イギリス生地の聖地 ハダースフィールドとは?
2月1~3日までは、世界最大級の生地の祭典、ミラノウニカだ。
このミラノウニカ、世界中の羅紗屋やバイヤー達が一堂に集い、世界中の生地メーカーやマーチャントが新たな作品を発表する最高の舞台。
今回は私たちも生地の取引があるB氏がミラノウニカに行ったわけだが、イギリス・ヨークシャーのハダースフィールドまで出張したそうだ。
その際の写真を頂戴したのでぜひご紹介したい。
まずはマンチェスター空港を目指す。
ヨークシャー州はイギリス最大の州。
ハダースフィールドはこのあたり。Huddersfield(ハダースフィールド)はイギリス、ウエストヨークシャーの南西部。
マンチェスターとリーズの中間に位置し、ペナイン山脈とコーン川をのぞむ自然豊かなこの場所は、産業革命以降は毛織物工業の中心地として発展してきたことでも有名だ。
生地の産地といえば、日本なら尾張一宮、イタリアならビエラ、そして英国ならこのハダースフィールドだ。
まさに英国生地の聖地といえる。
特にヨークシャー地方は湿度の高い気候と、ペナイン丘陵からの軟水に恵まれている、だからウールの紡績やフィニッシュに最適な環境が揃っているのだ。
Taylor & Lodge(テーラー&ロッジ)はハダースフィールドで1883年創立。
こちらはミルと呼ばれる、生地の織元だ。生地はミル(織元)とマーチャント(商社)がある。マーチャントはミルに生地を織らせるわけだ。
工場付近の川の軟水を使い、上質な生地を織り上げる。
昔はドブクロスという低速織機で織っていたそうだが、今は高速織機も導入している。
だが、織るスピードを落として品質にこだわっているようだ。
低速織機といえばドブクロス以外にもションヘルというのも有名で、雑誌などでそういった低速織機がもてはやされたことがある。
しかし、実際のところ高速織機をゆっくり織れば同様の効果が得られ、柔らかく織り上げることができる。
Huddersfield Fine Worseteds(ハダースフィールドファインウーステッド)は、エリザベス女王のロイヤルワラントを頂いてるという英国を代表するウールンマーチャントである。
打ち合わせの一コマ。
未来の日本のファッションもこうして決まってゆく。
サヴィルロウでも非常に取り扱いの多いのが、ハダースフィールドファインウーステッドだ。
「実際、前回ロンドン経由でフライトし、サヴィルロウに行った時に、かなり入ってるのを確認しました。」とB氏。B氏は2016年9月のミラノウニカ後、サヴィルロウへ。
久々に織機が動いてるのを見て血が騒いだというB氏。
ハダースフィールドはこの他、
Martin Sons`Co(マーティン&ソン)
Edwin Woodhouse(エドウィン・ウッドハウス)
なども有名である。
ヨークシャーで生まれたイギリス家庭料理のひとつ。
日曜限定のメニューのローストビーフの上に乗せられたパイ。
こちらは昔、肉料理は高価なため、少しでもお腹を一杯にするためにと作られたそうだ。
しかし決して小柄ではないB氏も充分お腹一杯になるぐらい肉の量であったようだ。
ハダースフィールドは生地を作るには最適な環境といえる。
そして、イタリアのしなやかな生地も近年人気だが、英国のいわゆるハリ・コシのある素材も根強いファンがいて、ハダースフィールドがそれを支えているのだ。
だが近年はイタリア式一貫紡や中国の台頭に押されているのも事実だ。
古き良き記憶にならないよう、ハダースフィールドを見守っていきたいところだ。
あわせて読みたい
生地の業界の現状は過去のこの記事で
勝ち組ビエラ(イタリア)と衰退する英国生地・日本生地と
ところで、日本で生地を選ぼう、となれば、・英国・イタリア・日本、おおよそこの3つの選択肢があり、最近は中国がある。まぁ人気は英国とイタリアだろう。ところで、この生地の生産に大きな変化がある。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2017年2月9日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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