スーツをクリーニングに出す時の注意!ドライクリーニングが臭う?
松はじめです。
みなさんはスーツやジャケット、クリーニングはどのくらいの頻度で、どんなクリーニングに出していますか?
この時期は夏服をクリーニングに出す方も多いでしょうか。
「頻繁にクリーニングに出して、清潔感を保っているよ!」
そう思っていらっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ドライクリーニングではありませんか?
実は、洋服にとってリスクもあるのです。
3分でわかるように解説します。
結論 ドライクリーニングでは汗が落ちにくい
ドライクリーニングとは、石油系溶剤を使用して汚れを落とすクリーニングです。
実は、汗などの水溶性の汚れが落ちにくいことをご存知でしたか?
汗の成分が衣類に残ると・・・
生地が変色してしまうリスクがあります。
それに、臭い。
臭いの発生の原因となるのです。
そして、汗が残るということは・・素材を傷めてしまう。
クリーニングに出してもどことなく「さっぱり感」がないのは、汗は落とせていないからなんです。
日頃のケアと水洗い
少し極論かもしれませんが、薬品で汚れを落とすわけです。
生地にとって、負担がかかるのは言うまでもありません。
シミ抜きだって、やり過ぎれば生地が破れることも。
ですから、これは私の場合ですがシーズン1回程度しかクリーニングには出しません。
もっといえば、普段ブラッシングをして、蒸気でケア。
こういう日々のメンテナンスでも洋服の状態は違うものです。
そうしてドライクリーニングならば、シーズン1回出すかどうか。
また、水洗いも併用して行なってくれるナチュラルクリーンというお店があります。
こちらは腕利きのプレスマンが揃っており、安心して任せられます。
実際に見学・取材したことがありますが、こういう会社なら、頻度を上げてスーツやジャケットのクリーニングをして良いと思います。
新宿伊勢丹のメンズ館にも店舗があり、大切なスーツなら一度預けてみることをおすすめします。
(金額は一般的なクリーニング店より高価ですが・・)
高価とはいえ、5回ドライクリーニングに出すくらいなら、一回の水洗いの方が効果は絶大です。
ドライクリーニングの溶剤は汚れたままの場合も
もう一つ、ドライクリーニングの管理はお店によって様々。
このことは先ほどお話しした、実際に千葉県君津市にある、高級クリーニング工房 ナチュラルクリーンへ取材してわかったのですが、
蒸留機を使って毎日、溶剤をきれいにしているクリーニング店もあれば、
汚れた溶剤を使い続けている店もあるのだとか。
そうなのです、溶剤管理の状態はお店によって様々。
じゃあ、汚れた溶剤で洗うと?
溶剤の汚れが衣類に付着する・・
再汚染が起こる!というのです。
この再汚染で付いた汚れや臭いは、なかなか取ることができないのです。
ドライクリーニングは何のため?
そもそも、ドライクリーニングというのは今から約100年くらい前に日本に入ってきました。
ご存知、白洋舎が日本に持ち込んだそうです。
型崩れを起こさずに、洋服を洗うことができる。
仕上げもやりやすい。
とても低コストでクリーニングができる!
そんなわけでドライクリーニングは一気に広まりました。
それ以前はどうやって洗っていたのでしょうか?
もともとは仕立屋が洗ってプレスした
もともと、スーツやジャケットのクリーニングというと、仕立屋が水で洗っていたといいます。
どうしてかというと、スーツを仕立てる仕立屋は、水で洗ってくちゃくちゃになった服を復元できるのです。
写真は、私のジャケットを自分で水洗いしてみた状態です。
このジャケットは芯などを省いた軽い仕立てです。
が・・ご覧のようにもうくちゃくちゃ。
これを復元させるのはなかなか骨が折れました。
さらに、かなり縮みました。
そもそも、完成している服の状態からプレスしなければならないということも大変です。
それに縮んでいる状態から、復元させる。
裏地も結構厄介です。
スーツの裏地はキュプラという化学繊維が多いのです。
表と同様に、裏も洗いたての段階ではくちゃくちゃになってしまいます。
中の芯地も水を吸って膨らんだり、折れ曲がったりしていますから・・・。
それを修正しながら裏側からバキュームで引きながら小刻みに叩くようにプレスしていかなければなりません。
シワを伸ばしただけだと、モワ~っと、風船みたいにキュプラの裏地が膨らんでしまいまして、まとまりなくキセも取れなくなるのだと聞きましたよ。
ナチュラルクリーン でも、
「裏地はすごく時間がかかる、1時間で4枚しかできません、4枚ですよ! 商売と言うより・・・好きじゃないとできないんですよ。」
とおっしゃっていましたね。
昔の仕立屋は、洗いあがったスーツを、プレスしました。
お客さんの洋服のくせ取りをまた一からやり直したのでしょう。
何時間もかけて・・。
実際、取材させていただいたナチュラルクリーンでは水洗いも行なっていて、ジャケット1着プレスして修復するのに3時間以上かかると言っていました。
ドライクリーニングの登場
そこに、ドライクリーニングが登場したわけです。
水につけないので、型崩れしません。
もともと水で洗っていた服。
いつしか仕上げやすいために、ドライクリーニングが主流となっていきました。
水洗いするのは簡単ではありません。
(が、スーツにとっては本来の姿なのかもしれませんね。)
とはいえドライクリーニングが主流の100年の間に、洋服はどんどん繊細になりました。
昔のようなスーパー40くらいの、英国羊毛でハリコシのあるスーツがメインではなくて、
スーパー200などの細い繊維で作られた生地の服も珍しくありません。
以前と同じ水洗いでは、洗う前の状態に復元ができない。
水の開発から洗いや乾燥の方法、仕上げでのマシンプレスとハンドプレスの融合など、あらゆる面で今の衣類に適した技術の開発が必要だ!
と、ナチュラルクリーンの代表がおっしゃっていました。
まとめ ドライクリーニング
ドライクリーニングは、全ての汚れが落ちているわけではありません。
汗など、水溶性の汚れは落ちにくいのです。
また溶剤の管理も、必ず全ての会社が綺麗に保っている、とも言い難いようです。
汚れた溶剤で洗われると、再汚染につながって、臭いが取れづらくなります。
またあくまでも溶剤で汚れを落とすわけですから、良いスーツを、あまり頻繁にドライクリーニングに出すのはおすすめとはいえません。
もちろん汚れたままの状態もいけません。
日々にケアが大切ですし、または信頼できるクリーニング店を見つけ、任せていきたいですよね。
・日々のケア(ブラッシングやスチーム)がまずは重要
・ドライクリーニングはデメリットもあるので出し過ぎは良くない
・ドライクリーニングでは汗汚れは落ちていない
・汗汚れを落とすなら水洗い、ただし技術のあるお店に任せるべき
ケアはかび対策にもなります。
さて、明日は何着よう?
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ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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