カシミアとダブルスーツとグリーンと
例年多くの人で賑わう表参道のイルミネーション。
今年も12月からライトアップが始まり、
いつもの雰囲気とはまた違った幻想的な景色が広がっています。
今年は渋谷の”青の洞窟”も数年ぶりに登場し、
ひとつひとつ、人の集まる場が増えてきていることを実感します。
さて本日は、最近ご納品させていただいたお客様の
素敵なスーツやコートをご紹介させていただきます。
お客様の体型はもちろんそれぞれ違いがあり、
痩せ型の人、筋肉質な人、小柄な人、大柄な人・・・
それぞれの個性を踏まえて、最適なお仕立てをすること。
これがとても重要なことです。
モデル体型の人は、どんな服でもフィットしますからね。
(手足の長さを除いて…)
ですから、ボットーネではお仕立てさせていただいた
お客様をできる限り撮影させていただくようにしています。
リアルな仕上がり具合がブログをみて下さっている方にも伝わり、
同じような体型の方、悩みがある方にとっては、
それがひとつの悩み解決の答えにもなると思うんです。
どんなイメージを持ってお仕立てさえていただいたのか、
生地やデザインだけじゃないコンセプトも含めて
どんどん発信していきたいと思います。
この記事の目次
エレガントなカシミアコート
初めにご紹介させていただくのは、
淡いベージュ、エクリュとも言いましょうか、
ラグジュアリーなカシミア生地を使ってお仕立てさせていただいた
Y様のシングル・ポロコートです。
イタリアの有名生地ブランド”ゼニア”より選んでいただいたのですが、
カシミアらしい毛並みの美しさ、ぬめりのある光沢感、
そして驚くほど軽い着心地を体感できる、極上の生地です。
各社たくさんのカシミア・コート生地が打ち出されていますが、
この絶妙な色味はゼニアにしかありませんでした。
ホワイトに近いクリーム色をベースに、
ベージュがちりばめられたような表情がありますね。
普段はダッフルコートなどなカジュアルなコートが多いというY様。
今後数着コートを追加していく予定の中、
ビジネスでは出社回数がめっぽう減ってしまったそうで、
プライベートで着用するものから仕立てよう!となりました。
背面のデザインや、ポケットなどに特徴のあるポロ・コートですが、
あえてのシングル仕様にすることで、もっと気楽に着れるように。
カシミア素材ですので適度にゆとりを持たせた設計になっています。
歩くたびに揺らめいて・・・
このドレープ感がいいんですよね。
タイトフィッティングではこの優雅さは出せませんので、
何でもかんでも細ければいいというものではないのです。
普段ジャケットはタイトめにお仕立てさえていただいてますが、
今回は素材や着用シーンを踏まえ、
フィット感はお任せでオーダーいただいております。
丁度よい、ゆとり具合です!
これから寒くなってきますが、
軽くてもしっかり暖かいのがカシミアですので、
休日服として長くご愛用いただけますと幸いです。
ダブルのネイビースーツ
続いては、2着目のダブル・スーツとなるO様のご注文です。
生地はイタリアの生地ブランドであるSTYLBIELLA(スタイルビエッラ)から、
少し幅が広めのヘリンボーン柄を選んでいただきました。
前回のオーダーが濃紺無地のスーツでしたので、
今回は少し攻めた形になりますね。
いつものバランスで、いつものサイズ感で、
そしていつものデザインで。
通算5着以上オーダーいただいてきましたので、
打ち合わせの際は生地と裏地などを決めるだけですから、
比較的短時間で終わります。
と、言いたいとことですが、裏地でめちゃくちゃ悩みました笑
スーツ生地を決めるよりも、裏地の方がだいぶ時間がかかっています。
ネクタイにも使われていそうな、グリーンの小紋柄の裏地。
ちょっと派手かもしませんが、ほぼ見えることはありません。
イギリスから取り寄せたもので、実物はもっと上品な雰囲気。
私も個人的にヒットした裏地でした。
体型変化に合わせて数回アップデートをしており、
今回もベストなバランスです。
(厚手のニットの上なので写真はタイト気味ですが)
ここ1年は、過去にないくらいダブルのスーツを
お仕立てさせていただいたのですが、
思えばO様が一番最初だったと思います。
デザインなどは控えめで、
サイズ感が正しく、身体にフィットしていれば、
ダブルでも変な威圧感はありませんよね。
これかもスーツスタイルを楽しんでくださいね!
いつも本当にありがとうございます。
初オーダーはグリーンスーツ
初めてオーダーいただいたY様。
初めてながら、グリーンが大好きだということで、
ダークグリーンを3ピースでオーダーいただきました。
最初から攻めのオーダー、好きです!笑
柔らかい雰囲気がお好きだということで、
肩回りはパットを抜いて、丸みを帯びたラインに。
全体的なシルエットは、適度にゆとりを持たせて。
マニカ・カミーチャの袖付けもいい感じです。
肩回りはスーツにとって一番印象の変化がありますから、
皆さんのこだわりを伺いながら、
あるべき姿に持っていきます。
タイトなシルエットはお好みでないそうで、
ジャケット、スラックスともにその辺りを考慮して
設計を行いました。
「サイズが大きい」ということと、
「適切なゆとりがある」というのは訳が違います。
サイズが大きい=全くあっていない。
肩も落ちていて、袖も長くて、着丈も長いなど、
重要なポイントも含めてズレていると、
ただ単に大きいスーツを着ているだけの人になってしまいます。
一方で、適度にゆとりがあるというのは
大事な部分は適切なサイズ感になっています。
もちろん袖丈はあっていますし、
肩が多少大き目だとしても、適切な範囲内で、
着丈も大きくずれることはありません。
当たり前ですが、要所があっていると
穴化周りやアームホールに多少ゆとりがあっても
外から見ればまったくそういう風には見えません。
ゆとりがあるサイズ感に見えますでしょうか?
きっとほとんどの方が普通くらい、
むしろ細めに見えるのではないかと思います。
文章にしてみると当たり前すぎるくらい
当たり前なのですが、、、。
生地はイタリア製のもので、
オイリーな光沢がありますね。
光沢のある生地は袖のシワが美しい。
素敵なオーダーをありがとうございました。
ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2022年12月17日
クライアント | スーツを仕立てたお客様
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