【チェスターコート】コートにおける”基本の基”
秋の長雨もようやく終わり、気持ちの良い秋晴れが続いていますね。
9月にもなればショップには秋冬物の衣類が並び、気候が過ごしやすくなると共に徐々に秋冬支度を進めているのではないでしょうか。
この時期になると増えてくるのがコートのオーダーです。
ボットーネ表参道サロンでもすでにたくさんのコートをオーダーいただいており、
これまで以上に、“本格的な冬が訪れる前に”準備をされている方が多いように感じています。
そして、今季はチェスターコート(本来はチェスターフィールドコート)のオーダーが特に多くなっています。
チェスターコートは、コートにおけるまさに基本の基本。
初めてオーダーされる方で、「たくさん種類があるけど、どんなコートにしようかな??」と考えているのであれば、まずはチェスターコートを中心に考えてみてください。
ビジネスシーンはもちろんのこと、プライベートやフォーマルシーンまで幅広く対応できる守備範囲の広さは、
どんな時でも「このコートを着ていればとりあえず大丈夫」という安心感があります。
チェスターコートの歴史などは過去に詳しく解説しておりますので、ご興味のある方は是非以下の記事をご覧ください。
ということで今回はチェスターコートをオーダーする際のポイントを解説したいと思います。
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①シングルかダブルか
まずはコートの顔とも言えるフロントの仕様から。
シングルにするか、ダブルにするか、、、これは実際にボットーネにいらっしゃるお客様も非常に悩まれるところです。
そのコートを、そして着ている本人を最も印象付けることになりますから、デザインの決め手になると言っても過言ではありません。
<シングル>
・一般的によく見るデザイン
・スマート、スタイリッシュ
・ビジネスにも使いやすい
<ダブル>
・あまり見かけない
・クラシックな雰囲気
・おしゃれ
・存在感がある
一般的にはこのような印象がありますでしょうか?
「ダブルがかっこいいけど、シングルかな・・・でも・・・」
理想は洒落た雰囲気でかっこいいダブル、でも現実的に考えればシングルの方が使いやすい、という風に理想と現実の間で揺れるお客様も。
個人的には、そういう場合はダブルで全く問題ない(そもそも奇抜なものではない)と思うのですが、皆様はどう思われますか?
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②上襟はベルベット?
チェスターコートならではの仕様ということで、上襟をベルベットに切り替えるか否か、という選択肢があります。
ここは「上襟をどっちにするか?」という観点ではなく、全体で見た時にどっちの方が合うか、バランスが良いかという観点で見た方が良いと思っています。
やはりベルベットに切り替える場合は、クラシックな雰囲気の方が映えるのは間違いありませんので。
”着丈が長く、適度にゆとりのあるシルエットで、カシミアや柔らかなウール素材で仕立てた無地のコート”
ざっくりとクラシックをこのように定義した場合、上襟はベルベットにすべきではないでしょうか?
逆にカジュアルな雰囲気だと、ドレッシーな要素はアンマッチになってしまいます。
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③フロントは比翼?
シングルのチェスターコートの場合は、比翼(フライフロント)仕立てか、そうでないかを選択できます。
こちらもポイントで見るのではなく、全体の雰囲気に当てはめて考えてみてください。
感覚的には先程の上襟ベルベットと比翼はセットでも良いかと思います。
つまり、クラッシックなコート=上衿はベルベット=比翼、と言う構成が自然なのです。
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④着丈は?
着丈も大きく印象が変わるポイントです。
膝を基準に、それより短ければスポーティでカジュアルな印象に、膝より長ければよりクラシックな印象になります。
ビジネスからプライベートまで幅広く着用したいコートであれば、着丈は少し短めの方が様々なスタイルに合わせやすいでしょう。
着丈が短めのチェスターコート↓。
着丈が長めのチェスターコート↓。
全く異なる印象となりますので、「自分がどういう風(どんなシーン)に着るか?」ということをよく考えてくださいね。
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⑤素材は?
ウールかカシミアか、ウールとカシミアの混紡生地か、素材選びも非常に悩ましいところです。
軽くて暖かいとろけるような質感のカシミアや、カジュアルにも着こなせるようなウールメルトンでもいいでしょう。
〇ウール素材のチェスターコート↓。
〇カシミア素材のチェスターコート↓。
どちらのコートを着て、どんな場所に足を運びますか?
あなたのライフスタイルに寄り添う生地がきっとあるはずです。
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⑥ディテールは?
コートは一生ものでもあり、基本的にはシンプルで精鍛な顔立ちのものが望ましいのですが、オーダーメイドで仕立てるからには自分好みの仕様も取り入れたいという方も多いことでしょう。
そういう場合は、あくまでも基本を押さえた上で、ここでご紹介するオプションをご検討ください。
無闇に何でも足し算してしまうとゴチャゴチャな感じになってしまいますので、素材や全体の雰囲気をイメージしながらよく考えてみてくださいね。
<バックベルト>
チェスターコートには背中側にはデザイン的な特徴はありません。
「少し物足りないな」と感じる方は”ベックベルト”のオプションはいかがでしょう?
あまり実用的な用途はありませんが、後ろ姿の程よいアクセントになります。
ポロコートなどに用いられますので、馴染みのある後ろ姿になるかもしれません。
<ターンナップ>
英国風な雰囲気を醸すには、袖口をターンナップ(折り返し)にするとまた違った印象になります。
こちらもポロコートに用いられるものですね。
主張し過ぎない程度に何かアクセントがほしい!という方にいかがでしょう?
<腰ポケット>
基本はスーツと同じくフラップポケットですが、ステンカラーコートやピーコートに用いられる縦型のマフポケットに変更することもできます。
しかしその場合、胸からウエストにかけての絞りを強調させるための”ダーツ”という処理ができなくなりますので、ストンと落ちるゆとりのあるシルエットになります。
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まとめ
ということで、今回はチェスターコートのオーダーポイントに付いて簡単に解説してみました。
冬の装いは、コートに注力するだけで格段に魅了的になります。
そしてお気に入りのコートに袖を通せば、寒い日でも毎朝明るい気持ちになれますし、
あらゆる場面に対応できるコートがあれば、服装で悩むこともなくなります。
コートは一生物といっても過言ではなく、あなたと共に人生を歩む特別なパートナーとなるのです。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
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