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明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術

キャメルが並ぶ

冬に脚光を浴びるカラーのひとつにキャメルがあります。

キャメル(CAMEL)とはラクダ、皆さんがイメージするラクダそのものの色味のことで、

ナチュラルなキャメル・ヘアー(ラクダ毛)の生地は大変貴重であり、

ダークトーンでないにもかかわらず暖かみを感じ、それでいて非常に上品で優しい雰囲気が漂います。

●キャメル・ヘアー Camel Hair
 
 
 ラクダはラクダ科の動物で、主な産地はトルコ、中国、イラク、イランなどの中央アジアから北アフリカまでの広大な地域に及んでいる。毛はフラコブラクダ(Bactrian Camel)から採り、非常にソフトで美しい光沢を持っている。
 
 原毛は淡黄色から褐色までのいわゆるキャメル・カラーであり、漂白が困難なため染色することなくそのまま使われる。その色と生地の特徴が服を選んだといっても良いのがトラディショナルアイテムのひとつ、ポロ・コートと言える。ポロの競技者に好んで着られたところから観戦者に広がった。1950年代のアメリカではアイヴィー・りがー(IVY Leaguer)が好んで着ていたことから流行となり、現在ではトラディショナルコートの代表のひとつとなっている。
 
 我が国では古くからあるキャメル(駱駝)という色は、必ずしも正確にキャメル・ヘアーを用いた生地の色ではなく、そのカラーから来るイメージで呼ばれたものであり、カシミア、リャマ、ヴィクーニャなどとウールをブレンドしたものなどを指していることが多かったようである。

ナチュラル・キャメルヘアーだけでなく、ウールやカシミア等の素材をキャメルカラーに染色した素材も

冬になるとジャケット・コートだけでなく、マフラーとしても使われていますよね。

ボットーネでもこの時期多くのお客様にオーダーいただくのがキャメル・カラーのアイテムです。

ご納品や仮縫い待ちのコートやたまたま重なり、サロンにあるサンプルとして製作したコート・ジャケットと並べてみました。

ポロコート

手前の仮縫い状態のコートは、英国製のカシミア生地でお仕立てしているポロコートです。

カシミアですので当然とろけるような滑らかさがあるのですが、単に柔らかいだけでなく、

どこか芯が残っているような絶妙なコシが感じられます。

ナチュラルなキャメル・ヘアーとの2択から、より女性的なカラーに染色されたカシミア生地をご選択いただき、

やや短めの着丈が特徴的な、スポーティなコートに仕上げていきます。

もともとスポーツ起源のポロコートですから、そうしたストーリーも含め格別のコートになるかと思います。

こちらの仮縫いの様子などはまた別の生地でご紹介させていただきます。

Wチェスターフィールドコート

手前から2番目は、当店のサンプルとして飾っている、本物のキャメル・ヘアーのコートです。

ブログでも何度もご紹介させていただきました。

肉厚ながら、実際に着てみると驚くほどの軽さが感じられ、染色されていないナチュラルなキャメル・ヘアーは別格です。

キャメル・ヘアーはウールやカシミアに比べ脱色しにくいそうで、

仮に染めるとすればダークカラー(ブラック、ネイビー、ブラウンなど)にするしかありません。

キャメルにしか出せない、染色されていない色味は素材本来の魅力が詰まっているということであり、

ある意味最高に贅沢な生地と言えます。

フランネルジャケット

手前から3番目は、ウールフランネルのキャメルカラー。

こちらは残念ながら生産が終了してしまったのですが、それまでは当店でも定番の生地であり、

丁度良い目付・生地の厚みであることから、ジャケットだけでなくコートとしてもたくさんのお客様にオーダーいただきました。

キャメルカラーの生地はたくさんございますが、生地の質、カラーともに納得のいく生地はそう多くはありません。

英国産の頑丈な生地で仕立てたこの1着は、優しい印象のキャメルカラーからは想像できない程にタフで頼りになる存在です。

こちらもコンシェルジュの私物ではなりますが、仕立ててから約2年でようやく少し柔らかく馴染んできました。

こうして長い年月をかけて育てていくようなキャメルカラーも面白いですよ。

アイべックス チェスターフィールドコート


手前から4番目、キャメルに比べ少し濃くブラウンに近いカラーはアイべックスという珍しい生地。

カシミアよりも非常に細く滑らかであり、生物としても貴重であることから狩猟の制限もされているという代物。

私も初めて触れましたが、言葉では言い表せないほどに極上の質感でした。

キメも細かく、光沢もあり、まさにラグジュアリーな一着。

ご贔屓いただいているお客様より取り寄せの依頼を受け、シングルのチェスターフィールドコートをお仕立てさせていただきました。

こちらは別のブログで詳しくご紹介したいと思います。

ベルテッドコート

奥にはブラウンのウール×カシミア混紡の生地でお仕立てさひたベルテッドコート。

ダブルブレストのコートであればピークドラペルが基本でありますが、あえてノッチドラペルとすることで唯一無二の雰囲気に。

古き良き、クラシックなオーバーコートをテーマに、ゆったりとしたフィッティングをベースに、

極端に低いゴージラインなどデザイン面でも工夫を凝らしました。

ポケットは縦型もマフポケット、ベルトを締めないときはポケットの中に入れて着こなしても味があり素敵な雰囲気かと思います。

こうしたクラシックなコートをさらりと着こなせる紳士になりたいものです。

特徴的なデザイン故、オーダーいただきましたI様もご不安だったようですが、

「思ったよりも良い!好き放題要望を言ってみたけど、オーダーしてみて良かった…!!」とご満足いただけたようでした。

最終調整を行って、ご納品させていただきます。

アパレル業界は一足も二足も早いもので、年が明けたら季節は春へと移行していきます。

冬には冬の、春には春の、それぞれ魅力的な素材があり、特に冬のダークトーンの色味から春の色味への移り変わりは、

パッと明るくなり気分も高揚するものです。

冬のキャメルは春になればウールやコットンとなり、カラーもキャメル・カラーからベージュへと。

これからは春に向けた情報も発信していきたいと思います。

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nakanomaruライター:nakanomaru一度は大手IT企業へと入社。5年勤務ののち、心の声に従い上京しボットーネに。
人生で情熱を注げることは2つ、1つはサッカー、もう1つはスーツ。
何事もコツコツ、地道に基礎を固め着実に行う動作の安心感の高さはクライアントからの評価も高い。

2020年12月25日
ファッションアイテム | オーダーコート

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