秋スーツのおすすめ生地はこれ!|サキソニーの魅力を解説
お盆も明け、8月も後半に入りました。
毎日毎日うなだれるような暑さが続いていますが、アパレル業界では着々と秋冬シーズンに向けた準備が進んでいます。
早いところではすでに秋のカジュアル服が店頭に並び始め、ボットーネでもブログでお伝えしてきました通り、秋冬生地の入荷が始まっております。
まだイタリア系の生地メーカーなど一部が遅れておりますが、8割程出揃ったところです。
お客様からもすでに冬のコートや秋冬スーツのオーダーをいただいており、「こんな暑い中、冬の服について考えるなんて変な話ですね…。」とクーラーの効いた涼しい部屋で毛並みの美しい生地たちを眺めています。
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この記事の目次
秋服って楽しい
秋といえば、皆さんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
食欲の秋、スポーツの秋、様々に表現される秋ですが、服好きの人達にとっては「ようやく重ね着の秋がきた!」と楽しみにしている方も多いかと思います。
秋は1年の中で洋服屋としても楽しみな季節で、夏はどうしても暑くて軽装になりますから、気温も少しずつ落ち着きはじめる秋は重ね着が楽しめる季節だなあとワクワクします。
表参道サロンから青山通りを通って少し歩くと、都内でも有名な明治神宮外苑のイチョウ並木が見れるのですが、深々とした緑から黄色や褐色に変わる紅葉を見るのも楽しみのひとつ。
服の色使いも洋服を楽しむ上では大事で、冬から春になるタイミングには少し明るめのトーンを取り入れるように、夏から秋への変化もブラウンや少しくすんだアースカラーなどの色をいち早く取り入れるとグッとおしゃれ上級者に。
今日はそんな秋にぴったりのスーツ生地をご紹介したいと思います。
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秋スーツを選ぶ際のポイントは?
秋っていつの間にか始まって、いつの間にか通り過ぎているような曖昧な季節で、期間も短いから秋用のスーツを選んだことがないという方もいらっしゃるかと思います。
私も普通に一般企業のサラリーマンをしていたら、一年を通して長く着れるオールシーズンのスーツを何着か持って、それを着回そう、と考えていたかもしれませんが、秋スーツに意識を向けることによるメリットがあると知ってましたか?
秋スーツを選ぶ際には大きく分けて二つのポイントがあります。
ここさえ抑えておけば大丈夫!というポイントをお伝えしていきますので、参考にしてみてくださいね。
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季節感があること
秋スーツには、冒頭でもお伝えした通り『季節感』を是非取り入れてみて下さい。
例えばわかりやすく季節感を演出できるのは色で、冬から春に移り変わる時はダークトーンから爽やかな色味に、夏から秋も明る色からだんだんと落ち着いた色味が心地よくなっていきます。
秋には秋らしい落ち着いたトーンの色を。
スーツの生地においては色味だけでなく、生地の質感も大事で、一番分かりやすいのは「起毛」と言って表面が少し毛羽立っているような生地だと見た目にも暖かさを感じます。
そして、起毛しているからこそ際立つ『柄』もあったりと、選択肢が色々広がっていくのも秋服の魅力ですね。
そして、やはりおしゃれは気持ち先取りが基本ですから、周りがまだ衣替えを意識していない時から準備していくと、「おっ、今日は涼しいな」なんて日に一足早く秋服を楽しむこともできます。
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トレンドに左右されない普遍的なサイズ感
街を歩けばユルっとしたサイジングのTシャツを着ている人を見かけることが多いですが、昨今の洋服のトレンドといえば間違いなく「オーバーサイズ」ですね。
サイズ感って当たり前ですがものすごく重要で、これだけオーバーサイズの服がありふれた世の中ですから、例えばかなりタイトめなスーツを着ていたら「ちょっと古い?」と皆さんも感じるのではないでしょうか?
