セントジェームスとジャケットと大麻と
松はじめです。
今日はセントジェームスのボーダーTシャツ。
ちょっとフレンチスタイル。
奈良からY氏が、お久しぶり。ジャケット・パンツ・シャツのご依頼で、CANAPA(キャナパ・カナパ)という素材をご提案。
イタリア名称CANAPAは、HEMP、そう大麻である。
これは食物繊維のなかの、靭皮繊維(じんぴせんい)という繊維の、大麻で、靭皮繊維には亜麻(あま・LINEN)、苧麻(ちょま・RAMIE)などの仲間もいる。
リネンのように見えて、非常に強い。
人が繊維と付き合い始めたのは、体の毛を失ったときからだと考えられているようだ。まあ体に毛があれば、それはそれで便利なのだろうけど、何事も不便さは工夫を生むし、どんどん改善されていくわけだ。
最初は葉っぱをつけてみたり、動物の皮を直接身につけていた。今でもそういう民族はいると思うけど、彼らがアイパッドを使っている光景をテレビで見て、何ともいえない気分になったのを昨日のように覚えている。
さて、時代は進化し、動物とか植物の繊維から、糸をつくりだした。
こうして編み物にしたり、織ったりと進化していった。
だけどいろいろな遺跡から発見された様子を辿ると、麻布が最初で、綿(コットン)、そして絹(シルク)というふうな順番で繊維が利用されていったようで、非常に歴史が古い繊維だ。
ジャケット、それに合うパンツ、そしてシャツ。
ボタンに裏地、この素材ならこれ、ここはこうで、こっちの方が良いのでは!
いや、こっちは?
ここばかりはオートクチュールのようなアナログでの打ち合わせ。衣食住、色々進化するけれど、手間暇をかけていくと、意外な化学反応が生まれる。
一度大きく広げて、絞り込んでいく。もともとあったのに新しい、なにやら面白いものが生まれてくる。
冒頭のジャケットも確か2008年に仕立てたオーダージャケットだけれど、新たしい装いではないにしろセントジェームスのボーダーを合わせた途端、あれ?こんなジャケット持っていたっけ?と思うほどの新しさを発したのは、何をどう装うかということが重要だと教えてくれ、また謙虚な気持ちになれる。
つい白熱して素材だらけになるサロン テーブルと、仕立て上がったアリストン3者混ジャケットに袖を通した中之丸。今日も私と彼の2名。
男の服、生地選びは真剣勝負である。
完成したタキシードのフィッティングも相次ぐ。
オペラパンプスに合わせるべく、裾はアンフィニッシュにしておいた。
さてカナパのジャケット、
どのような仕上がりになるか、また完成したジャケットを撮影してご紹介したい。
さて、明日何着よう?
ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>>
表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。
おすすめ記事
エリートが姿勢正しい理由!スーツスタイルをよく見せる秘訣以前プロ野球で活躍している方のフロックコートを仕立てさせてもらったことがある。 結婚…
3分でわかる!《男性編》恥を欠かないパーティースーツ、小物、服装で押さえておきたいポイント友人から、質問があった。 カジュアル・ファッションは好きだけれど、フォーマルの場の服…
アリストン スーツ生地(ナポリ)の社内はこんな感じだナポリのマーチャント、ARISTON(アリストン)はここ数年メンズ雑誌でも取り上げら…
ボットーネでオーダースーツを作った結果!をお客様に率直に聞いてみたW様のご職業は、弁護士なのですよね? W様:はい、弁護士をやっています。 普段は毎日…
スリーピーススーツはビジネスでも使える? ベストはおすすめ上着を脱いでも良い もともと、スーツはラウンジコートという、くつろぐ服でした。 でも…
1分で魅力的になる似合うメガネの法則メガネは顔の印象コントロールの武器 メガネは、顔の中に入ってくるアクセサリー。 そし…
ミットナイトブルーとは?黒より黒い生地を!ウィンザー公の無謀な注文1920年ごろのお話しです。 ウィンザー公は、ある色を考えました。 考えた、というよ…
《保存版》タキシードはどうして生まれたの?誕生秘話に迫るいざ結婚式を控え、衣装選びがはじまると、もちろんドレスも大切ですが、その横に並ぶ人間…
フレスコ スーツ!フレスコ生地とは?実は夏のおすすめ素材ボットーネの夏の定番は”フレスコ” 「夏の素材」というと、思い浮かべるのはリネンやコ…
なぜジェームスボンドは007 カジノロワイヤルでタキシードを着るのか? 私の先生 服飾評論家 出石尚三先生は以前、モナコのカジノを見学したことがあるそう…