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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

春の装いを格上げする! スリーピーススーツの魅力とコーディネートのポイント

皆さん、こんにちは。松はじめです。

春の訪れとともに、入学式や卒業式、入社式など様々な式典が増える季節となりました。同時に、朝晩の寒暖差も大きくなるこの時期、一着あると重宝するのがスリーピーススーツです。

今回は、このベスト付きの三揃いスーツの魅力や、春におすすめする理由、そして着こなしのポイントについて詳しくお伝えしていきます。

この記事の目次

 

スリーピーススーツの魅力とメリット

温度調節が自在

春は天候が変わりやすく、日中と朝晩の気温差が激しい季節です。スリーピーススーツの最大の魅力は、この寒暖差に対応できる点にあります。

暑くなったらジャケットを脱ぎ、ベストだけの姿に。ベストは英国では「ウエストコート」と呼ばれ、「コートの一種」という位置づけです。つまり、シャツ一枚の状態(下着姿)にならずとも、エレガントな装いを保ったまま体温調節ができるのです。

威厳と品格を演出

ベストは胸元を引き締め、体型を整えてくれる効果があります。特に私のような細身の体型の方には、胸板に厚みを持たせ、凛々しい印象を与えてくれます。

実際、テレビドラマなどでも、上司役や威厳のある役柄を演じる俳優のスタイリングとして、スリーピーススーツはよく用いられています。

フォーマルシーンで活躍

ネイビーのスリーピーススーツであれば、各種式典に出席しても恥ずかしくない正装として通用します。春の式典シーズンには、一着持っていると大変重宝するでしょう。

春におすすめのスリーピース素材

春のスリーピーススーツには、ライトな素材感のものがおすすめです。私が今着ているのは、ドライタッチの平織り(バスケット織り)の生地です。

バスケット状に織られた生地は、空間が生まれて通気性が良く、耐久度も高いという特徴があります。春の季節には、こういったドライタッチで通気性の良い平織物が、季節感を出しながらもクラシカルな雰囲気を演出できるため、とても適しています。

ベスト着用のポイント

ボタンルール

ベストを着る際の基本ルールの一つが、一番下のボタンは外すということです。これには諸説ありますが、あるイギリスの皇太子がお腹が出てきたためにボタンを外していたところ、側近たちがそれに倣ったという逸話が残っています。

現在では国際的なスタンダードとなっており、ジャケットの一番下のボタンを留めないのと同様に、ベストの一番下のボタンも外すのが基本スタイルとなっています。

ベルトとの相性

スリーピーススーツを着るときに気をつけたいのがベルトの選択です。バックルが分厚かったり大きかったりすると、ベストを浮かせる原因になりますし、前から見たときに美しくありません。

特にピッタリサイズのオーダースーツの場合、このベルトのバックル部分が不格好に浮いてしまうことがあります。また、ブランドロゴが大きく入ったベルトを使うと、そのマークがベストからはみ出てしまい、全体の印象を損ねることにもなります。

おすすめの選択肢

スリーピーススーツには、次の選択肢がおすすめです:

  1. ベルトレスパンツ(サイドアジャスター付き):
    パンツの脇でベルトなしでも調整できるデザインで、クラシカルな印象を与えます。

  2. サスペンダー(ブレイシーズ):
    本来のクラシックスタイルでは、サスペンダーの方がフォーマルとされています。ベストで隠れるため見えませんが、正統派の装いとしておすすめです。

    個人的には、クリップ式よりもボタン留めタイプのサスペンダーをお勧めします。パンツの裏側にサスペンダーボタンを付けて使用するタイプは、ボタンとホールの間に多少の動きが生まれるので着やすく、よりクラシカルでエレガントな印象になります。

ジャケットのボタンは留めるべき?

スリーピーススーツを着用する際、ジャケットのボタンは留めるべきか開けるべきか迷う方も多いでしょう。結論から言えば、どちらも問題ありません。

しかし個人的には、ベストを着用している場合、ジャケットのボタンは開けておく方が良いと考えています。ベストがあれば、ジャケットのボタンを開けても失礼にはならないというルールがあります。

また、シルエット的にも開けた方が美しく見えることが多いです。特にオーダースーツで体にピッタリフィットしている場合、ベストの上からジャケットのボタンを留めると、ベストの分だけ引きつれが生じることもあるため、開けておく方が無難です。

ベストのサイズ感

ベストのサイズ感で最も重要なのは、縦の長さです。これはパンツの股上によって調整する必要があります。

股上が深いクラシカルなパンツの場合は、ベストを比較的短くしても、シャツが見えることはありません。ベストが短いと相対的に足が長く見える効果も得られます。

一方、股上の浅いローライズパンツを履く場合は、シャツが見えないようにベストを長くする必要があります。ベストの下端がベルトをちょうど隠すくらいの長さが理想的です。この長さが合っていないと、ベルトが丸見えになったり、シャツがはみ出したりして、だらしない印象になってしまいます。

また、幅も重要です。きつすぎると座ったときに引きつれが出てしまいますし、緩すぎると美しくありません。立った時にネクタイを適度に抑える程度のタイト感が理想です。

興味深いことに、ジャケット、パンツ、ベストの中で、仕立て屋が最も難しいと言うのがベストなのです。体に近い位置にあるため、サイズ感が非常に重要になります。また、ベストは後からのサイズ直しが難しいアイテムでもあります。ジャケットやパンツと違い、縫い代がほとんどないため、大きくしたい場合は背中側の生地を取り替えるほどの大掛かりな作業が必要になります。

襟付きベストという選択肢

ベストには襟のないタイプと襟付きのタイプがありますが、私は襟付きのベストが好きで、ほとんどのベストを襟付きで持っています。

ベストの起源を考えると、もともとはアウターとしても使えるコートだったという背景があります。そう考えると、襟があるのが本来のスタンダードだったとも言えるでしょう。

スーツと同じようなノッチドラペルの襟や、ダブルブレストでショールカラーの襟など、様々なデザインがあります。市販ではなかなか見つからない場合も多いので、オーダーで作るのも一つの選択肢です。

スリーピーススーツの発注と管理のポイント

一括発注のメリット

ベスト単体で追加するよりも、最初からスリーピースとして一緒に注文した方が、生地の使用量が効率的になるため、若干お得になることが多いです。

また、後からベストを追加しようとすると、生地のロットが変わって微妙に色や風合いが異なることがあります。特に海外からの生地の場合、日本人の感覚からすると「全然違う色」と感じるようなずれが生じることもあります。

クリーニングと手入れ

スリーピースは、たとえベストをあまり着用しない場合でも、クリーニングに出す際はセットで出した方が風合いのブレが少なくなります。

パンツばかり履くことで消耗してしまう場合は、同じ生地でスペアパンツを作っておくのも良い方法です。

まとめ

スリーピーススーツは、元々は正装として常に着用するものでしたが、時代とともに軽装化が進んできました。しかし「ここぞ」というときに、きちんとした装いができることは、決してマイナスにはなりません。

春の式典シーズンや寒暖差の激しい時期には、スリーピーススーツの着こなしをマスターして、エレガントな装いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

皆さんはスリーピーススーツをお持ちですか?どんなベストをお持ちでしょうか?

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2025年4月30日
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