履いて履きやすく、見て美しく
みなさんこんにちは。
先日のブログでは、革靴ができるまでの過程をご紹介しました。
海外の人も「クレイジーだ!」と驚く生産ライン、
人の手が加えられ、心を込めて一足一足作られていく流れを
この目で見ることができました。
本日のブログでは、革靴の製作に入る前段。
革の種類やデザイン、様々な用途に合わせた仕様、
そして採寸・フィッティングまでの流れをお話させていただきます。
この記事の目次
足の悩みは人それぞれ
皆さんは自分の足の形をどれだけ知っていますか?
私は普段、26~27cmの靴を履いていて
小指が外に張っていて、右足の甲が高い。
学生時代にサッカーをしてたのですが、
小指が出っ張っているんのでいつもそこから破けていきます。
革靴を履くようになってからは、
靴紐をぎゅっと縛ると右足だけ甲がめちゃくちゃ痛くなります。
(今は靴紐の力加減を調整して履いています)
デザイン的には大好きなローファーも
足の甲がせりあがっているので、気持ちよく履けません。
皆さんはどうでしょうか?
ここまで具体的ではなくても、
「横幅は広い方だと思う」
「小さくてバランスが悪いから大き目のサイズを履いてる」
「そもそもどういう感覚が”サイズが合っている”なのか分からない」
こんな風に、具体的でなくとも、
なんとなく気になるところがあるのではないでしょうか?
これらの悩みを解決する一つの手段が
オーダーシューズであることは言うまでもありません。
縦・横のサイズを計測して、各サイズB~4E, Fまで横幅展開があり、
そこから更に小指や親指、甲など部分的に広げることができます。
更には、かかとやベロ部分にクッションを入れたり、
中敷きを工夫したりと、あらゆることが可能です。
この辺りは別項で詳しく解説したいと思います。
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豊富なデザインと革の種類
『オーダーシューズ』ですから、もちろんお客様一人一人の
お好みや用途に合わせて革やデザインを選んでいただけます。
キップ/スエード/ヌバック/パテント/パティーヌ
コードバン(時期により)/クロコダイル/オイルレザー
などなど、革の種類はざっとこんな感じ。
ビジネス用からプライベート用、雨用、フォーマル用…
様々なニーズにお応えできるラインナップになっています。
最初はキップの黒や茶、スエードなどがお勧めですが、
コンビネーションにしたりと自由度も高いです。
デザインの方も、例えば上の写真は
革靴の代表的なデザインのひとつである「フル・ブローグ」。
その隣にはよりスマートな穴飾りが施されたモデルも。
もちろん定番のデザインはいくつか決まっていますが、
パーフォレーション(切り替え部分の穴飾り)は自由に選択でき、
メダリオン(先端の穴飾り)はイニシャル風に加工したり、
元々はなかったデザインに追加で装飾したりと、
比較的自由度の高いデザインで作ることもできます。
とはいえ「なんでも自由にできますよ!」では選びにくい思いますので、
ボットーネのおすすめデザインなどからまずはご提案させていただきます。
こんなカジュアル仕様の革靴も対応しています。
アメリカントラッドが好きな方には、ホワイトの革に
レンガソールを合わせた「ホワイトバックス」もおすすめ。
スエードやヌバックの素材なら、さらに”らしさ”があります。
弊社代表の松が愛用しているサドルシューズも、
カジュアルなセットアップなどに合わせられます。
こういった玄人好みのシューズは所有欲が満たされますね。
その他のディテールを見ていくと・・・
ベロの裏側にクッションを入れることで
痛みを和らげ履き心地をUPさせたり、
まるでスニーカーのような履き心地を実現できる
独自開発の特殊なソールも選択できます。
これは履いてみて驚きました。
めちゃくちゃ軽くて、
確かに見た目は普通の革靴と変わらない。
革靴好きな人にとっては邪道と思われるかもしれませんが、
実際に仕事で外を歩き回る人や、
足に痛みがある人にとっては重要なのは見た目だけではありません。
昔ながらのソールにはその良さがあり、
新しいものにも良さがちゃんとある。
それぞれの良さを知った上で、
自分に合った選択ができるのが理想だと思います。
山形大学と共同で開発されたという独自のソールは、
細長い突起の部分にセラミックが使われており、
一般的なタフソール(ゴムのソール)よりも
さらに滑りにくくなっています。
一般的なタフソールはこちらです。
色々なメーカーの革靴で見かけますよね。
ベーシックなソールは天然物ならではの良さがありますが、
外歩きの多い営業マンの方にとっては耐久性に不安があります。
タフソールなら足さばきも軽くなり、
雨の日も、百貨店のツルツルした床でも滑りにくく、
非常に使い勝手が良くなります。
他にも色々ありますが、
あまりに多く書ききれませんのでこの辺で。
続いては採寸・フィッティングの
ポイントを解説していきます。
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採寸のポイントは?
