フルオーダー
ここでは、フルオーダー=フルハンドメイドのオーダースーツと定義しましょう。
フルオーダーは、職人が採寸・型紙の作成・裁断から仮縫い・中縫い・本縫いと最後の工程まで、そのほとんどを手作業で行います。
いわゆる”丸縫い”というやつですね。
スーツのデザインには職人の感性が投影され、納期は短めに見ても仮縫いを含めて半年程度、著名なテーラーや繁忙期と重なれば1年以上かかることも珍しいことではありません。
フルオーダーで誂えるということは、職人(テーラー)の技術・手間に対してクライアントはお金を払うということであり、その価格は生地によって多少変動はあれど、約40万円~というテーラーが多いように思います。
一時期は高齢化が問題となり技術の継承が不安視されていましたが、近年は30代・40代の若いテーラーが増えてきており、かつてないほどの盛り上がりを見せております。
一部のWEBサイトなどでは、「仮縫い付き=フルオーダー」という風に書いている場合がありますが、これは明確に間違いです。
後述するイージーオーダーでも仮縫いは可能ですので、勘違いしないようにしてくださいね。
残念なことに、「うちは仮縫い付きのフルオーダー店です!」と自ら誤解を招く表現をしているお店も…。
こんな人にフルオーダーはおすすめ!
✅ 憧れの職人さんに最高の1着を仕立ててもらいたい
✅ イージーオーダーは経験済みで、次のステージを味わいたい
✅ とにかく予算は気にしない、品質が最優先
パターンオーダー
パターンオーダーとは、既成サンプルをベースに袖丈などの数カ所を自分のサイズに合わせて仕上げていきます。
別の言い方では「セミオーダー」ということもあるようです。
イメージとしては「既製品+微調整」といった感じでしょうか。
低価格(約2万円~)&短納期(約2~3週間)で仕上がる点は大きな魅力と言えますが、これはどちらかというと「オーダー」という分類ではなく「発展した既製服」と捉えた方がしっくりきます。
もともとパターンオーダーという概念は、例えばA社のXブランドというスーツ(既製服)が存在したとして、
●サイズ面などでのお直しの領域を超えている
●サイズは合っているけれども他の生地が欲しい
という場合に柔軟に対応する為に発展してきた背景があります。
つまり、補正などは大きく入れることはできませんが、サイズ調整&ちょっとしたデザインの変更や生地選びを味わう為に生まれた訳です。
全国展開しているような大手がよく採用しているオーダー方式になります。
この辺りを履き違えてしまうと、「オーダーしたのにしっくりこない!」という自体になりかねません。
しっかりとパターンオーダーの特性を理解した上でオーダーすると、満足度の高いスーツが手に入りますよ。
こんな人にパターンオーダーはおすすめ!
✅ とにかく手軽にオーダーしてみたい
✅ 価格はできる限り抑えたい
✅ どうしても着用したい日があって、時間がない
イージーオーダー
イージーオーダーが最も説明が難しく、幅広い解釈でとられているオーダーの種類だと思います。
いうなれば、フルハンドの長所と既製服の長所を掛け合わせた第三の仕立てのようなイメージです。
スーツといえば、昔はフルオーダーが当たり前で、その時代の後にアメリカ文化が入り既製服として認知されるようになりました。
そんな中で生まれたイージーオーダーは、フルオーダーでもなく、既製服でもない、中間に位置する第三の仕立て。
パターンオーダーも同様に分類できますが、パターンオーダーとイージーオーダーでは明確に違う点がいくつかあります。
パターンオーダーは、サイズサンプルをベースに微調整を加える方式でしたが、イージーオーダーは、様々なサイズの型紙に、店頭で採寸された顧客の寸法をフィットさせ、一点ずつ裁断し縫製し仕上げていく方式です。
あらゆる補正に対応でき、型紙から一点ずつ裁断するという点では、イージーオーダーは唯一無二のオーダースーツが仕立てられると言えます。
お店によっては仮縫いをすることもでき、注文服としてメリットが明確に体感できるのがイージーオーダーです。
価格はお店によって違うと思いますが、スーツで約7万円~。
納期は1ヶ月~2ヶ月、仮縫いは追加で1ヶ月程度が相場です。
こんな人にイージーオーダーはおすすめ!
✅ オーダースーツの醍醐味を味わいたい
✅ 自分にぴったり合ったサイズのスーツを着たい
✅ 店員さんではなく、専門家と一緒に仕立ててみたい
イージーオーダーは日本独自?
ということでフルオーダー、パターンオーダー、イージーオーダーについて説明させていただきました。
同じオーダーという名が付いていますが、細かく見ていくと全くと言っていいほど違いますよね。
それでも出来上がってくるのは「スーツ」であることに変わりありません。
自分が求めるものにはどんなオーダーの種類が適切なのか、じっくり考えてみてくださいね。
ちなみに、ここでは分かりやすいようにイージーオーダーとうたいましたが、本来はイージーオーダーとは日本独自の呼び方ですので注意してください。
パターンオーダーとイージーオーダーは海外では同じように分類されることも多く、本来は分ける必要がないのかもしれませんね。
明確なことは、フルオーダーは全くのゼロベースからパターンを起こす、すなわち時間とコストは大幅にかかるということ。
それ以外のオーダーは、あくまでもベースとなるパターがあり、そこからどのように調整できるのかという点でパターンオーダー(簡易的)とイージーオーダー(フルオーダーに近い)の境目は存在すると理解してください。
イージーオーダーとパターンオーダーは一見違いが分かりにくいですが、料金や補正の対応可能範囲で判別することができる。
ちなみにボットーネは・・・
私たちのオーダーシステムは、型紙をゼロベースから起こすフルオーダーではありません。
しかし大量生産 でもなければ、通り一辺倒の型が決まったマシンメイドのパターンオーダーとも違います。
3つの分類の中では『イージーオーダー』が当てはまります。
先ほどご説明したように、丸縫いのフルオーダーだと生地にもよりますが1着40万円くらいが相場です。
ボットーネは創業時から、「普通の方が輝ける服を、普通よりも楽しく、普通よりも丁寧に。」そういう想いがあり、最初は7万円の価格帯からスタートしました。
百貨店で同じ服(スーツ)を買うのなら、「ストーリーを楽しみながら、専門家と一緒に服を作ろう」と思っていただけるようなところを目指しましたので、0からパターンを起こす形ではなく、既存のパターンをベースにしてシルエット構築しています。