有名人を撮るカメラマン 菖蒲 タケルさんに南青山のスタジオで写真を撮ってもらった
あれは2週間前だ。友人から、
今度この人に写真撮って貰うけど、一緒にどう?
とメッセージがきた。
著名な方の写真も撮影している、
南青山に事務所を構える、菖蒲 タケルさんという方だ。
必要な時に必要なメッセージが来たような気がして、
スケジューラーを確認したら、ちょうどスケジュールも問題ない。
「ぜひ!」と、文字通り二言返事で返信をした。
今日、その当日がやってきた、プロフィール写真を撮ってもらうため、
スリーピースのスーツと、ジャケットをガーメントケースに入れ、
シャツはクレリックのシャツと、ストライプと無地のシャツを持った。
表参道サロンを出ると、むわっと暑さで包まれて、
両手いっぱいの衣類を持って、汗だくで美容室へ歩いた。
髪を切ってもらった後、呼んでいたタクシーに乗った、
南青山だからご近所だ。
ランボルギーニのあるビルの向かいで降りて、
その脇の路地を10mくらい歩く、ボストンバッグとガーメントケースをかかえ、
駐車場の横にある菖蒲タケルさんの事務所に到着した。
一見すると普通のマンションだ、
だから、一層胸が高鳴った。
ピンポーン、
インターフォンを鳴らす、
5秒後にガチャっとドアが開く。
「あぁ、ごめんなさい、今はけますから」
大柄なブラックスーツの男性はそう言った。
あぁ、この人はクライアントなのだ。
するとその奧から、真っ白な歯を満遍なく見せた笑顔の、
菖蒲タケルさんが出てきた。
ご挨拶をして、紹介者のIさんとはこういう関係なんですよ、というような話をした。
菖蒲タケルさんは、ふんふんと頷きながらも、
早くも人柄を見抜いて、どういうアングルでどういうところを撮れば、
この人が生きる写真を撮れる、と考えながら話しているようだった。
ちょうど大柄なブラックスーツの男性も着替え終わり、
「良い鞄ですねぇ」と菖蒲さんが言った。
「この鞄だけで車、買えますよ。無駄に高い(笑)」と大柄なブラックスーツの男性が言い、上品に笑った。
ベルルッティだ。
大柄なブラックスーツの男性は、容姿は日本人だったがドバイに住んでいるらしく、
確かにどこかしらそちらの空気を感じた。
大柄なブラックスーツの男性が出てドアが閉まった後、30秒くらいして、
わざわざ戻ってきて、
「せっかくだから」と名刺をいただいた。とっさに私も名刺を渡した。
「さて、どんな風にいきましょう」
あぁ、なるほど、どうやら紹介してくれたI氏はこの後、時間をずらしていたようだ、
ということはマンツーマン!?
こうして撮影は始まった。
屋外で、周辺の公園で緑をバックに優しい雰囲気を出すこともあれば、
都会の真ん中、ビルを背景にし、キャリアを表現することもあるらしい。
今日は屋内で、白い背景をベースにしたが、
ちょっと黄色くぼんやりとした背景もどうですか?と提案をいただいたので、
ぜひ、と言った。
スリーピースのスーツに着替えると、
じゃあ、まずはこういうポーズでいってみましょうか、と腕を組んだ仕草をしたので、
そのように立った。
はい、じゃあ、笑顔!!
カシャっという刻みの良いシャッター音が、
等間隔で続いた。
私も持っているキャノンの5D markⅢは、
私のよりもなんだか随分とイキイキしているようだった。
あ、いいですね~よし!もっと笑顔でっ!
カシャッ
と、終始笑顔の撮影だ。
「やっぱり笑顔が一番ですよ、僕はね、そう思う。
アーティストとか、そういう人だったら違う場合もあるけど、
ビジネスなら、笑顔が一番、歯を見せて笑顔ですよ」
へぇ、と思った。
撮影中、菖蒲さんはずっと笑顔で、
カメラの脇からは出会った時に見えた、あの真っ白な歯がくっきり見える。
それを見ると、こちらもニッコリとしてしまう。
菖蒲タケルさんの秘密は笑顔だ。
デジタルな時代だから、
スマートフォンで撮影したデータは、即時にメールで届く、
そういうのと違う、完成までのドキドキ感がある。
24枚撮りのフィルムをいっぱいに撮影して、
カメラ屋さんに持っていった、幼少期みたいだ。
待ち遠しい。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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