エリートが姿勢正しい理由!スーツスタイルをよく見せる秘訣
以前プロ野球で活躍している方のフロックコートを仕立てさせてもらったことがある。
ところで、姿勢といえば、乗馬。そして乗馬と密接に関わっているのがスーツとはご存知だろうか?
馬と服。
例えばフォーマルの服として先ほど登場したフロックコート、それにモーニングコート、テイルコート(燕尾服)などがあるけれど、そういった服はもともとを辿れば乗馬に関係して色々な形やディテールが出来上がっている。
紳士の服は全て理論・理屈で成り立っている。
どこを取っても機能や意味を持っている、だから面白いのだ。
そのなかで切っても切れない馬と服。
出石尚三先生によれば、貴族が子供を馬に乗せるのは、姿勢の矯正という目的もあるのだそうだ。
・・・
どうしてかというと、姿勢が良くなるんです。
馬ってもの凄く賢いんです、人を読むんです。
こいつ、俺に怯えてるな?と思うとふるい落とすんです。
俺はお前の主人だよ!って乗らないと、バカにされる。
神経質で、人の心を読むんです。
例えば、馬に人参食べさせるって(表現)のは、私はあなたに愛情もってるよってことを示す。
だから、威張って乗らないと。
正々堂々と乗る、その方がタズナをひきやすい。だから姿勢正しい。
講義:銀座ファッションアカデミアより出石尚三先生
現代であれば自動車に乗ってどこかに行く文化がある。
男の憧れ、スポーツカーに乗っている方もいるのではないだろうか?
かくなる私は最初に買った車はフォルクスワーゲンのゴルフという車だ。
アルバイトして貯めたお金で、中古ではあるが現金で買った。
ブルルルル、来た!
待ちに待った納車の日、営業の男性は私の家にワーゲンを持ってきた。
これだーー、Wの重なったワーゲンのマークは銀色なのに金色にキラめいてる。
あと7日、あと6日、あと5日、、、この車が届いた時の興奮といったらもうそれは有頂天で、早速友達を乗せて富山から長野へドライブした。
翌日も、翌々日も楽しくて走り続けて、学生ながら気がつくとガソリン代が5万円かかっていたことに気がつき青ざめる。しまった、、5万円あればギャルソン買えたのに、と友人に言ったら、服かよ!と突っ込まれた。
ある日のこと、富山の中心部に近い位置にある小高い山、呉羽山(くれはやま)の下り坂を降りて、ぐりっと鋭角に曲がる右から大通りに出たら、ガンッと強い衝撃が襲った。
はっ!
一体何事か?と思ったら、人生初の追突事故だ。
幸いにも大通りは渋滞していて、ゆっくり20キロくらいで走ってきたセダンとぶつかったのだが、大好きな愛車が修理になってしまった上、交通事故の恐ろしさを知った。
何年かして、スポーツカーに乗った。
リトラライトのスープラというトヨタのスポーツカーで、アクセルを踏み込むとグッと背中にGがかかる。雪道に弱いFR車だけど、雪道でドリフトして遊んだ。こうして愛車はユーノス・ロードスターという2人乗りオープンカーに変わって、やっぱり雪道でドリフトしてクルクルと遊んだ。
やはりスポーツカーは良い。
そんなスポーツカーがない時代となると何があるかといえば、馬である。
移動手段として優れているのは馬。
歩くより馬だ。
フランスでは馬は馬でも馬車に乗る。パカパカと馬を走らせ、車内でくつろぐことができる。
けれどイギリスではそういうこともあったけれど、自分自身で馬に乗る、いわゆる乗馬がカッコよかった。
朝食を食べて、よし、ちょっと城の周辺を一周息子と回ってくるか、と。
乗馬は結構な運動量だし、前述のように姿勢もよくなり、また生き物を愛する気持ちを養ってくれる、まさに一石三鳥なのだ。
・・・
エリートは(先生、前屈みになって)こういう格好はしませんよ。
スーツが似合うためには背筋を伸ばしなさい。
お酒の飲み方もそうなんです。
日本もヨーロッパも、お酒側に口に持ってく。これは下品です。
(お酒・コップを)体に持ってく。
要は、馬に乗るってことは姿勢が良くなる、
姿勢が良くなるってことは背筋が伸びる、
なんでイギリス人が乗馬乗馬って言うか、1つはそこです。
スーつも元を正すと乗馬服なんです。
講義:銀座ファッションアカデミアより出石尚三先生
そのようなわけで、乗馬という文化・ライフスタイルと男性の洋服、スーツは結びついている。
例えば腰ポケットが斜めになったディテールがある。
これはスラントポケットと呼ぶのだが、この方が美しいからこうなっているのではなく、乗馬をしていて前屈姿勢になった時にポケットを使用しやすいようにしたデザインなのだ。
また、内閣の組閣や校長先生、結婚式でお父さんが着るというイメージがあるかもしれないがモーニングコート。
モーニングは裾が前から後ろに流れるようになっている。
これもやはり乗馬の時に馬に跨りやすいし、降りやすい、乗馬用に進化した形なのだ。
もう一つ、モーニングには背中に2つのボタンがついている。
これも乗馬に関係しているのだ。
この話はまたいつか。
乗馬という文化と、服は結びついている。
そして馬に乗り、姿勢正しくあるべきというライフスタイルとそれに基づいた服のコンセンサス。
ということで服と自分が綺麗に見えるように、姿勢に気をつけようか。
明日は何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年9月19日
スーツの着こなし術 | ジェントルマンの知識
タグ:スーツ, 服飾史, スタイル, 知識, 着こなし
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