ナチュラルクリーンで体験した至高のクリーニング技術
皆さん、こんにちは。今回は少し趣向を変えて、高級衣類のケアに焦点を当てたいと思います。
千葉県君津市へ — 日本有数のクリーニング工房を訪ねて

今回やってきたのは千葉県君津市。君津市といえば日本製鉄があり、濃溝の滝や亀岩の洞窟、亀山湖などの自然スポットも有名です。房総半島の中心に位置するこの地域は私も大好きな場所なのですが、今日はその君津市にあるクリーニング工房「ナチュラルクリーン」さんにお邪魔しました。
このナチュラルクリーンさん、実は伊勢丹メンズ館や阪急メンズ館にも店舗を構えており、高級衣類専門のクリーニング店として知る人ぞ知る存在なんです。工房併設の本店が君津市にあるということで、今回初めて訪問させていただくことになりました。
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一般的なクリーニングとは一線を画す「ナチュラルクリーン」の特徴

ナチュラルクリーンさんの最大の特徴は、ドライクリーニングとウォータークリーニング(水洗い)を併用している点です。一般的に高級衣類、特にジャケットやスーツなどは水洗いするとシワになったり型崩れしたりするリスクがあるため、多くのクリーニング店では避けられます。
しかしナチュラルクリーンさんでは、地下400mからくみ上げた水を使ったウォータークリーニングを行い、その後の修復・整形技術にも卓越しています。さらに、洋服のトータルケアとして修理や染色なども行っており、まさに洋服の総合病院とも言える存在です。
今回は私も一着、長年愛用してきたベージュのウールジャケットを持参しました。袖口や襟元が黄ばみ、至るところに皮脂汚れが付いた状態。このジャケットがどのように生まれ変わるのか、実際の工程を見学しながらレポートしていきます。
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丁寧な診断からはじまる一着への向き合い方

店内に入ってまず行われたのは、持参したジャケットの詳細な診断です。起毛素材のウールジャケットで、袖口や襟元の黄ばみ、各所の皮脂汚れが目立っていました。裏地は可愛らしい花柄デザイン。購入価格は約15万円のジャケットです。
診断の結果、特殊しみ抜き、全体漂白、袖口・襟回りのしみ抜き、裏地のケアなどを組み合わせた総合的なクリーニングが必要と判断されました。お値段は14,700円。決して安くはありませんが、15万円のジャケットが蘇ると考えれば納得の価格設定です。
驚きの工程① — 一点一点手作業による丁寧なシミ抜き
クリーニング工房に入ると、独特の蒸気と音が漂う空間が広がっていました。まず最初に行われたのが、シミ抜きの工程です。松村さんという職人さんが担当してくださいました。
松村さんは油性の汚れを落とす特殊な染み抜き剤を使用し、一つ一つの汚れに対して丁寧に作業を進めていきます。特に袖口や襟元の黄ばみには、エンジョイという洗剤を使用。オレンジの香りがする自然派の洗剤だそうです。
驚いたのは、目に見える汚れだけでなく、全体に広がっている見えない汗じみまで丁寧に処理していくところ。長年の経験から「ここは汗じみがあるはず」と言って、見た目では判断できない箇所まで処理していくのです。
驚きの工程② — 特殊な洗濯ネットと漂白処理
シミ抜きの後は、特殊な洗濯ネットにジャケットを包み込みます。一般家庭の洗濯ネットとは全く異なる特殊仕様で、ジャケットを優しく保護してくれます。この状態で漂白処理を行い、黄ばみや古い汚れを根こそぎ落としていきます。
漂白中の水を見てみると、茶色く濁っていて、これまで着用し続けてきた証のような汚れが流れ出ています。正直、この状態からどうやって元の美しいジャケットに戻るのか不安でしたが、松村さんは「大丈夫です」と自信を持って答えてくれました。
驚きの工程③ — シリコーン溶剤による優しい洗浄
漂白処理の後は、シリコーン溶剤を使ったドライクリーニングへ。一般的なクリーニングで使われる溶剤は頭痛を引き起こしたり発がん性があるものもありますが、こちらで使用されるシリコーン溶剤は安全性が高く、触れても問題ないとのこと。実際に触らせていただきましたが、水っぽくぬめりがある感じで、臭いもほとんどありませんでした。
さらに驚いたのは、このドライクリーニングも一着一着手作業で行うという点。林さんという職人さんが、シリコーン溶剤にジャケットを浸しながら丁寧に手洗いしていきます。家で普通に洗っているような感覚で、布地を傷めないように優しく洗っていく様子は、まるで洋服に感謝の気持ちを込めているかのようでした。
驚きの工程④ — 立体的な形を蘇らせるプレス技術
洗浄と乾燥を経たジャケットは、次にプレスの工程へ。ここでも徹底的なこだわりが見られました。まず最初に人体型にジャケットをかけ、立体的な形を整えていきます。この段階で既に、ジャケットが生き生きとした表情を取り戻していく様子が見て取れました。
さらに驚いたのは、プレスの順序です。一般的には表側から行うことが多いと思いますが、ここでは裏側から丁寧にプレスを行っていきます。「表が綺麗ならいいというわけではなく、見えないところにこそこだわる」という職人魂に感動しました。
裏地のザラザラした質感も、プレス後はまるで「20代の肌のよう」と言いたくなるほど滑らかに。そして最後に表側のプレスへ。一点一点、洋服の構造を理解した上でのプレスは、まさに芸術的な作業でした。
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生まれ変わったジャケットとの再会

長い工程を経て、ついにジャケットが完成。お昼前に入店して、夕方までかかったこの大掛かりなクリーニングの成果は、期待以上のものでした。
着用してみると、まず感じたのは軽さです。汚れや皮脂が全て落ちたことで、約5グラムも軽くなったそうです。肩に乗っている感じが一切せず、まるでシャツを着ているかのような快適さ。ロールラペルの美しい曲線、ボタンホールの立体感、全てが新品以上の輝きを放っていました。
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高級衣類のプロフェッショナルによる至高のケア

今回のナチュラルクリーン体験を通じて、高級衣類のケアには奥深い技術とこだわりがあることを実感しました。有名なブランドのバイヤーさんたちも「ここにしか出すな」と言うほどの技術は、一朝一夕に身につくものではありません。
伊勢丹メンズ館や阪急メンズ館に店舗があるほか、ナチュラルクリーンさんのホームページから電話やLINEで問い合わせれば、専用の発送バッグが届き、自宅からでも利用できるそうです。皆さんも大切なジャケットやスーツ、コートなどのケアでお悩みの際には、ぜひナチュラルクリーンさんを検討してみてはいかがでしょうか。
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
2025年5月21日
オーダースーツ ボットーネのブログ | 明日は何着よう?松はじめのスーツの着こなし術
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