スーツにも多少のトレンドはあると思いますが、昔から変わらない普遍的な良さもあるはずですで、大人の男性ならトレンドに左右されない王道のサイズ選びを意識するといいと思います。
例えばオーバーサイズのスーツは、プライベートで着るカジュアルなセットアップでも30代・40代の大人には難しいと思うのですが、今の20代にとってはこのサイズ感が当たり前です。
皆さんがまだ若かった頃はおそらくタイトなサイズ感が流行っていたはずで(2010年前後)、ジャケットはウエストの絞りが強く、着丈もお尻が見えるくらい短め、パンツは股上が浅く、太ももから裾に向かってギュッと細くなり、丈も短いようなものが主流でした。
そのころからの感覚が中々抜けないというのもあるかと思います。
あまりトレンドを敏感に追いすぎてしまうのも考えもので、30代・40代の大人の場合は、周囲からすると年相応に見られにくくなってしまうこともあります。
決してゆるっとしたオーバーサイズではなく、ピタっと細いタイトなサイジングでもなく、適度にゆとりを持たせた普遍的なシルエットがおすすめです。
流行に左右されず、年齢を重ねてからも長く着ることもできますよ。
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秋スーツのおすすめ生地はサキソニー
ここまで季節感やサイズ感についてお話しさせていただきましたが、いよいよ秋スーツの素材についてです。
季節によって適した素材は様々で、例えば暑い夏にはひんやりとしたリネン、寒い冬にはガシッと温かみのあるフランネル、といったようにその季節の代表的な素材があります。
気候が少しずつ落ち着き始め、街路樹の緑が色付いてくる秋におすすめのスーツ生地はずばり『サキソニー』です。
サキソニーは通常のスーツ生地と比べて生地の表面がほんのりと起毛していて、触り心地も柔らか、ソフトな風合いが特徴で、実際に着てみでも温かく、見た目の雰囲気も優しい暖かみがあります。
サキソニーと似た生地にフランネル、メルトンなどがありますが、フランネルは紡毛と言って生地がごわごわしていてもっと分厚く、メルトンは強い縮絨をかけて綾目が全く見えないように仕上げたさらに厚手の生地のことを指します。
もっと冬用ってイメージでOKです。
サキソニーの話に戻りますが、通常のスーツ生地を少し起毛させているので、季節感があるにも関わらずビジネススーツとしてもおそらくほとんどの方が問題なく着ることができると思います。
(リネンとかフランネルって仕事では着辛いって人も多いんです)
秋って短いから全然着れなくない?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、サキソニーは合わせるインナー次第で冬はもちろんのこと、春先まで着れちゃうので安心してください。
またサキソニーは上下別々、ジャケット単体、スラックス単体としても違和感なく着こなすことができます。
スーツスタイルにもジャケパンスタイルにも対応できるサキソニーは汎用性が抜群に良いのもおすすめできるポイントです。
<サキソニーの特徴>
●ほんのり起毛した生地
●季節感があり、柔らかでソフトな風合い
●ほとんどの方がビジネスシーンでも着用可能
●インナーやアウターで調整して秋・冬・春と着用可能
●セットアップとしても、上下別々に使うのもOK(もちろん普通のスーツ生地はNG)
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あなたにおすすめの生地は?
秋スーツには季節感のあるサキソニーがおすすめ、とお伝えさせていただきましたが、実際は人それぞれ職業も違えば、ライフスタイルも全く違いますので単におすすめ!とだけ言われてもあまりピンときませんよね。
誰にでも当てはまるおすすめ生地というのはなく、実際の生活の中でどうやって着るのか、自分のライフスタイルや用途に合っているか?が大事になりますので、秋だから、春だからという理由だけでは実際に私達も強くお勧めすることはできません。
そこで、ここはオーダー店らしく、お客様のお悩み・ご要望を例にして、3つのケースで何がおすすめか考えてみました。
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①ビジネススーツとして着る
ビジネスシーンで着用するなら、やはり最初はネイビーやグレーの無地を抑えておきたいところで、実際にボットーネでサキソニー生地でオーダーいただくお客様のほとんどがビジネスシーンでの着用を想定されています。
色は定番のネイビー・グレーで。
写真のスーツはグレーのサキソニー生地ですが、普通のスーツ生地に比べると素材感があることが伝わりますでしょうか?
