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オーダースーツの生地

徹底比較!イタリア生地とイギリス生地の違い

ベージュ スーツ コーディネート メンズ
ベージュのスーツは色は軽やかな春色なのだが、しっかり重量のある秋物スーツ。
色の影響力とはなかなかすごいものだ。
例えば食事。

飲食店では暖色系の照明を使っていて、その方が食べ物が美味しそうに見える。
それから例えばレトルトのカレーに、ぱっぱっとパセリの粉(グリーン)を振りかける。
それからコーヒーなどに使用するミルク・ポーション(ホワイト)を一振り。
さらに福神漬け(レッド)を添えれば、なんとも美味しそうに見える。

はじめまして!
相手から瞬時に受け取る数々の情報。視覚、聴覚、嗅覚のなかで視覚情報のウエイトは小さくない。
そのなかで色はとても重要なのだけど、悲しきかな日本のビジネスマンは黒スーツ×ネイビータイが多い。
少し色で冒険してみるだけで、普段のスーツもぐっと楽しくなるのだけれど。

このスーツは冒頭に書いたように、色こそ軽やかだが目付280gの英国生地。
経糸も緯糸も2本の糸を1本に撚った、双糸(そうし)で、なかなかシワにならない優れもの。
しっかりとした重さの、繊維長の太い糸は生地の見本、バンチブックで見たときはわからないが、着るとわかる。

英国生地とイタリア生地は何が違うか? 

素材は色々な国で織られている。
今日は私の素材の師匠・大西先生から学んでいる知識を取り入れながらイギリス・イタリアの生地の違いを簡単にご紹介してみたい。

生地は色々な国で、と。
数少ないが日本でも織っていて、その他ここ最近では中国の生地も少なくない。
だがやはりオーダースーツの生地といえばイギリス、イタリア、フランスなどが有名ではないだろうか。

生地 スーツ

織元が多いのがイギリス、イタリアだ。
この2つの国の生産体制は決定的に違う。
自分たちで全部のことをやっているか、分業しているか、そういう違いがある。

詳しくはこちらの記事

堅牢なイギリス生地

イギリスの生地は耐久度が高いとイメージされた方は少なくないのではないだろうか。
そもそもイギリスという国は寒い地域だ。
夏でもエアコンを必要とする時期はわずかで、ロンドンは日本の北海道よりさらに北のサハリン(樺太)くらいの緯度にあたる。

イギリス 生地 特徴

まずそのような寒冷地域なので、生地は肉厚な方が良い。
昔はエアコンがなかったのだから、服で温度調節するのだ。
暖炉は暖かいが、部屋全体ポカポカという環境がある今の住宅とは少し違うから、やはり衣類で調節する。

女性のファッションにおいて、昼間に肌を見せない服装が主流なのに、夜になると極端に薄着をする、露出をするファッションが流行った時代がある。これは、私の家は暖房が完備されておりましてよ、おほほほ。という見栄から発展したのだとか。

サヴィルロウのようなビスポークはアイロンで生地を・・・

次に、ロンドンにテーラー街、サヴィルロウというのがある。
昔から貴族の注文服を作っていたわけだが、ビスポークでアイロン操作をして立体的な服をつくる。
ウールには、熱可塑性(ねつかそせい)というのがある。
シンプルにいえば、平面的な生地をアイロンの熱をつかって立体的に仕上げるのだ。

ハリスツイード ジャケット

アイロン操作で作る仕立て服だから、基本的には分厚い生地の方が扱いやすい。
SUPERという表記は、原毛の繊維長を表しているのだが、現代だとSUPER120’sというと割と細いね、という感覚だと思う。

ちなみに生地の世界にたびたび登場する、SUPER(スーパー)という言葉や番手。
これは何か?良くわかりづらいのでこちらで解説している。

ところで英国羊毛というとSUPERでいえば40くらいの、とても太い原毛が多数ある。
そちらの方がアイロン操作に向いている。
それに、バリッと硬い鎧のような構築的なスーツが作れるのだ。

