生地はフレスコ程ザクザクとハードな質感は無く、普段着ているスーツよりも少しドライな肌触りに感じる程度です。

フレスコとは、2本の強撚糸を撚り合わせて1本の糸にした「2PLY(プライ)」という糸や、2PLYからさらに1本加えた「3PLY」という糸で織られた生地のことを指します。

簡単にメリットをまとめますと、

・ざっくりとした独特の風合い

・通気性、耐久性に優れ、シワにも強い

・圧倒的なハリコシがある

このようになります。

とにかく、抜群の通気性とハリコシ感が魅力の生地であり、実際に生地に触れてみると良く分かるのですが、ザクザクとした触り心地で、シワに強いということもすぐに理解できます。

フレスコという名称は、フレスコ画や「新鮮」という意味のイタリア語が語源ののように感じられるが、歴史的にはイギリス(ロンドン)のガニア商会が、アフリカのコートジボワールにあるギニア湾に面した”Fresco”という都市名を冠して、夏服地を売り出した時につけられた名称である。

生地の内容は、撚りを強くかけた単糸を2本ないし3本に撚り合わせた糸で、平織にすることによって気孔を多く持った織物となる。トロピカルに比べてより通気性が高いといえる。

日本ではポーラーという呼称の方が一般的であるが、同じものである。ポーラーもロンドンのエリソン商会が同様の生地を販売するときにつけた名称で、こちらはポーラス(多孔性の)という言葉にちなんでいる。以前は3本撚りして平織りにする、いわゆる三つ杢ポーラーが普通だったが、現在は2本撚りの強撚の平織もポーラーあるいはフレスコと呼んでいる。

メンズウエア素材の基礎知識(毛織物編) 大西基之著

そんなフレスコ程ハードになりすぎることもなく、夏スーツ初挑戦の方にもおすすめしやすい生地感。

裏地を省いた軽量な仕立てとも相性が良く、写真を見ていただくと風通しが良さそうなのが伝わるかと思います。

トロフェオ、エレクタ、トラベラーなど、比較的トロみの強いラグジュアリーな生地を得意としているゼニアですが、こういった機能的にも優れた生地も打ち出してくれるのは嬉しいところ。

<Ermenegildo Zegna> ”BIELMONTE”

ウール100%かと思いきや、実はシルクも一部ブレンドされており、無骨になりがちな生地感であってもかすかにエレガントさを残したゼニアらしい仕上がりです。

メランジのような絶妙な塩梅の色味も含め、生地だけで見た時よりも、完成品のスーツは想像を超える良い仕上がりとなりました。

お客様からのリクエストもございましたが、生地の特性を活かす上でも『軽量な仕立て』はベストな選択です。

ただし、副資材を極力省くということは、それだけ縫製の技術が必要になってきます。

形だけのアンコンジャケットではなく、しっかりと身体を包み込むような立体的な仕上げをイメージしてお仕立てさせていただきました。

仕立てのクオリティが低ければ、ペラペラした安っぽい仕上がりになってしまいます。

襟がついていて、前には2つか3つのボタンが付いていて、袖が2つ、更に袖に0~4つのボタンが付いていれば、いとも簡単に「ジャケット」と名乗ることが許される中で、素材が省かれれば省かれるほど、残るのは職人の技術の高さ。

「軽いのに、立体的でいい着心地だね!」と多くのお客様がこの仕立ての虜になっています。

黒蝶貝の貝ボタン、爽やかさを加速させてくれますね。

貝ボタンはホワイト、ブラック、ブラウンなどがございますが、ブラックが個人的には最もスーツに適していると思います。

ブラックとはいっても貝の特性上若干グレーっぽくもなりますので、優しい印象になりますね。

アウトポケットという選択肢も思い浮かびましたが、あくまでもビジネスメインで着用するスーツということもあってフラップポケットを採用。

お立場のあるお客様ですので、過度なカジュアル要素は省きましたが、生地の清涼感(軽やかさ)とデザインの誠実さがとても良いバランスになりましたね。

ブルーのトーン・オン・トーンの配色でコーディネートしてみました。

もちろんホワイトのシャツもいいですし、ブルーグレーという色味は意外といろんな色と合わせやすいのでお手持ちのネクタイやシャツで合わせて問題ありません。

ドライなタッチに最初はもしかしたら違和感があるかもしれませんが、慣れてくると夏には欠かせないスーツになることと思います。

末永くご愛用いただけますと幸いです。

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nakanomaruライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。

2024年4月23日
スーツを仕立てたお客様 | オーダースーツのお客様

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