冬に着るとおかしなスーツ?スーツ選びは織りに注意

スーツを選ぶということは、一緒に素材も選んでいるわけだ。
素材にはウールとか、モヘアとか、カシミアといった、どの動物の毛か?
紺かグレーかという色、無地かストライプかチェックかという柄などがある。
だが、忘れてはいけないのが、織り方なのだ。
ウールにも、冬に着るとおかしな織り方がある
どちらかといえば通年向きの印象な綾織
秋冬に多い、2/2の綾織り
通年スーツ向きの2/1の綾
2/1の綾といえば、サンクロス
バスケット状に交差しただけの基本形が平織り
平織りにもいろいろある
耐久度やシーンも考えて織りを選ぶ

モヘアというのはアンゴラ山羊の毛で、通気性も良くさらっとしているため、
これは春夏のスーツに多く、冬に着ると少し寒々しい印象になるし、
カシミアというとコートをイメージするが、ウールとカシミアが混ざったスーツがあり、
これは秋冬向きスーツだな、というのは触っても着ても何となくわかるだろう。
しかしこれがウールになると、何となく通年着ることができるのでは?と思うのだが、
実は、ウールに限ったことではないが、いろいろな織り方があり、
これによって季節感も変わるのだ。

綾織り(あやおり)、別名ツイル(ツイルウィーブ)とも呼ばれる織り方。
斜めのスジが見えるのが特徴だ。
・・・もっといえば、この角度によってサージ・サキソニー・ギャバジンなどいろいろなものがある。
この綾織りにも種類があり、
まず、経糸(たていと)や緯糸(よこいと)が、何本上に出て、何本潜っているか?によって種類が変わる。
秋冬に多いのが、2/2の綾という名称の綾織りで、業界ではニイ・ニイの綾、と呼ばれる。
例えば緯糸が、2本上に出て、次に2本潜る、そうしてまた2本上に出る、というように、
とてもバランスの良い基本形の綾織りだ。
しかもなんと、経糸の密度を変えると、綾目の角度が変化するのだ。
だいたい45度の綾を、サージ及びサキソニー、
それにギャバジンとか、カルゼというとても急な角度のものもある。

その昔に比べて冷暖房が整った今、
オールシーズン着ることができる!というキャッチコピーでスーツが売られていることがある。
オーダースーツも、ある程度3シーズンかオールシーズンをカバーしたい、という要望もある。
本来は春、夏、秋、冬とそれぞれスーツを分けることができたならベストなのだが。
2/1の綾(業界ではニイ・イチの綾という)というのは、経糸が2本上に出て、1本潜るのを繰り返している。
こうすると面白いことに、緯糸は表に1本しか出てこないのだが、裏には2本出ている。
だから、表と裏とで色が違うのだ。
2/1の綾ではないのだが、紺色デニムの裾をめくると白いのも同じ理由だ。

サンクロスという言葉を聞いたことはあるだろうか?
これは、表と裏とで色が違う性質を利用して、角度によって色が変わってみえるようにしている。
サンクロスを直訳すると太陽の生地、となるのだが、
この生地は玉虫色に見え、こういった生地をサンクロス(イタリアではソラーロ)という。

表と裏でこんなにも色が違うという、2/1の綾のわかりやすい例だ。
2/1の綾は、平織りの軽さと、綾織りの多彩な表情。
この、経糸が2本出て、1本潜る2/1の綾が、
ここ数年特にスーツに使用されている。
そしてこの後説明する平織り(ひらおり)のような軽さがあるのだが、
さて、その平織りというのは・・・

平織りは、1本の糸が、1本の糸と交差して出来上がる、
綾織りに比べてシンプルな織り方だ。
平織り(プレインウィーブ)は、1本1本の糸がしっかり絡み合い、
綾織りよりも耐久性が高い。
とても単純な構成だからスリップしづらいし、非常にメリットがある。
なのだが、これは、春夏に向いている節があるのだ。
夏スーツ、薄手シャツに多い平織り。
まず単純に1本ずつ交差するため、
通気性が良い。
トロピカルという言葉を聞いたことはあるだろうか?
トロピカルウール、ポーラー、
シャツだとブロード、ボイルなどが平織りの代表だ。
つまり、平織りは冬スーツとしては選ばない方が無難だ。

単純に1本ずつ織る平織りに、どうやったらバリエーションを増やせるのか、と考えてしまいそうだが、
実はバリエーションがある。
2本1セットの糸が、2本1セットの糸を飛び越えて交差する織り方だ。
2本1セットの束にした糸同士が交差した平織りを、斜子(ななこ)・マット(マットウィーブ)と呼ぶ。

オーックスフォードとシャツ地で耳にしたことはないだろうか?
これが斜子(マット)だ。
ということで、冬は平織りスーツよりは、綾織りスーツがオススメである。
織りは良く見ればわかるから、しっかり目視で確認するか、
店員に尋ねてみれば良い。
耐久度やシーンも考えながら織りを選べば間違いないだろう。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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