初夏のパーティスーツ オフホワイトのリネン
先日に引き続き、今回もお客様のお仕立て事例をご紹介させていただきます。
初夏のパーティスーツはリネンが良い
前回はN様のビジネス用のスーツでしたが、今回は完全にプライベート用のスーツ、、、というよりも、旅行やパーティなどで着用することをイメージしたスーツです。
この時期のパーティ用といえば、リネンのスーツやジャケットではないでしょうか?
その素材感から涼し気で、通気性も良く、独特のリラックスした雰囲気が醸せるのがリネンです。
今回オーダーいただいたリネンスーツのカラーは、なんとオフホワイト。
オフホワイトと言えば、こちらのブログでご紹介したアイリッシュリネンのスーツは非常に反響がありました。
夏の高級素材リネン。
さらに非日常感のあるオフホワイトは、この上なく贅沢な素材と言えます。
薄い生地ではなく、350gを超えるヘビーウエイトの生地です。
着用することで生まれる皺こそ、リネン持つ大きな魅力のひとつ。
このようなヘビーウエイトのアイリッシュリネンであれば、最初はかなり硬さもありますが着用していく事に非常に柔らかくなり、深く大きな皺や毛羽立ちが出てきます。
天然の植物系素材(リネンやコットンなど)で仕立てたスーツは、革製品のエイジングのようにじっくりと育てていく楽しみがあり、そういった意味でも新品の状態より着込んでからの方が味わい深い服となります。
お客様のお仕立て事例
今回のO様のオーダーは、基本的にはブログでご紹介したクラシックな仕様とほとんど同じにしています。
3ピースで、ベストは襟付き。
この生地だとより雰囲気がありますね。
ジャケットはノーベント。
タキシードやフォーマルなスーツに用いられるベントの仕様です。
包み込むような形になるノーベント仕様は、センターベントやサイドベンツ仕様に比べよりフィットすることが求められます。
切れ目がない分、タイトすぎてもゆとりがありすぎても目立ってしまいます。
ボタンは貝ボタンをセレクト。
オフホワイトリネンの場合、ホワイトの貝ボタンが最もベーシックであると思いますが、ブラックの貝ボタンも味があります。
天然の貝ボタンならではの輝きがあり、決して悪目立ちしないアクセントになっています。
このようなクラシックなスーツですので、タイトフィットのではなく、程よくゆとりを持たせています。
サスペンダーで釣り上げることで完成する1930年代を思わせるようなシルエットです。
もちろん、フィット感やシルエットは決めつけるようなことはせず、素材や仕様、そしてお客様ご自身のお好みも踏まえて、最適なご提案をさせていただきます。
このような仕立て服は、20代の若者ではとても着こなすことができないでしょう、、、。
(私も憧れはありますが、まだ早いなと)
50代、60代の年を重ねた男性こそ、お似合いになるものだと思います。
今回O様はクルーズパーティーでお召しになられることを想定し、年明けから計画的にオーダーいただいておりました。
リネンですので、当然ウールのスーツとは着心地が全く異なり、仮縫いは必須です。
伸縮性もほとんどなく、後々微調整を加えることもできますが調整箇所によっては跡が残ってしまうこともあります。
※写真は他のお客様の仮縫い風景です。
このご時世の中、残念ながら予定されておりましたクルーズパーティーは中止となってしまったそうです。
ですが、来年、再来年と、何年経っても色褪せることのないクラシックで普遍的なこのスーツは、むしろ年数を重ねることで輝きを増していくことでしょう。
いつもご来店時は必ずシャツをお召しになられ、首元にはスカーフを巻きお洒落な装いのO様。
そんなO様がこのホワイトリネンのスーツをどのように着こなすのか、、、、私共も大変楽しみにしております。
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ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。その後、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2020年7月6日
クライアント | スーツを仕立てたお客様
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