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ドライクリーニングって意味ない?スーツは頻繁にクリーニングに出すな!は本当?プロに聞いてみた

みなさんこんにちは。松はじめです。

「クリーニングって本当に服にいいの?」 「ドライクリーニングは頻繁に出しちゃダメって聞いたけど、本当?」 「高級スーツのお手入れ、どうしたらいいんだろう?」

そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今日は千葉県君津市に工房を構え、伊勢丹メンズ、阪急メンズなどにも店舗があるクリーニング工房の、

京都大学薬学部出身でメディアにもひっぱりだこの、ケアのスペシャリスト・ナチュラルクリーンの松村さんにお話を伺う機会がありましたので、クリーニングの真実についてお伝えしていきたいと思います。

ドライクリーニングの基礎知識

ドライクリーニングとは何か

多くの方が「ドライクリーニング」という言葉は知っていても、実際どんな仕組みなのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。

松村さんによれば、「ドライクリーニングとは水以外のもので洗うこと」を指します。一般的には石油系溶剤やテトラクロロエチレンといった特殊な溶剤を使用して洗浄を行います。

面白い例え話をしていただきました。 「ティッシュペーパーを水に入れるとバラバラに溶けてしまいますよね。でも、ドライクリーニングで使う溶剤に入れると、濡れはしますが形は保たれたまま。これが洋服の型崩れを防げる理由です」

メリットとデメリット

メリット

  1. 型崩れしにくい
  • アイロン仕上げがしやすい
  • 次に着用する時もすぐ着られる状態を保てる
  • 外部環境による油性の汚れ(大気汚染やばい煙など)が取れやすい

デメリット

  1. 水溶性の汚れが取れにくい
  • 汗汚れが残りやすい
  • 食べこぼしなどの複合的な汚れが残存する可能性が高い
  • 汚れが蓄積すると黄ばみの原因に
  • 臭いが残る可能性がある
  • 生地が徐々に硬くなっていく

ドライクリーニングの光と影 – プロが明かす真実

「ドライクリーニングは諸刃の剣なんです」

松村さんはそう切り出しました。10年以上にわたって高級スーツのケアに携わってきた彼の言葉には、重みがあります。

ドライクリーニングが持つ優れた特性

まず、ドライクリーニングの最大の特徴は型崩れのしにくさです。

「水洗いだと、スーツの芯地が変形してしまうことがあります。でも、ドライクリーニングならその心配が少ない」と松村さん。

特にオーダースーツには重要なポイントです。なぜなら、オーダースーツは体型に合わせて繊細な立体裁断が施されているため、形状の維持が命となるからです。

また、都会で働く方のスーツによくつく、大気汚染による油性の汚れにも効果を発揮します。「電車の中や、オフィス街の空気には、目には見えない油性の汚れが含まれています」と松村さんは指摘します。

見落としがちな問題点

しかし、ドライクリーニングには注意すべき点もあります。

最も深刻なのが、汗への対応です。松村さんによると、ドライクリーニングでは水溶性の汚れ、特に汗の成分を完全に除去することが難しいとのこと。

「汗は放っておくと、時間とともに酸化して黄ばみの原因になります。特に白いワイシャツの襟や脇の部分は要注意です」

また、食べこぼしの処理も課題です。「カレーやソースなどの汚れには、水溶性と油性の成分が混在しています。ドライクリーニングだけでは、完全な除去は難しい」と松村さん。

さらに、定期的なドライクリーニングを繰り返すことで、生地が徐々に硬くなっていく傾向があります。「これは溶剤による洗浄で、生地本来の油分も失われていくため」とのこと。

プロの目から見た最適な使い方

では、どのようにドライクリーニングと付き合っていけばよいのでしょうか。

松村さんは、「定期的なブラッシングと、適切なタイミングでのプロによるケアの組み合わせ」を推奨します。

特に汗や食べこぼしがついた場合は、まずは専門家に相談することをおすすめします。プロの目で汚れの種類を見極め、最適な処置方法を選択することで、スーツの寿命を大きく延ばすことができるのです。

一般的なドライクリーニングにも、確かに大きなメリットがあります。しかし、それだけに頼るのではなく、衣服の状態や汚れの種類に応じて、適切なケア方法を選択することが重要なのです。

なぜスーツは頻繁なクリーニングを避けるべきか

オーダースーツなどの仕立服を含むスーツの特殊性

私たち表参道でオーダースーツサロンを営む者たちが、「スーツはあまりクリーニングに出さない方がいい」とアドバイスする理由が、ここにあります。

特に高級なオーダースーツの場合、単なる型紙通りの裁断・縫製ではないのです。お客様一人一人の体型に合わせて、実に緻密な工程を経て仕立てていきます。

立体裁断の秘密

例えば、前後の身頃の長さが違うことをご存知でしょうか?

