ブラウンスーツの魅力と着こなし術 ― ネイビー、グレーに続く「第三の色」を楽しむ
なぜ今、ブラウンなのか
表参道の街並み。四季折々の表情を見せるこの街も、秋が深まり冬へと向かうこの時期になると、街行く人々の装いに変化が現れます。
「ネイビーやグレーに続く第三の色といえば?」
答えは、ブラウンです。
ビジネスシーンの定番であるネイビーやグレーとは一線を画し、ブラウンは独特の温もりと落ち着きをもたらしてくれます。紅葉や栗、秋の自然を連想させる色味は、季節の移ろいを服装で楽しむ喜びを与えてくれます。
この記事の目次
ブラウンが持つ独特の魅力

大人の余裕を演出する色
ブラウンは、男性にとって非常に取り入れやすい色でありながら、着こなす人に知性と落ち着きを与えてくれる特別な色です。
ネイビーでは固すぎる、グレーでは物足りない。そんな時、ブラウンは絶妙なバランスで大人の余裕を演出してくれます。ビジネスからプライベートまで、シーンを選ばず活躍する万能さも魅力の一つです。
時を重ねる喜び
私自身、数年前にオーダーしたブラウンのスーツを今でも大切に着用しており、この季節が来るたびに「そろそろあの服が着られる!」という高揚感を覚えます。
季節ごとのアイテムを揃えておくことで、一年を通じてファッションを楽しむ余白が生まれます。これは既製品では味わいにくい、オーダースーツならではの醍醐味といえるでしょう。
多様な表情を持つブラウン
ブラウンには驚くほど多彩な表情があります。それぞれが異なる印象を与え、着る人のキャラクターや場面に応じて選ぶ楽しみがあります。
- ダークブラウン: ブラックに近い深みのある色味で、フォーマルな雰囲気も演出できる
- ミディアムブラウン: 最もクラシックなブラウンで、ビジネスでも使いやすい
- テラコッタ調: 赤みのある温かな色味で、秋冬の装いに華やかさをプラス
- キャメル: 明るめのブラウンで、カジュアルな着こなしに最適
季節別ブラウンの選び方

秋冬のブラウン(10月〜3月)
秋冬の季節なら、ダークブラウンやテラコッタ調のブラウンが特におすすめです。
フランネルやツイードといった起毛素材で仕立てることで、見た目にも暖かく、実際の防寒性も高まります。このようなレンガ調の色味は、英国のカントリーの雰囲気を漂わせ、都会的でありながらどこか懐かしい魅力を持ちます。
コーディネート例:アズーロ・エ・マローネ
イタリアの伝統的な配色テクニック「アズーロ・エ・マローネ(青と茶)」を意識した着こなしも素敵です。
- 赤みの強いブラウンジャケット
- デニムシャツ(青)
- ダークブラウンのスラックス
このように、ブラウンのジャケット自体がアクセントとなり、秋冬の色づかいながら華やかな雰囲気を演出できます。程よく都会的な雰囲気もあり、くどくならないよう意識するのがポイントです。
春夏のブラウン(4月〜9月)
春夏には、より明るいトーンのブラウンがおすすめです。
- ライトブラウンやベージュに近いブラウン: 軽やかな印象
- コットン素材やリネン混: 通気性と清涼感
ホワイトやベージュのシャツと合わせることで、季節感のある爽やかなスタイルが完成します。
実例で見るブラウンスーツの着こなし

ボットーネでは、毎年この季節になるとブラウンのスーツやジャケット、そしてコートのオーダーが増えてきます。お客様の実例をご紹介しましょう。
事例1:カジュアルに着られるダークブラウンジャケット


以前オーダーいただいたK様のダークブラウンのジャケットは、カノニコ社のフランネル素材で仕立てました。
着こなしのポイント:
- タートルネックのニット
- デニムなどのカジュアルなパンツ
この組み合わせにより、週末のお出かけやカジュアルな会食の場でも活躍する一着に仕上がりました。近年注目を集めるカノニコのフランネルは、上質でありながらモダンな表情を持ち、都会的な着こなしにぴったりです。
事例2:優しい印象のテラコッタブラウンスーツ


6つボタンのダブルブレストスーツを、H様よりオーダーいただきました。やや赤みのあるテラコッタ調の雰囲気で仕立てたこのスーツは、「ブラウンスーツ=ダンディで渋い」という固定観念を覆す一着です。
塾講師をされているH様にとって、このカラーは暖かみを感じるほっこり優しい印象を与え、生徒さんや保護者の方々に親しみやすさを感じていただける、素敵な雰囲気に仕上がりました。
事例3:ウィンドウペーン柄のヘリテージフランネル


