タキシードはなぜディナージャケットと呼ばれるのか?燕尾服から変わったカウズ島での食事の話

松はじめです。
タキシードというと、特別なパーティーに着て行くイメージでしょうか?
タキシードという名前は、アメリカで呼ばれる名前です。
英国の呼び名は、ディナージャケット。
その名の通りディナーの時の服と考えることもできます。
ディナージャケット(タキシード)はもともとタバコ用の服でした。
それがある日、ヨットの上で食事用に変化します。
そこから、ディナージャケットと呼ばれるようになります。
一体何があったのか?ご説明したいと思います。
エドワード7世が仕立てたスモーキングジャケット
1860年、英国皇太子(エドワード7世)は、サヴィルロウのヘンリープールというテーラーで、シンプルなダークブルーのスモーキング・ジャケットというタバコ用の服を誂えた。
普通はテーラーを呼ぶことはあっても、街に皇太子が出かけていって、服を注文するなど異例なことだ。
エドワード7世は誤解を恐れずにいえば異端児だったといえる。
そもそもその当時の夜の服は燕尾服。
今のスーツの原型といわれる、ラウンジコートが登場して間もないころだ。
食事の時は、ガチガチにプラスチックのように固いウイングカラーのシャツを着て、燕尾服で身を固める。
シャツの袖もガチガチに固いため、ダブルカフにする必要すらなく、シングルカフスなのにダブルカフスのように見える。
堅苦しいディナーを終えると、タバコを愉しむ。
ラウンジルームでは、ついさっきまで着ていた燕尾服の上着だけを脱いで、スモーキングジャケットという短いショールカラーの部屋着に着替えてタバコを愉しむのだ。
スモーキングジャケットを食事の服にした

英国皇太子エドワード7世は、カウズのヨットで過ごすのがとても好きだった。
カウズは、ワイト島にある避暑地。
英国の中では南に位置していて、ヨットレースが有名だ。
ここに昔は英国王室専用ヨットが停まっていた。
エドワード7世はその年もヨットにやってきた。
ヨットの上で、食事をする。
ところで、エアコンもない時代の真夏、ヨットはいささか暑かった。
そこに、ヘンリープールで仕立てていたスモーキングジャケットに目がいった。
いつもは燕尾服だが・・・まあヨットで食事する時くらいいいんじゃないか?
こうしてスモーキングジャケットは、ディナージャケットに発展する。
真夏の1890年代、カウズのヨットの中で食事するときに、本来タバコを楽しむ服だったスモーキングジャケットは食事の服として着られた。
こうしてタバコ服は燕尾服よりも略式の食事用の服になって、ディナージャケットと呼ばれるまでになっていく。
ちょうどその頃アメリカでは、高級住宅街タキシード・パークで行われたタキシード・クラブで、同じスモーキング・ジャケットが着られていた。
アメリカではタキシードという名前がスタンダードになったというのだ。
ディナージャケット まとめ
英国皇太子は、スモーキングジャケットを、真夏のヨットの食事用の服に採用した。
エアコンもない時代、ヨットの上での食事くらい燕尾服を着なくても良いのではないか、と。
こうして燕尾服よりも略式の食事(ディナー)用の服として、ディナージャケットが誕生する。
洋服には歴史と文化があるが、こんな風にディナージャケットが誕生したなんて考えただけでも面白い。
最後に、アメリカではタキシードパークで行われたタキシードクラブで、同じ服が着られたためにタキシードという。
くれぐれも英国ではタキシードと呼ばないように。
さて、明日は何着よう?
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あわせて読みたい。
スモーキング・ジャケットをイギリスで見た、あるアメリカ人が着た服がタキシードになった話
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2018年6月1日
フォーマル | オーダータキシードの歴史
タグ:服飾史, タキシード, 知識
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