松村さんが解説してくださった通り、後ろ身頃の方が前身頃より膨らみが大きいため、生地の長さも後ろの方が長くなっています。この長短の差を、熟練の職人がアイロンワークで調整し、美しいシルエットを作り出すのです。

また、肩の形状を整えるための特殊な縫製技法や、胸の膨らみを表現するための「捨て鳥」と呼ばれる技法など、様々な工夫が施されています。

クリーニングによるダメージ

では、なぜドライクリーニングがこうした職人技を台無しにしてしまう可能性があるのでしょうか。

  1. 機械での洗浄による物理的な負担
  • 溶剤による生地の緩み
  • アイロンで整えた立体的な形状の崩れ
  • 補正部分の戻り

特に気をつけたいのが、汗や食べこぼしの汚れが残ったままドライクリーニングに出してしまうケース。水溶性の汚れが完全に除去されないまま、その上から油性の溶剤で洗浄することで、かえって汚れを染み込ませてしまう可能性があります。

クリーニング溶剤の秘密

私たちの大切な服を預けるクリーニング。実は使用される溶剤によって、その仕上がりは大きく変わってくるんです。長年オーダースーツを扱ってきた経験から、松村さんの解説を交えながら、それぞれの特徴をご説明していきましょう。

主役は石油系溶剤

まず、最も多く使われているのが石油系溶剤です。

いわゆる一般的な街のクリーニング店で見かけるクリーニングがこれですね。

価格が手頃で扱いやすいため、非常に多くのクリーニング店で採用されています。

「石油系は、極端な汚れ落ちはないものの、生地に対してやさしい溶剤なんです」と松村さん。

確かに、一般的なスーツやジャケットのメンテナンスには、十分な性能を発揮してくれます。

強力な塩素系溶剤

次に紹介するのは、テトラクロロエチレンと呼ばれる塩素系溶剤。

松村さんによれば、これは強力な洗浄力を持つ反面、生地本来の油分まで除去してしまう特徴があるとか。

まさに諸刃の剣といったところでしょうか。

「塩素系溶剤は確かに汚れはよく落ちます。でも、ウールが本来持っている大切な油分まで取ってしまうんです」と松村さん。だからこそ、高級スーツには避けた方が無難かもしれません。

一流クリーニング工房が選ぶシリコン系溶剤

そして最後が、ナチュラルクリーンさんでも使用している、シリコン系溶剤です。

「価格は確かに高いです。でも、生地本来の風合いを損なわない。それに、手間を惜しまなければ、最高の仕上がりが期待できる」

と松村さんは太鼓判を押します。

私も実際、シリコン系溶剤で仕上げられたスーツを見せていただきましたが、その艶やかさと柔らかさには目を見張るものがありました。新品のような光沢が戻っているんです。

ただし、このシリコン系溶剤での作業には、熟練の技術と時間が必要。そのため、一般のクリーニング店ではなかなか採用が難しいようです。

「シリコン系溶剤は、確かに高価です。でも、本当に大切な一着、思い入れのある服には、この方法をお勧めしています」という松村さんの言葉が印象的でした。

このように、クリーニングで使用される溶剤一つとっても、それぞれに特徴があり、一長一短があるんです。大切な服のケアを考える時は、ぜひこうした違いも意識してみてください。