O様からは、今期の秋冬スーツとしてウィンドウペーン柄のフランネル生地でオーダーいただきました。
選ばれたのは、フォックスブラザーズのヘリテージフランネルコレクション。このコレクションの「ヘリテージ」とは、直訳すれば「遺産、継承物、伝統、伝承」を意味し、古き良き英国の香りがする風合いが魅力です。
ヘリテージフランネルの特徴:
- ツイーディな感触でガッチリとした質感
- 普通のフランネルよりも存在感がある
- ツイードほど極端ではなく、都会で着用するのに丁度良い
- 1930年代のアーカイブからピックアップしたデザイン
- 「プロバークロス」と呼ばれる伝統的な肉厚ボディーで織り上げ
このようなヘビーウエイトで硬さのある生地は、仕立て服でなければとても着心地の悪い服になってしまいます。逆に言えば、オーダースーツであれば、一生付き合うことになる最高の一着が出来上がります。
現代のライフスタイルとブラウンジャケット

ハイブリッドワークとジャケットの役割
働き方は大きく変化しました。現在、多くの企業でハイブリッドワークが定着し、「週に1〜2回出社するけれど、自然とカジュアルな格好で職場に行くようになった」という声を、ご来店いただく常連のお客様からもよく耳にします。
このカジュアル化の流れは止まることなく、決して悪いことではありません。しかし、「大人の私服」としてスウェットやパーカーばかりで良いのかという問いは残ります。
“カジュアル+ジャケット”という選択
生活様式が変わる中、「カジュアル+ジャケット」を上手く自分自身に取り入れられるかどうかが、現代のビジネスパーソンにとって非常に重要になっています。
シーン別活用例:
-
在宅勤務でのオンラインミーティング
- Tシャツやニットの上にサッとジャケットを羽織る
- 瞬時に”オンのムード”が漂い、自分自身にもスイッチが入る
-
ハイブリッドオフィスへの出社
- ジャケット+チノパン
- ジャケット+デニム
-
週末のカジュアルなお出かけ
- ブラウンジャケット+白Tシャツ+スラックス
このように、ジャケットはワークライフミックスな暮らしの中でオンオフを切り替えるスイッチの役割も果たしてくれます。自分自身でスイッチを入れるのは意外と難しいものですが、服装という外的要因が助けてくれるのです。
生地選びで変わるブラウンの表情
フランネル ― 秋冬の定番

起毛感のある柔らかな風合いが特徴で、ブラウンとの相性は抜群です。見た目にも暖かく、着心地も快適。ビジネスからカジュアルまで幅広く対応できます。
ツイード ― カントリージェントルマン
ざっくりとした織りが特徴で、よりカジュアルな印象。週末のジャケットスタイルや、リラックスした場での着用におすすめです。
梳毛ウール ― 都会的な表情
滑らかな表面感で、ブラウンでもビジネスライクな印象を保ちたい方に。オールシーズン対応可能な素材も多く、汎用性が高いのが特徴です。
カシミヤブレンド ― 最上の贅沢
カシミヤを混紡することで、さらに柔らかく上質な風合いに。特別な一着として、または大切な場面での勝負服として。
ボットーネでブラウンスーツを仕立てる

ボットーネでは、無地のブラウンでオーダーいただくことが多いですが、チェックやストライプなど、お客様のお好みに応じて様々なバリエーションをご提案しています。
生地を選ぶだけでなく、その背景にあるエピソードや歴史を知っていくと、出来上がったスーツにもっと愛着が沸いてきます。フォックスブラザーズのヘリテージコレクションのように、100年近い歴史を持つ生地でスーツを仕立てることは、単なる服作りを超えた、一つの物語を身にまとう行為といえるでしょう。
お客様との対話を大切に
私たちは、お客様一人ひとりのライフスタイル、お好み、着用シーンをしっかりとヒアリングし、最適な一着をご提案しています。
「どんな場面で着たいのか」 「どんな印象を与えたいのか」 「どんな素材がお好みか」
こうした対話を通じて、あなただけのブラウンスーツが完成します。
まとめ ― ブラウンという選択
ネイビー、グレーに続く第三の色、ブラウン。それは単なる色の選択肢ではなく、大人の余裕と季節を楽しむ心の表れです。
現代の新しいライフスタイルの中で、ブラウンのジャケットやスーツは、オンとオフをつなぐ架け橋となり、あなたの日常に彩りと品格を与えてくれるでしょう。
この秋冬、表参道のボットーネで、あなただけのブラウンスーツを仕立ててみませんか?
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2026年1月16日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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