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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

ボーブランメル 洗濯糊が紳士を作り、礼儀が淑女を作る

suit omotesando

雑誌の仕事がしたいんです。

ボットーネを卒業したS君はスタイリストとして活動している。

モデルを起用し、フォトグラファーとヘアメイクと一緒にカタログの仕事をする傍ら、早朝からクリーニング工房でプレスのアルバイトをし、いつかは雑誌の仕事を!と大きなトートバッグを持ってきた。

中には、メンズEX4冊分くらいの分厚いアルバムがあり、びっしり手がけた作品で埋まっていた。これでプレゼンテーションをするのだ、そんな日々を生きている。

昨夜そんなS君がクリーニング工房でのプレスを終え、我が家に遊びにきた。
《イギリスのお土産です》と、彼はフォトグラファーと回った英国&フランスでの仕事の話とお土産を持ってきた。

彼はすっかり痩せていた。日々の忙しさに加え、早朝から40度を超えるクリーニング工房でのプレスが原因のようだ。
ノリの効いたバリッとしたワイシャツは、彼らの仕事のお陰なのだ。


ところで、ノリといえば、昔のネクタイにはノリがついていたことをご存知だろうか?

ネクタイとクラバット

そして、ノリがついているが故に、結び直しがきかない。

朝の一発勝負、結び目に納得がいかなかったならもう1本、ノリつきのネクタイを出して巻かなければならない。

ノリをつけた人間は、ボー・ブランメルという人物だ。
ジョージ4世の学友でもあり、なかなかの洒落者であったブランメル。

その当時は街は艶やかで奇抜な服装であふれていた。
香水を振り、男性も化粧する。
だが香水もつけず化粧もしないシンプルなファッションを愛したのがブランメル。
彼は何度も何度もネクタイを巻きなおした。

1860年代、クラバット(現代で考えるならネクタイ)がもの凄く流行るんですね。
凝りに凝った結び方で。
ボー・ブランメルが、薄ノリをつけることを発明しました。

細長いスカーフに、ノリをつける。
そしたら思い通りの形になった。
そのかわりに、結び直しがききません。
ボー・ブランメルが朝支度するとき、結び違えたネクタイがそのあたりに落ちていた、というのはそういうこと。

銀座ファッションアカデミア 出石尚三 先生の講義

ブランメルはホワイトモスリンのしなやかなスカーフ状のアスコット・クラバットに、ノリを追加した。
これでふわっとしたエレガントなクラバットは、バリッと構築的になった。
結び方も増えた。

1860年の男性は現代以上に首元のオシャレにこだわったのだ。
もともとブランメルは平民で、家柄が良いわけではなかったようだ。
父は英国の首相ノース卿の秘書をしていて財を成し、ブランメルはロンドンにあるイートン中学に入る。そこでBeau Brummell(Beau=オシャレ・ダンディ)という名がついた。ジョージ4世とはオックスフォード大学で学友になった。

鼻に擦りつけて楽しむスナッフ(噛ぎタバコ)というものがあるが、スナッフボックスが流行った。
ブランメルはスナッフボックスのコレクションを所有していたようだ。
スナッフケースといっても高価なものもある。
ルビーを散りばめた、凝りに凝ったスナッフボックスなど、相当な金額で取引される。

そんなブランメル、名言も様々で、現代でも語り継がれている。

ブランメルの名言

 

人からおしゃれと思われているうちは、まだまだおしゃれではない。

道行く人々が振り返って君を見るならば、君の着こなしは間違いだ。

洗濯糊が紳士を作り、礼儀が淑女を作る。

ボー・ブランメルの言葉

 

 

ということで、ノリのきいたシャツを着て、納得ゆくまでネクタイを結び直して出社しようか。

さて、明日は何着よう?

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2017年9月21日
スーツの着こなし術 | ジェントルマンの知識
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