ナチュラルクリーンの特別なケア

匠の技が光る、ナチュラルクリーンの特別なケア

先日、私は君津市にあるナチュラルクリーンの工房を訪問する機会がありました。そこで目にしたのは、まるで高級時計の修理工房のような、静謐な空気が漂う空間でした。

「一着一着に、その服だけの個性があるんです」

作業台に並ぶスーツを眺めながら、松村さんはそう語り始めました。

魔法のような、しみ抜きの技

私が特に目を見張ったのは、シミ抜きの工程です。一般的なクリーニング店では、すぐに溶剤での洗浄に入るところを、ここではまず丁寧な観察から始まります。

「このシミは油性か水性か。いつ頃ついたものか。生地の特性は何か。全て見極めてから処置を始めます」

松村さんの手元では、様々な専用の薬剤が使い分けられていきます。シミの種類によって薬剤を変え、つけ置き時間も調整する。まさに科学者のような正確さで作業が進んでいきます。

私の目の前で、ワインのシミが見る見る薄くなっていく様子は、まるで魔法のようでした。

シリコン溶剤という究極の選択

「一般的な溶剤での洗浄は、確かに手軽です。でも、本当にそれでいいんでしょうか」

松村さんは、高価なシリコン系溶剤にこだわり続けています。

「値段は確かに何倍もします。でも、お客様の大切な一着を預かる身として、これ以外は考えられない」

その言葉通り、シリコン溶剤で洗浄された服は、新品のような艶と風合いを取り戻していました。特に印象的だったのは、生地本来の柔らかさが残っている点。他の溶剤では、どうしても失われがちな質感です。

匠の技が光る仕上げ工程

最後の仕上げでは、ハンドプレスと機械プレスを絶妙に使い分けていきます。

「機械プレスは確かに効率的です。でも、例えばお客様の肩の形に合わせて仕立てられた部分は、必ずハンドプレスで」

その手つきは実に繊細。プレスの温度、スチームの量、かける圧力まで、全てが経験に基づいて調整されていきます。

「この仕事、本当に奥が深いんです」と語る松村さんの横顔に、職人としての誇りを感じました。

オーダースーツを手がける私から見ても、この仕上がりには目を見張るものがあります。一着一着に込められた想いを大切にしながら、その服の個性を最大限に引き出していく。

そんなナチュラルクリーンだからこそ、多くの著名人も信頼を寄せているのでしょう。私自身、自分の大切なスーツは、ここにしかお願いできないと確信しています。

一日仕上げの真実

最近では「朝出して夕方受け取り」というクイッククリーニングのサービスも増えていますが、これについても興味深いお話を伺えました。

短時間仕上げのメリット・デメリット

メリット

  • 急ぎの際に対応可能
  • 作業工程の明確化
  • 一点に集中した処理

デメリット

  • 乾燥が不十分な可能性
  • 溶剤の臭いが残りやすい
  • 品質チェックの時間が限られる

松村さんによれば、物理的に1日で仕上げること自体は可能だそうです。ただし、それは一着だけを専属で処理した場合の話。通常の工場での作業では、効率性を考えると複数の衣類をまとめて処理するため、どうしても時間がかかってしまいます。

特に気をつけたいのが、ポリウレタンコーティングされた生地や厚手のコートなど、乾燥に時間のかかる素材。これらを1日で仕上げようとすると、十分な乾燥時間が確保できず、溶剤の臭いが残ってしまう可能性があります。

大切な服のケア方法

毎日の小さな習慣が、スーツを長持ちさせる

「スーツは、結構デリケートな生き物なんです」

松村さんのその言葉に、私は思わずうなずいてしまいました。確かに1点ずつ仕上げられたオーダースーツ、毎日の小さなケアの積み重ねで、その寿命は大きく変わってくるんです。

ブラッシングという魔法の習慣

私が表参道のサロンでお客様に最初にお伝えするのが、ブラッシングの大切さです。

「帰宅したら、まずブラッシングを」

まずは数分でいいんです。でも、この習慣が服の寿命を大きく左右します。

「見えない埃や汚れは、放っておくと繊維に潜り込んでしまうんです」と松村さん。確かに、クリーニングに出すと色が変わったように見えるスーツの多くは、実は蓄積された埃が原因だったりします。

私も愛用している馬毛ブラシを使って、優しく、でも確実に。まるで大切な馬をブラッシングするように、愛情を込めて。その心遣いが、スーツは必ず応えてくれます。

収納は”呼吸”が命

クローゼットの中で、スーツ同士が密着していませんか?