まずは、写真のように縦・横それぞれを計測。
意外と皆さん左右差があってびっくりすると思います。
最新技術では足を通しただけでサイズが測れたりしますが、
ここは妥協せず自分の手で行いたいところ。
スーツづくりにおいても、
テーラーが機械で採寸するなんて絶対に嫌ですよね笑
続いてはゲージ靴(サイズサンプル)を履いていきます。
計測した値に合わせて、
まずは数値上しっくりくるものを。
今回は【25.5cm/3E】でした。
ここでチェックすべきところは、靴紐の部分です。
羽根の間が2.0cm近く開いていますよね?
これは「少しきついかな?」というサインのひとつとなり、
『25』のところにシワが出ていることも足の甲が高いからです。
「次は横幅を広げた【25.5cm/4E】を・・・」
という風にいくつかのサイズサンプルを履いていただきます。
お客様ご自身でも立って歩いていただいたりして、
【踵がスポスポ抜けるような感覚がないか?】
【窮屈に感じるところはないか?】
などをひとつひとつ確認していきます。
「小指が当たるなぁ…」という時は小指側に「のせ甲」をして、
全体のサイズは変えずに部分的に広げることも可能です。
木型にこうして部分的に貼ることで、
最初から小指側が少し膨らんだ状態で作り始めます。
甲が高い人には、こういう感じに。
まとめると、
①縦【22.0~30.0cm】横【B~F】までサイズ展開
②さらに部分的に【のせ甲】をして細部を調整
こうして自分にベストなサイズ感を探していきます。
スーツの場合は「おまかせで!」という要望にもお応えできますが、
靴の場合は必ずお客様の感覚も含めて探っていかなければなりません。
そういう意味ではお客様も一緒に靴をつくっているような感覚となり、
過程も含めて参加型で楽しんでいただけると思います。
さらに、足が小さい人に多いのですが、
「本当は25㎝くらいを履きたいけど、さすがに大きくて履けない…。」
という悩みも解決することができます。
すべてがこちらかの目線で進めていくわけではありませんから、
25.0cmの靴を履くには、横幅や仕様をどうすればいいか?
というアプローチでフィッティングしていけばいいんです。
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いい革靴とは何か?
履いて履きやすく、見て美しい靴。
いい靴とは何か?に対する私たちの答えです。
お客様目線でも、私たち目線でも、見て美しい靴であること。
そして体感として履き心地が優れていること。
シンプルですが、これがすべて。
どちらかが欠けてもいけません。
それを実現するひとつの手段がオーダーシューズです。
自分の理想と、実際の履き心地を様々な角度から見ていき、
あなたに最適なオーダーシューズをお届けします。
◉革靴が足に合わなくて悩んでいる
◉足が大きい/小さい、幅が広い/狭い
◉そんなに気にしてなくで、適当に履いている
そんな方は、是非オーダーシューズを試してみてください。
きっとあなたの足取りも、心も、軽くなりますよ!
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2022年12月23日
ファッションアイテム | 靴
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