徹底比較!イタリア生地とイギリス生地の違い

オーダーサロン ボットーネがお届けするビジネススーツ&フォーマル通信。
パッと見ただけでも心躍る、イタリアの生地たち。

質実剛健、堅牢、手堅い。
きちんとしたビジネスマンである証のような、英国生地。
生地にもいろいろな国のものがある。

スーツをオーダーする醍醐味は、生地選び。
その生地には、イタリア物やイギリス物があります。
それぞれどんな背景があって、どんな特徴の違いがあるのでしょう。
スーツを構成する重要な生地について、違いをご説明します。
スーツやジャケットの素材は、色々な国で織られている。
今日は私の素材の師匠・大西基之先生の知識もご紹介しながらイギリス・イタリアの生地の違いを説明してみたい。
生地は色々な国で、織られている。
数少ないが日本でも織っていて、その他ここ最近では中国の生地も少なくない。
だがやはりオーダースーツの生地といえばイギリス、イタリア、フランスなどが有名ではないだろうか。

織元が多いのがイギリス、イタリアだ。
この2つの国の生産体制は決定的に違う。
後半のイタリアの生地のところで違いを説明するのだが、簡単にいうと自分たちで全部のことをやっているか、分業しているか、そういう違いがある。
詳しくはこちらの記事
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イギリスの生地は耐久度が高いとイメージされた方は少なくないのではないだろうか。
そもそもイギリスという国は寒い地域。
夏でもエアコンを必要とする時期はわずかで、ロンドンは日本の北海道よりさらに北のサハリン(樺太)くらいの緯度にあたる。

そんな寒い地域なので、スーツも着るものも暖かい方が良いので、イギリスでは生地も厚い方が好まれる。
特に昔はエアコンがなかった、服で温度調節をする。
暖炉は暖かいけど、部屋全体ポカポカという環境がある今の住宅とは少し違うから、服を着こんだり、厚手の服を着て調節する。
余談だけど、女性のファッションでこんな話がある。
中世ヨーロッパの女性は、昼間に肌を見せない服装が主流なのに、夜になると極端に薄着をした。
どうして夜に露出をするファッションが流行ったのか?
これは、私の家は暖房が完備されておりましてよ、おほほほ。という見栄から発展したのだとか。
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ロンドンにテーラーの街、サヴィルロウというのがある。
ここでは昔から貴族の注文服を作っていたわけだが、ビスポークでは主にアイロン操作をして立体的な服をつくる。
ウールには、熱可塑性(ねつかそせい)がある。
簡単にいうと、平面的な生地をアイロンの熱をつかって立体的に仕上げるのだ。

アイロンの熱で立体的に作る仕立て服だから、仕立て屋たちは分厚い生地の方が扱いやすい。
SUPERという表記は、原毛の繊維長を表しているのだが、SUPERでいうと40’sくらいの太い糸で、分厚い生地を利用する。
(生地の世界にたびたび登場する、SUPER(スーパー)という言葉や番手。
これは何か?良くわかりづらいのでこちらで解説している。)
最近は細い糸が作りやすいオーストラリアの羊毛が主流だけど、英国にも羊がいる。
英国羊毛というと、SUPER40くらいのとても太い糸に向いている原毛がたくさんあって、そちらの方がアイロンで作る服に向いている。
バリッと硬い鎧のような構築的なスーツが作れるのだ。
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こうして出来上がった、バリッと硬い鎧のようなスーツの中に人が入る、という考えが英国(ブリティッシュ)スーツの特徴だ。
硬い素材で、重くて、厚い。
イギリスの気候にも合っているし、窮屈な服は、宮廷文化とも合っていた。

そんな背景があって、今でも、英国の生地はハリ・コシがある物が多い。
普通は経糸(たていと)は織機にかけるために、2本の糸を1本に撚り合わせている。
(これを双糸(そうし)という)
ところが、緯糸(よこいと)も双糸にしている生地が多いのが、英国生地の特徴だ。
こうすることで、シワになりづらいし、ハリがある生地が出来上がる。
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関連記事:イギリスの生地が織られている、有名な産地 ハダースフィールド
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ところが、そういう鎧のようなスーツ文化が続いたある日、アルマーニというブランドが出てきた。
鎧の中に入るスーツではなくて、人の体の美しさを生かしたカーディガンのように羽織るスーツが良いのではないか?と。
これが、今風の、艶っぽくて柔らかい、イタリーのスーツの原点と考えられている。