空間は大事です、またビニールの、クリーニングから仕上がったときの状態のまま保管していませんか?

スーツにも”呼吸”が必要なんです。通気性の良い不織布のカバーを使い、横の間隔も最低3センチは空ける。これだけで、スーツの寿命は大きく変わってきます。

特に日本の湿気の多い気候では、この”呼吸”が重要。

除湿剤の使用も効果的です。

汚れとの戦い、それは時間との戦い

「シミができたら、すぐに対処を」

これは松村さんが最も強調していた点です。特に食べこぼしは要注意。

「シミは時間とともに繊維の中に浸透していきます。放置すればするほど、取れにくくなる」

かといって、自己流の対処は逆効果になることも。特に市販のシミ抜き剤の使用は要注意です。

「シミの種類によって、適切な処置方法は変わってきます。判断に迷ったら、すぐに専門家に相談してください」

汗については、乾いてからの優しいブラッシングが効果的。湿った状態でのブラッシングは、かえって汗を繊維の中に押し込めてしまう可能性があります。

これらのケアは、決して難しいことではありません。でも、この小さな積み重ねが、スーツの輝きを長く保つ秘訣なんです。

スーツへの愛情は、必ず見た目となって返ってくる。そう確信しています。

プロに任せるタイミング

プロのケアが必要なタイミング

クリーニングのプロである松村さんによれば、以下のような状況では、特に専門家によるケアが重要になってきます。

シミができた時のケア

シミは時間との勝負です。特に以下の場合は要注意です:

  • 食べこぼし(特に油性の汚れ)
  • 飲み物のシミ
  • 雨染み

これらは時間経過とともに繊維の中に浸透し、除去が難しくなります。市販のシミ抜き剤による自己処理は、かえって状況を悪化させる可能性があるため、プロの判断を仰ぐことが賢明です。

長期保管前のケア

特に気をつけたいのが夏物の収納前です。見えない汗の成分が繊維に残ったまま保管すると:

  • 黄ばみの原因に
  • 繊維の劣化を促進
  • 臭いの元になる

そのため、長期保管前の専門的なクリーニングは、衣服の寿命を延ばすために重要です。

季節の変わり目

衣替えのタイミングでの専門的なケアが有効な理由:

  • 保管中の埃や汚れの除去
  • 型崩れの修正
  • 防虫加工の更新

特にオーダースーツなど、立体裁断された衣服は、専門家による形状の回復が効果的です。

重要な行事の前後

フォーマルな場面で着用するスーツは、特に丁寧なケアが必要です:

  • 結婚式や葬儀などの儀式
  • ビジネスの重要な場面
  • 就職活動

これらの場面では、わずかな汚れや型崩れも気になります。プロによる入念なケアで、最良の状態を保つことができます。

経年による変化への対応

スーツは着用を重ねることで以下のような変化が起こります:

  • 生地の光沢の変化
  • 風合いの変化
  • 形状の変化

これらの変化に対して、適切なケアを行うことで、本来の品位を保つことができます。特にオーダースーツは、体型に合わせた立体的な仕立てが特徴のため、定期的な専門家によるケアが重要です。

スーツは高額な投資です。適切なタイミングでの専門的なケアは、その価値を長く保つために不可欠な要素と言えます。

まとめ

クリーニング、特にドライクリーニングは、適切に行えば衣服のメンテナンスに非常に有効な手段です。しかし、ただ漫然と出すのではなく、その特性を理解した上で、衣服に合った最適なケア方法を選択することが重要です。

特に大切な一着、思い入れのある服については、ナチュラルクリーンさんのような専門工房による丁寧なケアをお勧めします。全国からの郵送対応も可能とのこと。ぜひ一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。

ナチュラルクリーンさんへのリンクはこちら

さて、明日は何着よう?

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松 甫ライター:松 甫 詳しいプロフィールはこちら>> Twitter Facebook 表参道の看板のないオーダーサロン 株式会社ボットーネ CEO。
自身もヘッド・スーツコンシェルジュとしてフィッティングやコーディネートを実施。
クライアントは上場企業経営者、政治家、プロスポーツ選手の方をはじめ、述べ2,000人以上。

2024年12月15日
スーツの着こなし術 | ケア

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