本と刺繍と採寸と

「神田須田町の岡昌に行ってごらん、あるかな、まだ数冊。」
大西基之先生からそう教えてもらい、
絶版の村田金兵衛先生の、洋服の全てという本を手に入れた。
私は事前に電話をして取り置いていて、
もう一冊あったので、一緒にいた嶋田くんが、僕も・・と買おうとしたので、
いいよ、サロンに置いておくし読みなよ、と言った。

「いえ、ゆっくり読みたいので・・僕も・・」と遠慮しながらもしっかり手には本を持っていた。
今日は急遽、神田へ。
あるクライアントのネーム刺繍を入れるためだったのだが、
せっかくならばあの技を見に、一緒に行こうか、と。
本は、野菜でも買ったかのように、
茶色い紙の袋に包まれ、
袋の口はテープもなく、無造作に折り曲げられ、
「はいどうぞ、まだあるよ、買ってく~?」と語尾上りの甲高い声で店主に言われた。
「いいですね~こういうの。朝の生地屋の方もそうですけど、大好きです。」
23歳嶋田くんはそういうと、満面の笑みだった。

「なんだぁ、さっき女の子から電話だったけど、あんたらかぁ、がっかりだぁ笑」
入ると同時に先制パンチを喰らう、
メゲずに刺繍を依頼。
「ちょっと待ってな、こっちさき入れっから。」と、スイスイ2枚のハンカチへの刺繍を入れ終わると、どれに入れるんだ?と順番がきた。

「単純に入力して、刺繍されるのではないんですね!??」
ここでも若き新人は感動していた。
ここは刺繍職人の店。
絵や柄だってスイスイ刺繍してくれる。


そんな嶋田くんの採寸も終え、彼はいよいよ生地の選定に入る。
やっぱり最初はオーセンティックに、生地はドーメルにしようか、ブレザーに金ボタンか・・
選択肢の多さに方向性も定まらない様子だったが、終始笑みだった。
オーダーメイドの世界は深い。

今日もザネラートのポスティーナで。
雰囲気を見ようと、スキャバルのチェスターフィールドコートを持ってみる。
いよいよ、重ね着を最大限楽しめる、最高の季節だ。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
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