経糸(たていと)は双糸(そうし)が多い英国生地はハリ・コシがある

こうしてバリッと硬い鎧のようなスーツの中に人が入る、という考えがどちらかといえば英国のスーツだ。
硬い素材で、重くて、厚い。
気候にも合っているし、男性的で窮屈な服は、宮廷文化とも合っていた。

オーダースーツ

現代でも、英国の生地はハリ・コシがある。
普通は経糸(たていと)は織機にかけるから、2本の糸を1本に撚り合わせている。
これを双糸(そうし)というのだ。

ところで緯糸(よこいと)も双糸を使っている生地が多いのも英国生地の特徴だ。
シワになりづらいし、ハリがある。

もっと、柔らかくて繊細で、艶っぽい生地を!

ところが、アルマーニというブランドが出てきた。
鎧の中に入るスーツではなくて、人の体の美しさを生かしたカーディガンのように羽織るスーツだ。
これが現代の艶っぽくて柔らかい、イタリーのスーツの原点とも考えられる。

メリノウール 羊毛

すると、素材ももっともっと柔らかくしようとなった。
スペインにだけ存在していたメリノ種という羊はオーストラリアに渡って、細く、細く、柔らかくと追求されて品種改良を重ねていった。

こうして今世の中で売っているようなSUPER160’sのような細い原毛、繊細で、柔らかい服地がどんどん登場していったのである。
これがイタリアの生地に見られる特徴とも繋がっている。

柔らかいイタリア生地は単糸でしなやかに

こうしてイタリアで織られる生地は、柔らかい生地、繊細な色づかい、しなやかな特徴のものが多い。
また、先ほどのイギリス生地に緯糸を双糸にしている糸が多いのに対して、イタリアの生地は単糸(たんし)の生地が多い。

イタリアスーツ 生地

1本の糸だから、柔らかさがある。
着ていて馴染む、シワにはなりやすいけれど美しい、そんな服地が多いのがイタリア生地の特徴ともいえる。

イギリス生地に比べたならばシワにはなりやすい傾向はあるけれど、そもそもウールの質がよければ、シワの復元力は高い。ハンガーにかけて休ませればスッと戻る傾向がある。

ということで、イギリス生地スーツとイタリア生地スーツ

イタリア生地のスーツ
イタリア生地で誂えたスーツ。
柔らかく、フランネルで起毛しているウール素材。

英国 イギリス 生地 スーツ
同じフランネルでもイギリスの生地で誂えると堅牢な印象。
バリッと固い、驚くほど丈夫である。

イタリア 生地 スーツ
イタリア生地 梳毛ウール SUPER130’sの生地で誂えたスーツ。
光沢も充分だ。
ただしこの生地は強撚糸(きょうねんし)という、生地を通常よりも撚って強度を増している。

イギリス 生地 スーツ オーダー
ブルー・グレーのイギリス生地で誂えたオーダースーツ。
芯もあるが、落ち着いた、しっかりした印象がある。

良い悪いではなく、用途によって選びたい

ということで、イタリアやイギリス、生地は国によって特徴が違う。
深く突き詰めればもっと色々な要素があるのだけど、シンプルにいえば堅牢・丈夫・構築的なイギリス生地と、しなやか・艶っぽい・柔らかなイタリア生地。

ボットーネ スーツ

例えばしっかりしたブレザーを仕立てようというのに、イタリーの細番手の生地ではいけない。
船乗りが雨風を凌ぐブレザー、しっかりしていてメタルボタンと合う構築的な生地の方が向いている。

反対にパーティーで着るエレガントなスーツならどうだろう。
着る頻度も低く、写真で見ても華やかな繊細な生地も良いだろう。

このあたりはぜひ作り手と相談しながら生地を選んでみたい。

ということで、色々な国のスーツ生地に触れてみようか。

さて、明日は何着よう?

併せて読みたい!

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松 甫松 甫 記事一覧はこちら>>表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2017年10月6日
ボットーネ 松のスーツ・ジャケットスタイル365 ありのままブログ | オーダースーツの生地

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