イギリスのEU離脱(ブレグジット)はファッション業界や消費者にどんな影響を与えるのか?
■EU離脱 英国では?
実際英国内でも、本当に半々、意見真っ二つのようですね。ビジネスの利害もあるし、複雑のようです。北アイルランド国境問題もあるし。
あと、英国生地といっても製造過程でイタリアと関わる生地も少なくないので、ブレグジットで関税かかれば値段は多少なり上っていくはず。
— 松 はじめ|メンズファッションTV (@matsu_hajime) November 1, 2019
松はじめです。
対岸の火事のように思われるかもしれませんが、ブレグジット(英国のEU離脱)は、これからどんな影響が及ぶか?未知数です。
英国は、生地の織元も少なくないですし、マーチャント(商社)の中にはイタリアに発注をかけることもあります。
これまではEU間は関税がかかりませんでしたが、英国がEUから離脱すれば、関税がかかりますから、多少なり価格は変わってきますよね。
ですが、その程度のことではないんですね。
私なりにこのEU離脱について考えてみました。
ブレグジット
ブレグジット、と聞きますよね。
これは、Britain(イギリス)と、Exit(出口)をかけあわせた造語です。
どうして離脱する動きになったのでしょう?
これには色々な議論があると思います。
移民問題もありますが、
もともとは日が沈まない国はない(多くの植民地を持っているからそのように呼ばれた)大英帝国。
EUに所属しているということは、イギリス独自のコントロールができないわけです。
とはいえ第二次世界対戦で経済も疲弊して、以降は景気が良いとはいえない。
そこでEUに加盟したわけですが、今回いよいよ迫ってきたEU離脱、ブレグジットでファッション関係にはどんな打撃が考えられるのでしょう?
移民問題
そもそも移民問題が発端となったとも言われますが、国民投票の結果、EU離脱が過半数を超えたということは、問題視する感情が渦巻いていたということですね。
実際にこのEUを離脱することに賛成!そうだそうだ!という国民投票の結果を経て、移民は減りました。イギリスには、ポーランド、ルーマニアなどのEU圏内からの移民の数が年内増えていたのですが、それが3分の1となったといいます。
しかし、ヨーロッパ全土からお針子さんを腕のたつお針子さんたちが働きに来ているロンドンのデザイナーは、全員のビザを取得しなければ事業存続の危機となってしまいます。イギリス人がやらない仕事を移民は支えていたともいえますが、これはアメリカのトランプ政権が掲げ実行している政策にも同じことがいえますよね。
イギリスとフランスの大きな壁
私がメディアの仕事をしていて、ファッションフォトを撮影したい!と思ったとします。
日本風にいえば、神戸のデザイナーから洋服を借りるとします。
今までクロネコヤマトの送り状を書いて貼り付けて、出荷さえしてもらえば、よほどのことがない限り翌日には到着していました。
ところが、ある日を境にこれが輸出という扱いになってしまうわけです。
税関を通過するのを待って、3日くらいして洋服が届きました、送料は800円だったのが8,000円!?
アレキサンダー・マックイーンも、ポールスミスも、パリでショーをするのもこれまでのようにはいかないでしょう。
ファッション関係者への影響が小さくないのがブレグジットです。
私たちは注文服を作っています。
素材は、イギリスやイタリアで織られたもの。
これをシーズンで購入したり、取り寄せることも少なくないわけです。
イギリスには自社で織っているいくつかの織元があります。
また、企画をして、EU各国と連携して、織ってもらっている商社もあります。
簡単にいうと、織ってもらうことに対しては関税がかかるようになります。
さらにいえば、例えば生地もそうですが英国高級靴。
素材を全部イギリスで調達していれば問題はないわけです。
ですが、EUから取り寄せている物も少なくないため、これらを全て輸入することになるのです。
つまり、ポンド円の関係は別として、英国物が値上がりする可能性は小さくないといえます。
北アイルランド国境問題
最大の問題は、北アイルランド国境問題だとよくいわれます。
どういうことかというと、まずイギリスは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国から成る連合王国なのです。
基本的にイギリスは日本と同じく島国。
唯一繋がっている国があります。
それが北アイルランド。
北アイルランドがイギリス領で、アイルランド共和国と地続きです。
住んでいる人も、通勤や買い物で自由に行き来しています。
ところがイギリスがEUから離脱して、北アイルランドはEUに残るわけです。
どうしてそれが問題なのかというと、この国境は紛争が絶えなかった土地なのです。
それが、EUに加盟して貿易もするようになって、共通のルールもできて、収まっていました。
なのに、イギリスがEUを離脱したら?
ちなみに日本人の感覚では理解しづらいかもしれませんが、紛争の根底にあるのは宗教の違いです。
北アイルランドはカトリックで、他はプロテスタント。
ここの調整で、メイ前首相も合意が取れず、最終的には辞任したのです。
さて、アイルランドにはたくさんの素敵な生地があります。
例えば、ドニゴール・ツイードという名前は聞いたことがありませんか?
これはドニゴール州の伝統的な生地。
厳しい寒さの中で生きる羊の、太い原毛は自然豊かな土地で紡がれてきました。
こうした文化が消滅してしまう可能性もなくはありません。
まとめ
イギリスのEU離脱は、対岸の火事ではなく、様々な影響が考えられます。
特にファッション業界をはじめ、消費財にも少なからず影響が出てきそうです。
実際に英国の方に聞くと、世論も半々で、どうなるか余談を許さない状況と。
とはいえ、ボリス・ジョンソン首相は、以前、離脱期限を10
総選挙を経て、いよいよEU離脱となるのでしょうか?
目が離せないところです。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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