すると、素材ももっともっと柔らかくしようと考えた。
そこで、もともとはスペインにだけ存在していたメリノ種という羊に目をつけた。
メリノ種の羊はオーストラリアに渡った。
こうして、糸を細く、細く、柔らかくなるようにと、品種改良が重ねされていった。
今、世間で売っているスーツには、SUPER160’sのような細い原毛の、繊細で柔らかい生地のスーツも登場していった。
これがイタリアの生地に見られる特徴とも繋がっている。
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イタリアで織られる生地は、柔らかい生地、独特の色づかい、しなやかな特徴のものが多い。
また、先ほどのイギリス生地に緯糸(よこいと)を双糸にしている糸が多いのに対して、イタリアの生地は単糸(たんし)といって、1本だけで織っている生地が多い。

1本の糸だから、柔らかさがある。
着ていて馴染む、シワにはなりやすいけれど美しい、そんな服地が多いのがイタリア生地の特徴ともいえる。
ちなみに、イギリス生地に比べたならばシワにはなりやすい傾向はあるけれど、そもそもウールの質がよければ、シワの復元力は高い。
ハンガーにかけて休ませればスッと戻る傾向がある。
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もう一つ、イタリアの生地の特徴は、織機の前にデザイナーが座るといわれていることだ。
実際に座るというよりも、デザイナーが現場で影響力を発揮している、ということ。
イギリスや日本ではなかなかこうはいかず、工業学校を出た人が座っている。
生地を作る=モノづくりと捉えているか、アートと捉えているか?
考え方がまったく違うのだ。
そうすると、例えばネイビーに染めよう!と思っても、グリーンを混ぜてみたり、ブラウンを混ぜてみたりと、他にはないようなオリジナリティの高いネイビーの生地を作ろうとするのだ。
これが、ファッションの国、イタリアのモノづくりの強さで、イタリア生地の色気や華やかさにつながっている。
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さらに、イギリスや日本の場合は、染色のみを行う染め屋さんが存在する。
原毛をつむいで、糸にして、生地に織りあげるまでをみんなで分業している。
ところがイタリアは一貫紡(いっかんぼう)といって、一つの会社で全部をやってしまう。
すると、ノウハウが他に漏れないし、オリジナルの生地が出来上がるのだ。
反対にイギリスや日本では、染めが一緒だとオリジナリティはイタリアよりも出しづらい。
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フランスはでは生地は織っていないといって過言ではない。
ところがフランスの生地は存在している。
どんな特徴なのだろうか。
フランスはイギリスの対岸にある。
ルイ・ヴィトンのようなメゾンブランドも数多くがフランスから生まれている。
フランスは、生地に関していえば国内で羊を育てたり、モノづくりをしているのではなくて、独特の世界観やデザインで他を凌駕している。
またイタリアやイギリスの良い企業をうまく使い分けて、オリジナリティの高い生地を作っている。

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日本では、残念ながらコストの関係から、今でも生地を織っているところは少ない。
それでも残っている織元は、質実剛健、日本らしくしっかりとした生地を作っている。
日本の紡績の技術はイギリスから入っている。
だから、分業して生地を織っているのもイギリスと同じ。
残念ながらイタリアやフランスなどの色使いや、センスの良い魅力的な柄が毎年登場するか?というとそうはいかないのだが、耐久度も高い。
しかしさすが技術力の高さは世界的にも定評がある。
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イタリア生地で誂えたスーツ。
柔らかく、フランネルで起毛しているウール素材。

同じフランネルでもイギリスの生地で誂えると堅牢な印象。
バリッと固い、驚くほど丈夫である。

イタリア生地 梳毛ウール SUPER130’sの生地で誂えたスーツ。
光沢も充分だ。
ただしこの生地は強撚糸(きょうねんし)という、生地を通常よりも撚って強度を増している。

ブルー・グレーのイギリス生地で誂えたオーダースーツ。
芯もあるが、落ち着いた、しっかりした印象がある。
ということで、イタリアやイギリス、生地は国によって特徴が違う。
深く突き詰めればもっと色々な要素があるのだけど、シンプルにいえば堅牢・丈夫・構築的なイギリス生地と、しなやか・艶っぽい・柔らかなイタリア生地。

例えばしっかりしたブレザーを仕立てようというのに、イタリーの細番手の生地ではいけない。
船乗りが雨風を凌ぐブレザー、しっかりしていてメタルボタンと合う構築的な生地の方が向いている。
反対にパーティーで着るエレガントなスーツならどうだろう。
着る頻度も低く、写真で見ても華やかな繊細な生地も良いだろう。
このあたりはぜひ作り手と相談しながら生地を選んでみたい。
ということで、色々な国のスーツ生地に触れてみようか。
さて、明日は何着よう?
併せて読みたい!
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年10月6日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
タグ:スーツ, コーディネイト, イタリア, イギリス, 生地
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