肉眼ではもっと分かりやすく、すでにスーツとしてお手持ちにネイビー・グレーがあったとしても当然ですが印象は大きく異なります。
シャツやネクタイはいままでのをそのまま着用すればOKで、スーツがサキソニーになるだけでグッと秋らしくなり「おしゃれ頑張ってます感」はもちろんありませんから変に浮いてしまうこともないでしょう。
そして定番色で(特にネイビー)であれば、ジャケット単体で使うこともできますので、オフィスカジュアルの服装としても大いに役立ちます。
ジャケパンスタイルのよくあるNGパターンが『普通のスーツのジャケットを着てしまう』ことなのですが、サキソニーなら問題なし。
『いままでオールシーズンとか薄手のスーツしか着たことない』というビジネスマンの方に、是非挑戦してみてほしいと思います。
<Point!>
●ネイビーやグレー無地が◎
●オフィスで着ていても違和感なし(おしゃれ過ぎない)
●定番色ならジャケット単体使いもOK
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②服装の自由度が高めの職場で着る
毎日スーツを着る方がいる一方、逆に服装の規定などはあまりなく、自分の判断で自由に選択できるという場合もありますよね。
例えば、リモートでの会議などにはTシャツで参加して、商談や打ち合わせで直接会う際にはちゃんとスーツを着るようにしている、という方も多くいらっしゃるかと思います。
そんな服装の自由度が高めの職場で着るなら、定番の色というよりは、サキソニーと相性抜群なくすんだアースカラーなどはいかがでしょう?
ブラウン系、ベージュ系はサキソニーの温かみのある表情とマッチしていますし、派手ではない落ち着いたお洒落な雰囲気があります。
またアースカラーではないですが、このようなブルーグレーも良い雰囲気ですね。
ブルーグレーやベージュ、ライトブラウンなどは、ネイビーとグレーに次いで人気のあるカラーで、コロナ禍以降特にオーダーが増えました。
ネイビー系のスーツはキリッとした印象になりがちなのですが、ブルーグレーならより柔らかく、品良く見せることができます。
服装の自由度が高いなら、スーツの着こなし方もタイドアップ(シャツにネクタイを締める)だけでなく、このようにニットやカットソーなどと合わせてジャケット単体使いする着こなしも素敵ですよ。
もしキレイめにに着こなしたいとするなら、インナーに合わせるのはニットがおすすめで、その中でもハイゲージといって編み目が細かく目立たないような編み方をしているニットを合わせると上品に見えます。
なかなか全ての方に当てはまることではないかと思いますが、許されるなら秋らしさを感じさせるカラーを選ぶと気分も高揚しますよね。
<Point!>
●ブラウン系、ベージュ系が相性抜群
●ブルーグレーも優しい印象に◯
●ハイゲージニットで上品に着こなすと素敵!
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③柄物にチャレンジするなら
ここまでは無地について解説させていただきましたが、実はサキソニーなどの起毛した生地には特に相性のいい柄があります。
真っ先に挙がるのがこのチョークストライプです。
まるでチョークで線を引いたような掠れたストライプなのですが、このチョークストライプの雰囲気とサキソニーのほっこりとした素材感との相性が抜群に良く、粗野な雰囲気が粋なスーツになります。
普通のスーツ生地のピンストライプなどはパリッとした印象になるのに対して、サキソニーのチョークストライプは柔らかな印象になり、実際に着てみると非常にシブくてかっこいいですよ。
ストライプだけじゃありません、次はチェック系も一つ。
こちらはウィンドウペンという窓の格子のような柄で、チェックの仲間ですが同じくサキソニーとの相性が非常に良い柄です。
このウィンドウペンは普通のスーツだとやや派手め、お若い雰囲気のスーツになりがちなのですが、サキソニーの起毛した表情と合わさることで、途端に味わい深いクラシカルな雰囲気が漂います。
<Point!>
●起毛と相まって掠れた粗野な雰囲気に
●チョークストライプ定番
●チェック柄もクラシックな印象に
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まとめ
ということで、今回は秋スーツにおすすめのサキソニーについて解説させていただきました。
過ごしやすい気候になる秋は、服好きにとってはワクワクする楽しい季節で、すでに某セレクトショップでも夏物は少なくなり秋に向けた準備が着々と進んでいるのを感じます。
今回はあえて詳しい生地のメーカーなどには触れませんでしたが、FOX brothersなどのイギリス産の生地よりも、ARISTONなどのイタリア産の生地の方がサキソニーの生地は多く、色彩も豊かで柄も幅広く揃っています。
サキソニーの先にはもっと起毛したフランネルやツイードなどもあり、ただこれまで普通のスーツしか着てこなかったという方にはいきなりハードルの高い生地かもしれません。
その点サキソニーは、季節感のある服の入門編としてもぴったりなので、自分のライフスタイルや用途と照らし合わせて是非考えてみてくださいね。
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ライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。
2023年8月26日
オーダースーツ | オーダースーツの生地
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